農林水産省が推奨する非常食を賢く備蓄する、「ローリングストック」という考え方

非常食を無駄なく備蓄する「ローリングストック」という方法が注目されています。災害が多い日本において、普段から食料備蓄について考えることはとても大切です。

「ローリングストック」とは具体的にどのような考え方なのかをご紹介します。


はじめに-「ローリングストック」とは?

「ローリングストック」とは、直訳すると「回転させながら備蓄する」です。

家庭にある非常食の在庫を日常的に使用する、つまり「回転」させることによって、いざという時に「賞味期限が切れて無駄になってしまった」とか、「どこに閉まったかわからない」「置き場所が無い」ということなく備蓄することを目指します。

「ローリングストック」では、まず、長期保存が可能で食べ慣れた食品、または今後飽きずに飲んだり食べたりできそうな食品を選び、いつもより多めに購入しておきます。

そして台所など、普段からよく使用する場所に保存しておき、普段通り飲んだり食べたりします。その後、なくなる前に最初にあった数程度を補充しておくだけで備蓄していることになります。普段通りに食べるときには、賞味期限が近いものから食べると良いでしょう。

「ローリングストック」に向いている食品とは?

「ローリングストック」に向いている食品は、常温で比較的長く保存が効く食品です。

例えば、非常食として定番のカップラーメンやレトルト食品、缶詰、ペットボトルの飲料水などがあげられます。また、紙パックのジュースや子供用のお菓子の中にも、常温で長持ちするものがあります。

また、ペットを飼っている方は、ペット用の食品も併せて「ローリングストック」しておくことをおすすめします。

「ローリングストック」を進める農林水産省と企業

「ローリングストック」の考え方は、ほかにも「ローリングストック法」や、「スマートストック」などと呼ばれており、近年では多くの企業が自社ホームページなどで広報し、広がってきています。

食品に関する考え方ということで、中央官庁では「農林水産省」が情報発信を行なっています。

農林水産省がまとめている企業のホームページの中には、具体的にどのような食品をどれくらいストックしてこけばよいか、詳しく特集されているものもありますので、確認してみてください。

▼参考:農林水産省「ローリングストックについて知りたい方へ」
https://www.maff.go.jp/j/zyukyu/foodstock/network/rolling.html


食品だけではない!「ローリングストック」したいさまざまな日用品

「ローリングストック」は元々、備蓄用の食品に対して使われ始めた言葉ですが、食品以外にも「ローリングストック」しておきたい日用品があります。

例えば、電池やカセットコンロ用のガスボンベなど、停電時やガスのトラブルの時に使用できる消耗品です。電池やガスボンベには使用期限がありますので、時々家庭でカセットコンロを使用することで、ストックを無駄なく使用し、使った分だけ補充することがおすすめです。

また、マスクやトイレットペーパー、ティッシュペーパー、オムツ、生理用品などの紙製の消耗品でも「ローリングストック」の考え方を活用することができます。

そのほか、万一災害に遭った時にも役に立つ、除菌シートや、アルコールスプレー、ラップ、マウスウォッシュなども「ローリングストック」の考え方に基づいて、日頃からストックしておくと、もしもの時に安心です。

▼参考:イオン「知ってほしい!ローリングストックという備蓄方法」
https://www.aeon.com/acp/promotion/content/bousai/stock/

千葉市の熊谷市長のTwitterにも登場した「ローリングストック」

地方自治体の首長も、この「ローリングストック」に注目しています。

千葉市の熊谷市長は、新型コロナウイルス感染症に関する混乱によって、マスクのみならずトイレットペーパーやティッシュペーパーなどの紙製品の買い占めが発生したことを受け、市民に対しTwitter上で、日頃から備蓄をすることで混乱を生まないよう「ローリングストック」を提案しました。

千葉市 熊谷市長のTwitter

「ローリングストック」に取組む自治体

千葉市以外にも、「ローリングストック」の考え方を紹介する自治体は増えてきています。

山形県の「ローリングストック」

山形県は、食品の「ローリングストック」に加えて、ガソリンについても無くなる前の補充を呼びかけています。1家庭あたりの自動車保有台数が全国1位だという山形県だからこその呼びかけですが、ほかにも車文化が主流な自治体にとっては、ガソリンも必要不可欠な消耗品です。

全国の移動手段が車中心だという自治体でも見習いたいところだと思います。

▼参考:山形県 「【防災危機管理課】ローリングストックをはじめよう!」
https://www.pref.yamagata.jp/ou/bosai/020072/kochibou/yamagata_rollingstock.html

京都市の「ローリングストック」

京都府京都市では、「市民備蓄」と称して、市民には「ローリングストック」を実践するよう呼びかけています。

また、「市民備蓄」とは別に、市が「公的備蓄」をしている場所や、どのような物を備蓄しているかについても情報を発信しています。

▼参考:京都市「災害に備えて~京都市の備蓄」
https://www.city.kyoto.lg.jp/gyozai/page/0000016340.html


まとめ

このページでは、近年広まりつつある非常食や防災用品の「ローリングストック」という考え方をご紹介しました。

「ローリングストック」は、非常食と日常の食事を分けることなく、日頃から食べたり飲んだりすることで、保管場所に困ることなく、もしもの時に備えられる方法です。

非常食、というと何か特別なもののように感じますが、日頃食べたり使ったりしているものの中にも、非常時に役立つものがあります。そういった備蓄を今までより少し多く持つだけで、「ローリングストック」は始まります。

そして、「ローリングストック」は災害時だけでなく、新型コロナウイルスなど感染症の流行による品薄や、体調不良により買い物に出られない時の食料の確保、そして何らかの理由による流通麻痺や原料価格高騰による一時的な値上げなどにも、ある程度冷静に対応できるのに役立つのではないでしょうか。

何より、日頃から備えているという意識は、心のゆとりを生むこともできます。

買い溜めすぎることなく、減った分を補充する「ローリングストック」は、今日からすぐに実践することができます。ぜひ実践してみてはいかがでしょうか。

本記事は、2020年3月23日時点調査または公開された情報です。
記事内容の実施は、ご自身の責任のもと、安全性・有用性を考慮の上、ご利用ください。

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