国家公務員の「定年延長」までの経緯
2022年度に国家公務員の定年が60歳から65歳に引き上げられる方針がニュースがだされました。
政府が来年2020年度の国会に改正法案を提出することが確実となり、22年からの定年延長が具体的に、本格的に検討される見通しです。
そもそも人事院からは2018年から定年延長について要望を出されており、政府も当初は2021年度に引き上げを目指していましたが、調整に時間がかかり22年度に遅れたという状況とのことです。
国家公務員の定年はどのように変わってきた?定年延長の歴史
国家公務員に定年が設定されたのは、1985年(昭和60年)のことでした。それまでは、国家公務員には、原則として定年制度はありませんでした。ただし裁判官など一部の国家公務員には定年があったようです。
しかし多くの国家公務員の職場では、組織の新陳代謝を図るために「退職勧奨」といって、辞職を勧めて本人が同意すれば、上司が退職を認める、という退職制度があったようです。
昭和60年 国家公務員の最初の「定年」は60歳
1977年(昭和52年)に国家公務員の定年制導入が閣議決定されると、実際に定年制を運用するための準備として、定年制の関係法案についての整備が行われました。
そして1981年(昭和56年)に国家公務員法の定年についての部分を一部改正し、1960年に定年制が導入されました。この時の定年は60歳でした。
平成9年 次官クラスなど、一部の国家公務員の役職者の定年を60歳→62歳へ
1997年(平成9年)には、国家公務員の「次官」などの役職で、一部「定年」が62歳に引き上げられました。
令和2年 国家公務員の定年が65歳に引き上げられる予定
そして2020年(令和2年)には、国家公務員の職員すべての定年が、65歳に引き上げられる予定です。
この「定年延長」のために、「国家公務員」が加入する共済年金の受給年齢の引き上げが行われてきました。
「定年延長」と「共済年金」の受給年齢は密接な関係にあります。国家公務員の「定年後」の生活を支える共済年金の受給年齢の推移についてもご紹介します。
国家公務員の「定年延長」とセット 「共済年金」の受給年齢引き上げ
国家公務員は共済年金という年金制度に加入します。国家公務員にとっては定年後すみやかに共済年金を受け取れるようになっていなければ、退職後の生活が不安になってしまいます
また、年金が受け取れる年齢になっているのに、定年を迎えられないというのもモチベーションに関わってくるかと思います。
そのため、これまで常に「定年延長」の前に行われてきたのが共済年金の受給年齢の引き上げでした。
共済年金の受給引き上げの歴史 その1) 55歳→60歳
初の定年制度が導入される前の共済年金の受給年齢は55歳でしたが、昭和55年から、3年に1歳ずつ受給年齢が引き上がり、15年後には60歳になったようです。
国家公務員の定年が設定されると同時に「勤務延長」や「再任用」の制度の新設も行われているため、定年から年金が受け取れるまでの期間については、再任用職員として勤務し続ける国家公務員も一定数いるようです。
また、国家公務員退職後に民間企業に再就職するという方もいます。
共済の年金の引き上げの歴史 その2)60歳→65歳
1994年(平成6年)からは、12年かけて共済年金の「定額部分」について、受給開始年齢が60歳から65歳に引き上げられました。
そして2000年(平成12年)からは、やはり12年かけて共済年金の「報酬比例部分」について、受給開始年齢が65歳に引き上げられました。
これに伴い、2001年(平成13年)には、国家公務員の新しい再任用制度が施行され、定年後から年金受給開始までの期間を埋められるような、再任用が可能になりました。
まとめ
このページでは、2022年にいよいよ「定年延長」が実施されることが確実となった国家公務員の「定年」についてまとめました。
約35年前の1985年まで、国家公務員のキャリアに定年という概念はありませんでした。それまで退職は定年によって一律に決まるものではなく、職員によって時期が異なっていたようです。
しかし、国家公務員の年金制度である共済年金の受給開始年齢の引き上げとともに、これまで60歳から、一部が62歳、そして65歳へと国家公務員の定年は引き上げられつつあります。
定年を迎えた国家公務員の多くは、再任用制度を利用して国家公務員として働き続けたり、民間企業に再就職したり、起業したりと、様々な道を歩んでいるようです。
今回の国家公務員の65歳への「定年延長」が、国家公務員のキャリアにどのように影響してくるのか、注目されます。
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