はじめに
「東京都など」勤務の「女性陸上自衛官(施設課)」によるキャリアレポートです。
- レポート者のプロフィール
- 公務員としての職業・勤務先:女性陸上自衛官 /東京都、愛知県、青森県、宮城県勤務
性別:女性
雇用体系:正規雇用
所有資格:第一種大型自動車免許
「陸上自衛官(施設課)」を目指した理由
当初警察官を目指していましたが、父親が以前自衛官だったため、父の勧めもあって「自衛官」になることにしました。女性でも自分の努力次第で公平に判断してもらえそうだなと思ったことが主な理由です。
「陸上自衛官(施設課)」の仕事内容について
わたしの主な職種は施設課といいます。施設課の隊員は普通科の隊員よりも前方に配備され、またどの隊員よりも最後に離脱します。
その理由としては、施設課の仕事内容にも関わってきますが、地雷原の構築・爆破や、橋を架けたり、普通科の隊員を手漕ぎボートで運んだりすることだからです。施設課の隊員全員が同じ業務に従事するわけではなく、その中でもさらに細かく分かれていきます。
その施設課の中の通信小隊という所にいました。通信の中でもさらに細かく分かれているのですが、有線を張ったり、モールス信号の送受信を行ったり、暗号の解読等を行ったりと様々です。
わたしはその中の暗号陸曹をしていました。細かな内容は退職後もいまだに機密(その中の秘の扱い)なため、詳しく話すことはできませんが、暗号に従事する者は覚えることが多いです。3ヶ月の暗号教育の中で、細かなルール等を覚えていきます。通常業務で使用することはほとんどありません。
「陸上自衛官(施設課)」の1日の仕事の流れ
6時30分:起床ラッパが鳴る(駐屯地内に住んでいるため)
6時40分:点呼(その後朝食をとるために隊員食堂へ向かう)
8時20分:同駐屯地内の職場に到着
8時30分:課業開始(8時40分ころまで朝礼あり)
12時:お昼休み(60分)(駐屯地内の隊員食堂にてランチ)
15時30分:駆け足スタート(駐屯地内もしくは駐屯地外を走る)
16時30分:駆け足終了(着替えを済ませて終礼に向かう)
17時:課業終了(16時50分ころから終礼開始)
17時~18時:夕食(駐屯地内の隊員食堂内にて摂る)
その後は点呼まで自由時間
21時:点呼 その後は就寝時間になるまで自由時間(自由時間中に仕事着等の整備も行う)
23時:就寝ラッパが鳴り就寝
「陸上自衛官(施設課)」の給料・残業・有給休暇について
月給は9年目で手取り20万円くらい(残業代等込み)、ボーナスは年2回・合計で80万円くらい、年収450万円でした。
「自衛官」には残業という概念がなく、24時間勤務で、休むことも仕事になります。基本土日が休みになりますが、土日に訓練が入ることもあるため代休がたまりやすく、有休消化まではいかないことが多いです。
この仕事で、働いているときに困ったこと
働いている時に困ったことは、訓練で山の中にこもったりすると、男性隊員と同じ天幕に寝泊まりするので、着替えを寝袋の中でしなければならないことです。女性自衛官はとても少ないため、仕事の内容ごとに天幕が分かれることもあって、女性自衛官が固まって同じ天幕を使うという事が少なかったです。
職種によっては女性自衛官が多い場合もあり、その際は女性自衛官同士で同じ天幕を使っていたようでしたが、わたしがいた職種は少なかったことが原因でした。
この仕事や職場でよかったこと
わたしが恵まれていた点は、比較的やりたい事をさせてもらえた事です。
例えば、英語教育に参加させてもらえたり、後輩や新隊員の教育に携わることができたことです。英語教育に参加させてもらえたお陰で、日米協同訓練が行われた際に、米軍の隊員と直接的に関わることができたことは素晴らしい経験でした(通常の隊員は直接的に米軍の隊員と関わることは少ないです)。
勤務中は大きな災害もなく、比較的安心して勤務することができました。
「陸上自衛官(施設課)」の仕事エピソード
わたしが「自衛官」になって感動したことは、人と関り、人を育てる喜びを得ることができたことです。
わたしが「自衛官」としてそれまでに蓄えた知識や技能を、惜しむことなく全力で後輩や新隊員たちに教えたことで、その隊員たちの知識や技能が格段に飛躍し、結果として良い成績を修めることができたことを目の当たりにした時、とてもやりがいを感じました。
自分が褒められるのではなく、教え子たちが褒められている様を見て、言いようのない感動を覚えました。その分、自分が覚えることややることは倍以上に増えていましたが、毎日が楽しく過ぎていったことを覚えています。
「陸上自衛官(施設課)」の職場恋愛について
女性自衛官自体が少ないので、職場内での恋愛や結婚は多いです。
男性自衛官以外と結婚している女性自衛官は、わたしの知り合いではほとんどいませんでしたが、その場合は、学生のころからの付き合いだと言っていました。
職場内で誰かと付き合い始めると、誰に言っているわけでもないのにすぐさま噂の的になるため、隠すことは難しいです。友人の一人は結婚するまで隠していましたが、それでもどこかへ出かけたりしていると誰かに見られて、後に噂されたりしていたようです。
男性自衛官の場合は、積極的に合コン等を行っている人もいたので、職場以外の人と結婚している人が多いです。
まとめ ー「陸上自衛官(施設課)」を目指す方へメッセージ
自衛隊はお給料も少なく、近年は大変な仕事も増えてきていますが、自分自身でやりがいを見つけて頑張ってほしいなと思います。
自分自身が全力で取り組んだことは、今後の人生にとても役に立ちます。仕事の中に楽しさも見つけながら頑張ってください。
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