役所の手続きがおかしい?そんな時に使える「行政手続法」

役所といっても全国の自治体の窓口にはそれぞれ担当者がおり、手続きの内容が同じでも説明の言葉は担当者によってまちまちです。人間同士ですから「親切な担当者」と感じる時もあれば、ちょっと苦手な担当者もいるかもしれません。

そんな行政手続きで「あれ?」と思った時、「行政手続法」が有効な場合があります。

「行政手続法」とは

「行政手続法」とは、全国で行われる行政手続きについて共通の事項を設定することにより偏りを無くし、公正の確保と透明性の向上を図ることで、国民の権利や利益の保護を目的としている法律です。

日ごろの関わる役所とのやりとりで、 「どうも手続がすっきりしない」とか、「窓口で何を聞いたらいいか分からない」と不満がったり、悩んだりした場合に、「行政手続法」をもとに、役所に質問したり、対応を求めたりすることができます。

このページでは、行政手続きについて特に多い悩みや不満について、 行政手続法ではどう考えることになるのかを、総務省の資料をもとにご紹介します。

▼参考:総務省「役所の手続きでお悩みの方に 行政手続法普及啓発法ブックレット」
https://www.soumu.go.jp/menu_news/pdf/pamphlet/gyoseitetuduki.pdf

「行政手続法」が役立つ場面1)「申請」する時

何かを「申請」しようとするとき、窓口で受ける対応はさまざまです。

「行政手続法」では、「申請方法がわからない」「申請を受理してもらえない」「申請から許可が下りるまでの期間を教えてもらえない」「申請が不許可になった理由がわからない」など、さまざまなトラブルを解決するためのあらゆる方法が認められています。

新しく開業を申請する場合

開業申請といって、〇〇業を新たに始めるための許可を受けたい時には役所に申請する必要があります。その際にどんなことを審査されるのか、という具体的な基準を知りたいと思いますが、役所の窓口では、許可されるための具体的な基準を見ることができるようになっています。また、役所のホームページで見ることができるものもあるようです。

審査基準が見られることは「行政手続法」で定められています。全国の各役所は、申請を認めるべきかどうかを役所側が判断するときの具体的な審査基準を定めて、誰でも見ることができるようにしておかなければなりません。

役所は審査基準を窓口へ備え付ける、各行政機関のホームページに掲載するなどの方法で、誰でも見られるようにしているほか、「電子政府の総合窓口」にまとまっているものもあります。

▼参考:電子政府の総合窓口(e-Gov=イーガブ)
http://www.e-gov.go.jp

窓口の職員に申請書の受取りを拒否された場合

窓口の職員に申請書を提出したら具体的な理由も無く拒否された、という場合にも、やはり「行政手続法」が有効です。申請が法的に認められるものなのか、役所としての正式な判断が受理できないということなのか、理由を尋ねることができます。

また、基本的に役所は申請を受け取らない、放置しておくなどの取り扱いが「行政手続法」によって禁止されています。万一、受取を拒否されても、「申請します」と言って、申請書を置いてきさえすれば、審査してもらえます。

「行政手続法」にのっとれば、役所は提出されたものを受け取らないということはできませんし、受け取った以上は速やかに審査を始めなければなりません。

もし、申請書を持ち帰ってしまうと申請がなかったことになるおそれがありますので、提出したという証明をどうしても残したい場合には配達証明郵便などを使う方法もあります。

いつ許可が下りるのか、おおよその審査期間を知りたい場合

申請をしたとして、いつ許可が下りるのかは今後の段取りを考えても知りたいところだと思います。もし担当者が曖昧な返事しかしてくれない場合には、「標準処理期間はどれくらいですか?」とか、「私の会社は、いつぐらいに許可が下りるのか見通しはどうですか?」と尋ねてみることが有効です。

なぜなら、「行政手続法」により、役所はそのような情報提供に努めることになっているからです。

申請が不許可になった場合

残念ながら申請が不許可になってしまった場合には、再挑戦のためにも理由を教えてもらいたいという場合が多いでしょう。

その場合には、「不許可の理由を教えてください」と明確に要求することで、役所が教えてくれることになっていると、「行政手続法」では定められています。

「行政手続法」が役立つ場面2)「不利益処分」を受ける時

行政によって、許可の取消し、一定期間の営業停止命令、施設の改善命令など、法令に基づいて、権利を制限したり義務を課したりする行為を「不利益処分」といいます。

この「不利益処分」を受けた時には、その理由を聞いたり、こちらの言い分を反論したりする権利が「行政手続法」によって認められています。

「不利益処分」についても、役所は具体的な基準を定めて公開し、処分の際には理由を説明し、処分対象者の言い分を聞く「聴聞手続」や「弁明手続」などを行う義務があります。

「行政手続法」が役立つ場面3)「行政指導」を受けた時

「行政指導」とは、役所が特定の人や事業者などに対して、ある行為を行うように、または行わないように、「指導」「勧告」「助言」などの方法で具体的に求める行為で、「処分」まではいかないものをいいます。

そもそも「行政指導」なのかどうかは一般の人にはわかりにくい場合があるので、その時には「これは行政指導ですか?」などと聞いてみるとよいようです。このような質問に対して、役所は「行政手続法」に基づいて答えなくてはなりません。

また「行政指導」は必ず従わなければならないものではありません。法に触れるものについては「行政指導」の有無にかかわらず法に従わなければなりませんが、それ以外は無理に従わなくてもよい、と「行政手続法」に定められています。

万一従わないことを理由に役所から情報をもらえないなど嫌がらせを受ける、ということがあったとしても「行政手続法」ではそういった役所の対応が禁じられていますので、お住まいの役所ではなく各府省の相談窓口に訴えると解決できることがあるようです。

「行政手続法」が役立つ場面4)「届出」をする時

役所に対して一定の事項を通知する行為で、そのことが法令で義務付けられているものを「届出」といいます。ただし「申請」は除きます。

「届出」についても「申請」と同じように、役所は必ず受理しなければならないと「行政手続法」で決められています。

心配な場合には、配達証明郵便など、 役所に届いたことの記録が残るようにして役 所に届ける方法があるので利用するとよいでしょう。

「行政手続法」が役立つ場面5)「地方公共団体」の役所の手続きをする時

「行政手続法」は国の行政機関だけでなく、地方公共団体の行政機関でも当然に適用されます。

国の法令に基づく手続についてはもちろん、地方公共団体ごとの条例で定められた行政手続についても、ほとんどが行政手続条例などが整備されているので、全国どこに暮らしていても「行政手続法」やそれに準ずる条例などで、行政手続に対する疑問や疑念を解消できる手段が用意されています。

「行政手続法」が役立つ場面6)「審査基準」などの案に対して意見したい時

そもそも役所が「審査基準」を定めようとするとき、国民はその案に意見を言うことができると、「行政手続法」で定められています。

審査基準などの案は、「電子政府の総合窓口」などで見ることができるので、それらの案に対して意見等がある場合には、電子メール、郵便、ファックスなどを使って役所へ提出することができます。

積極的に意見などを提出することが、国や自治体の公正・透明な行政運営につながります。

まとめ

このページでは、「役所の対応を不審に思った時」などに「行政手続法」の考え方によって解決する方法をまとめました。

役所の窓口は国の行政機関も全国にありますし、地方公共団体の窓口も含めると更にさまざまな窓口があり、当然、それぞれ担当者は違います。

窓口が違う、担当者が違うということによって、同じ法律に基づく行政手続について国民が差別や不利益を受けないように、「行政手続法」では審査基準の統一化や開示を定めています。

また審査によって不許可を受けたり、免許を取り消されたりなど、何かトラブルがあった場合にはその理由を聞く権利があります。理由を聞いた上で反論する権利も認められています。

このように「行政手続法」を知っておくことで、一方的なように思えて萎縮してしまいがちな「行政手続」に対して、冷静に対応することができるのではないでしょうか。

また、公務員にとっても「行政手続法」に定められた公平な対応をすることは常に意識しておかなくてはなりません。公務員を目指す方は「行政手続法」の内容についてもよく理解しておくべきだと思います。

本記事は、2020年3月27日時点調査または公開された情報です。
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