【厚生労働省】新型コロナは2020年1月28日に「指定感染症」に。感染症の類型と新型コロナの対応について

国内の感染症予防を管轄する厚生労働省は、国民向けに感染予防のための正しい情報を提供する役割も担っています。

今回は、全世界で猛威をふるう「新型コロナウイルス」を参考に「指定感染症」の基本的な知識や、厚労省が発表する「新型コロナ」の予防策などについてまとめました。


厚生労働省により類型されている感染症

現在、厚生労働省が発生状況等を管理する感染症は、実施できる対策や措置によって、8種類に分類されています。

その8分類は、感染力と症状の重篤性などが高い順に「一類感染症」「二類感染症」「三類感染症」と続き、一類〜三類感染症には含まれない感染症のうち、動物から人に感染するものが「四類感染症」、国民や医療関係者への情報提供が必要なものが「五類感染症」のようになっています。

また、国民が免疫を獲得していないインフルエンザとして「新型インフルエンザ等感染症」、そして現在は該当する感染症はないものの、ヒトからヒトへうつる未知の感染症についてを指定する「新感染症」があります。

そのほか、既に知られている感染症のうち、一類〜三類感染症のような対策・措置をとらなければ国民の生命に大きな影響を与える可能性があるものを指定する「指定感染症」という類型があります。

感染症の類型ごとに講じられる措置

国は感染症の類型ごとにさまざまな措置を講じることができます。中には患者の意思にかかわらず、生活を制限することができる感染症もあるため、感染症がいずれかの類型に指定されることは、国が対策を取る根拠として非常に重要な指標になっています。

「一類感染症」では、都道府県知事が必要と認めた場合に感染者に入院等の措置をとることができ、また交通制限の措置も可能です。物の消毒等の措置も行えます。

「二類感染症」では、都道府県知事が必要と認めた場合に感染者に入院等の措置をとることができることに加えて、物には消毒等の措置を行えます。一類のような交通制限についての規定はありません。

「三類感染症」では、都道府県知事が必要と認めた場合、感染者の就業制限等を行うことができ、物に対しては消毒等の措置を行うことができます。

動物からヒトへの感染が確認されている「四類感染症」では、動物も含む消毒等の措置がとられます。

「五類感染症」では、感染症の発生動向調査を行い、ほかの感染症のような具体的な措置は行われません。

「新型インフルエンザ等感染症」では、都道府県知事が必要と認めた時に感染者に入院の措置をとることができ、物については消毒等の措置をとることができます。政令によって一類感染症の同等の措置を講じることも可能になり、感染したおそれのある人について、可能性の段階で健康状態報告要請や外出自粛要請を行うことができるなど、感染症の中でもあらゆる措置が認められています。


「新感染症」では、症例が積み重ねられる前と後で実施できる措置の内容が異なっており、症例の積み重ね前は、厚生労働大臣が都道府県知事に対して、その感染症の対応について、個別に指導・助言といった措置がとられます。症例積み重ね後には、政令で規定しますが、場合によっては一類感染症に準じた対応も可能となります。

そして「指定感染症」では、一類・二類・三類感染症に準じた対人措置として、感染者の入院や就業制限等の措置を実施できるほか、消毒などの対物措置も可能です。ただし、指定感染症の措置については延長期間も含めて、最大2年間に限定して有効のようです。

▼参考:厚生労働省「感染症法に基づく医師の届出のお願い」
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/kenkou/kekkaku-kansenshou/kekkaku-kansenshou11/01.html

厚労省は「新型コロナウイルス」を指定感染症に指定

2020年1月28日に出された政令で、「新型コロナウイルス」は上記の感染症の枠組みのうち「指定感染症」に分類されました。

つまり、これにより「新型コロナウイルス」の感染者に対して入院の措置や、一定期間の自宅待機措置、感染が起きた場所等の消毒は、「新型コロナ」が「指定感染症」であるため実施できた措置できるようになりました。

「指定感染症」には、「新型コロナウイルス」の他にも、現在「鳥インフルエンザ」の一部が指定されています。

▼参考:厚生労働省「官報:令和2年1月28日:号外特第4号」
https://www.mhlw.go.jp/content/10900000/000589748.pdf

「新型コロナウイルス」とは?その特徴について

厚生労働省によれば、「新型コロナウイルス」に感染し、発症した場合の症状は、発熱やのどの痛み、咳などです。咳は、1週間ほど長引くことが多く、また強いだるさや倦怠感を訴える方も多く報告されていることが特徴です。

また、感染者の一部で味覚障害を訴える方の報告も増えており、味覚や嗅覚の異常が起こる可能性も指摘されています。

一方で、「新型コロナウイルス」に感染して発症しても、軽症で済む場合もあるようです。既に治って退院した患者の例も多数報告されています。

さらに、感染しても無症状であり、本人も自覚がないうちに感染しているケースも把握されています。

重症者の割合は低いものの、重症化するリスクは高い

「新型コロナウイルス」の国内の流行が始まった頃には、軽症、無症状の患者の割合が高いことから、感染のリスクを軽視する見方もありましたが、著名人が犠牲となるなど深刻な影響が広がり、国民的に危機感は高まっています。

感染した方によっては、季節性のインフルエンザなどと比較すると、「新型コロナウイルス」の症状は重症化するリスクが高いと考えられおり、他人に感染させないことが重要だという考え方に徐々にシフトしています。

「新型コロナウイルス」による症状が重症化すると肺炎となり、国内外で亡くなる方が毎日のように確認されています。特に高齢者や基礎疾患のある人は重症化しやすい可能性があり、感染は避けたいところです。

▼参考:厚生労働省「新型コロナウイルス感染症について」
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000164708_00001.html


新型コロナウイルスの感染ルートについて

「新型コロナウイルス」は飛沫感染と接触感染により感染することが確認されているようです。

厚生労働省は今のところ、空気感染は起きていないとの見方を示していますが、それでも閉鎖された空間や、近距離での多人数の会話などには注意が必要だと呼びかけています。

飛沫感染とは?

飛沫感染とは、感染者のくしゃみ、咳、つばなどの飛沫と一緒にウイルスが放出され、そのウイルスを他の人が口や鼻などから吸い込むことで感染することです。いわゆる空気感染とは異なります。

接触感染とは?

接触感染とは、感染者が、くしゃみや咳を手で押さえた後、その手で周りの物に触れることで感染が拡がることを指します。他の人がウイルスがついた場所を触るとウイルスが手に付着し、その手で口や鼻を触ると粘膜から感染してしまいます。

新型コロナ感染予防ー日常生活で気をつけること「3つの密」について

厚生労働省のホームページなどで、「新型コロナウイルス」の感染予防のために日常生活で気をつけることが発表されています。

また、厚生労働省は、「3つの密」がある場所は集団感染の恐れがあるとして、注意を呼びかけるポスターを作成し、全国の公共施設等に共有しました。

厚生労働省によれば、クラスターと呼ばれる集団感染の共通点は、「換気が悪い場所」、「人が密に集まって過ごすような空間」、「不特定多数の人が接触するおそれが高い場所」だということがわかってきているようです。

「新型コロナウイルス」の感染予防のために日常生活で気をつけることイメージ画像1

「新型コロナウイルス」の感染予防のために日常生活で気をつけることイメージ画像2

「新型コロナウイルス」の感染予防のために日常生活で気をつけることイメージ画像3

出典)首相官邸HPより (厚生労働省

予防その1:こまめな手洗いが大切

「新型コロナウイルス」の感染を予防するために、まずは基本的な手洗いが大切です。帰宅時や調理の前後、食事前などに、こまめに石けんやアルコール消毒液などで手を洗うことが、感染を防ぎます。

正しい手の洗い方について、動画も公開されているので、参考にしてみてください。

▼動画:厚生労働省「正しい手の洗い方」

予防その2:咳エチケットも重要

すでに咳など、「新型コロナウイルス」の疑いがある症状がある場合には、咳エチケットも重要です。

咳エチケットとは、咳による飛沫感染や接触感染を防ぐための行動です。マスクをして飛沫が飛び散らないように気をつけることはもちろん、咳やくしゃみを手で押さえると、その手で触ったものにウイルスが付着し、ドアノブなどを介して他の方に病気をうつす可能性があるので、やはりマスクで抑えるようにします

これは、「新型コロナ」に限らず、普通のウイルス性の風邪についても同様のことが言えます。

厚生労働省は「正しいマスクの付け方」も動画で紹介しています。

▼動画:厚生労働省「正しいマスクの付け方」

上記以外にも注意が必要なこと

「新型コロナウイルス」の感染予防について、手洗いやマスクを着用するほか、特に持病がある場合や、高齢の場合は、できるだけ人込みの多い場所を避けることで感染するリスクを下げることができます。


また、感染を他の人に拡げないためには、念のため発熱等の風邪の症状が見られるときは、学校や会社を休むことが重要です。

万一、発熱等の風邪症状が見られたら、毎日体温を測定して記録することも勧められています。

「新型コロナ」の感染が疑われる場合はまず相談窓口へ!

厚生労働省によると、次の症状がある場合には自治体の「帰国者・接触者相談センター」に電話でまず相談して、医療機関を受診するかを判断します。

自治体によっては新たに「帰国者・接触者相談センター」を設置しているところと、保健所や保健センターが窓口になっているところがあります。自分の住所がある自治体がどのような措置をとっているのかは、それぞれ自治体のホームページなどで確認することができます。

帰国者・接触者相談センターに相談するべき症状

・風邪の症状や37.5°C以上の発熱が4日以上続いている (解熱剤を飲み続けなければならないときを含む)
・強いだるさ(倦怠感)や息苦しさ(呼吸困難)がある
※ 高齢者や基礎疾患等のある方は、上の状態が2日程度続く場合

「帰国者・接触者相談センター」で相談した結果、「新型コロナウイルス」に感染した疑いのある場合には、 専門の「帰国者・接触者外来」を紹介してもらえるようです。 受診の際にはマスクを着用し、公共交通機関の利用を避けて、病院や診療所に向かう必要があります。

▼参考:厚生労働省「帰国者・接触者相談センター」
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/covid19-kikokusyasessyokusya.html

万が一家族が感染したら?家庭内での過ごし方について

厚生労働省は、家族に「新型コロナウイルス」に感染した疑いがある場合について、どのように家庭で過ごせばよいのか注意点を公表しています。

軽症者や無症状の患者の場合、自宅療養の措置を取る自治体も出始めており、家族内に感染者が出た場合も、この過ごし方を参考に、感染を広げないような工夫が、今後より一層必要になると思われます。

▼参考:厚生労働省「家庭内でご注意いただきたいことー8つのポイントー」
https://www.mhlw.go.jp/content/10900000/000601721.pdf

まとめ

このページでは、流行中の「新型コロナウイルス」について、日本の感染症予防を管轄する厚生労働省が、どのような情報を国民に発信しているのかをまとめました。

厚生労働省は感染症を8種類に分類して管理し、その分類によって実施できる措置が異なることも解説しました。

厚生労働省が感染症に関して発表した内容は、各種メディアによって広く国民に伝えられています。また、ホームページやポスターなどの、政府広報によっても、内容を詳しくしることができますので、気になる方は確認してみてください。

▼参考:首相官邸「新型コロナウイルス感染症対策の基本方針」
https://www.cas.go.jp/jp/influenza/kihonhousin.pdf

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本記事は、2020年4月28日時点調査または公開された情報です。
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