公的機関が続々とドローンを活用し始めています
身近なところでドローンが撮影した映像などを頻繁に見られるようになるなど、ドローン技術が発達したことであらゆることができるようになりつつあるのは、誰もが実感していることだと思います。
そして、ドローンの技術は、私たちの命や安全や守る場面でも活用できるまで確立してきているようです。
例えば、警察による防犯目的での使用や、自衛隊による災害救助目的での使用といった、公的機関での利用法があります。
私たちの生活を支えようとしつつあるドローンの活用法についてご紹介します。
そもそも、「ドローン」って何?
ドローンは、国土交通省の定義では「無人航空機」のひとつに分類されています。
平成27年9月11日に改正された航空法第2条第22項によると、「無人航空機」とは、「航空の用に供することが出来る飛行機、回転翼航空機、滑空機、飛行船その他政令で定める機器であって、構造上人が乗ることが出来ない物のうち、遠隔操作又は自動操縦(プログラムにより自動的に操縦を行うことをいう。)により飛行させる事が出来る物(その重量その他の事由を勘案してその飛行により航空機の航行の安全並びに地上及び水上の人及び物件の安全が損なわれるおそれがないものとして国土交通省令で定めるものを除く。)をいう。」と定義されているようです。
つまり、「無人飛行機」は、「人が乗ることができない飛行機、回転翼航空機、滑空機、飛行船であり、遠隔操作又は自動操縦により飛行させることができるもの」のことで、いわゆるドローン(マルチコプター)や、ラジコン機、農薬散布用 ヘリコプター等が該当します。
ただし、機体本体の重量とバッテリーの重量の合計の重量が200グラム未満のものは、無人航空機ではなく「模型航空機」に分類されるので、ドローンには含みません。
また、ドローンは国交省の定義では、マルチコプターつまり、3つ以上の回転翼を持つ機体を示しているようです。
一方で、民間でのドローンの定義はより広い範囲を示していることもあり、回転翼の数にかかわらず、「無人航空機」すべてを指してドローンと呼ぶことが一般的には多いようです。
さらに、防衛省や自衛隊、警視庁はドローンを「小型無人機」としており、ドローンの定義は組織によっても少しずつ異なるようです。
▼参考URL:国土交通省「無人航空機(ドローン、ラジコン機等)の安全な飛行のためのガイドライン」
(https://www.mlit.go.jp/common/001287979.pdf)
警視庁「ドローン迎撃部隊IDT」 – 「ドローン対ドローン」を想定した部隊
出典)時事通信トレンドニュース
警視庁には、無人航空機対処部隊、通称IDTが2015年から設置されています。IDTは 「Interceptor Drones Team」の略であり「迎撃ドローン部隊」を意味しています。
IDTは、無人航空機、つまりドローンからの攻撃を迎え撃つ部隊であり、「ドローンを撃退するドローン」が活用されています。
つまりドローンにはドローンで対抗するよう、日々訓練されているのです。
最近では、2019年11月10日に行われた新天皇即位に伴う「祝賀御列の儀」と呼ばれる祝賀パレードにおいて、この迎撃ドローンが配備されました。
いわゆる「ドローンテロ」にそなえ、不審ドローンが発見された場合に、捕獲用の網を吊り下げた大型ドローンが捕まえるという計画だったようです。
また、東京オリンピック・パラリンピック大会についても不審ドローン対策は必須であり、大会は開催延期にはなりましたが、防犯上の準備が引き続き進められています。
▼参考URL:警視庁「平成28年版警察白書:第1項警察における国際テロ対策」
https://www.npa.go.jp/hakusyo/h28/honbun/html/sf121000.html
自衛隊でのドローン活用事例 – 物資の運搬や投下に利用
自衛隊でもドローンは活用されています。
2019年、陸上自衛隊はクリーク・アンド・リバー社とサイトテック社との共同演習で、大型ドローンによって20キログラムの救援物資を1キロメートル運ぶことに成功したと発表しています。
日本国内では近年、地震や台風などの災害が増加しているため、救援物資の運搬手段として機動性が高く、重量物の運搬が可能な大型ドローン活用が進んでいけば、自衛隊による救難活動がより円滑に進むのではないかと期待されています。
岡山県警察 ドローンによる災害救難・捜索の事例
警視庁だけでなく、地方警察本部でも、民間企業などと連携したドローンの活用が広がっています。
例えば、岡山県警では、2018年の西日本豪雨を受け、甚大な被害を受けた倉敷市真備町地区を管轄する玉島署や、倉敷市内の4警察署と総社署が、災害時の情報収集を目的とする小型無人機ドローンの活用を始めました。
ドローンの導入にあたっては、無人機操縦の教習事業などを展開する倉敷市内の企業、日本交通教育サービス社と活動協力の協定を結んだようです。
協定では、自然災害や大規模な事故発生時に、「被害状況の把握」「要救助者の発見」「捜索中のけがなどの、二次被害防止」などでの活用が盛り込まれています。
警察署からの要請を受けた日本交通教育サービス社が、操縦士を派遣し、約2キロメートル圏内で捜索します。
情報収集などに協力します。日本交通教育サービス社は中型6機を所有していて、うち災害用の1機は記録音声での避難の呼び掛けや、サーモグラフィーによる要救助者の体温確認など高機能が備わっているようです。
▼参考URL:岡山県警察
https://www.pref.okayama.jp/site/kenkei/
三重県の事例 産業廃棄物の不法投棄をドローンで監視
三重県では、産業廃棄物が不法投棄されないよう、警察や民間警備会社などと連携してパトロールを強化しており、その取り組みの一つとして、無人航空機ドローンによる監視・測量システムを導入しているようです。
具体的には産業廃棄物の不適正な現場を上空から監視することや、上空から撮影した写真をもとに3D化した画像から、廃棄物の体積を計算して、事業者が抱える廃棄物の物量を把握し、事業者への的確な指導に繋げるなどの取り組みを実行しているようです。
▼参考URL:三重県「三重県における廃棄物監視・指導の取組み」
http://www.pref.mie.lg.jp/KANSHI/HP/m0058900010.htm
まとめ
このページでは、公的機関によるドローンを活用した、命や安全を守る防犯などの取り組みについてまとめました。
ここ数年、ドローンは防犯にまで活用できるようになっており、様々な場面で試験運転や訓練、実際に稼働していることが各所で発表されています。
また、従来は想定されなかったドローンによる攻撃「ドローンテロ」についても警戒は強まっており、ドローンを捕獲するためのドローンの技術なども進歩しているようです。
撮影用や、レースなどのエンターテイメント用など、私たちの暮らしに身近になりつつあるドローンですが、さらに高い技術と信頼性が必要な防犯用や災害救助用、パトロール用などでも活用されている事例をご紹介しました。
コメント
コメント一覧 (3件)
ドローンの定義から、自衛隊での使用用途まで知ることができて面白かったです。また、ドローン対ドローンの戦いが本当に現実的になっていることが興味深かったです。
最近ドローンの脅威というような内容のテレビ番組を見て、ドローンの役立っている事例についてももっと知りたいと思っていたので、具体的に使われている事例について知れて良かったです。
オリンピックも最近まで開催されていましたが、実際にドローンがどのように使われているが知れてためになりました。ドローンがドローンを捕獲する動画は感動しました。危険動物の捕獲などにも使えそうですね。