ここが変だよアメリカ、タバコはダメだけどマリファナは合法?

日本で大麻を使用すると犯罪ですが、アメリカでは大麻使用が合法の州があります。

本記事では、喫煙者には厳しく大麻は合法という、日本では考えにくいアメリカの社会状況について詳しく解説します。


はじめに - タバコはNG、大麻はOK?

公共の場でタバコが吸える喫煙者にまだまだ甘い日本と違い、室内全面禁煙が義務付けられているアメリカでは、タバコを吸う人はかなり肩身の狭い思いをします。

しかしその一方で、日本なら所持しているだけでも違法になるマリファナの合法化が進み、現在アメリカ50州のうち、サウスダコタ、ネブラスカ、アイダホ州を除く47州が、何らかの形で大麻を合法化しています。

アメリカでは年々、喫煙者が減少している

アメリカ疾病予防管理センター(CDC)が2019年に行った調査によると、アメリカ成人の喫煙率は年々下降の一途を辿り、1965年には42.4%だった喫煙人口が今や13.7%となっています。

過去には日本と同じように、アメリカでもタバコは日常生活の一部になっていて、オフィスやバー、そして飛行機の中でも喫煙することが許されていました。しかし1964年に喫煙が心臓病や脳卒中、肺がんなど深刻な健康被害を引き起こすと発表され、タバコに対する見方が一変しました。

会社やバーなど公共の場で禁煙運動が盛んになり、現在ではすべての飲食店、公共の建物の中は勿論のこと、正面入り口周辺での喫煙も禁止されています。また近年では室内のみならず、全敷地内禁煙のアパートやホテルも多く見かけるようになりました。

2010年には、喫煙者が更に禁煙しやすいように、禁煙プログラムやグッズなども保険対象になり、タバコ喫煙者の数はさらに減って来ています。

タバコの値段も年々値上がりして、今では一箱10ドル位するのが当たり前で、価格は更に上昇していく傾向にあります。しかしタバコがこんなに高額になったお陰で、今までタバコをやめられなかった人も禁煙するようになり、10代のお小遣いでは賄い切れないため、タバコを興味本位で吸い始める若者も少なくなりました。

政府は莫大なタバコ税収入を使って、タバコの危険性についての認識を高めるのに大変役立つ情報を発信しています。かなりホラーなCM「The Real Cost」で、タバコが人体にどれほど悪影響を及ぼすか、タバコを吸うとこんな恐ろしい結果になるのか具体的に紹介していて、これは日本も見習うべきだと思います。

アメリカにおける「マリファナの合法化運動」

こういったタバコの禁煙運動のおかげで、タバコの喫煙者はどんどん減って来たわけですが、今度は大麻の医療効果を理由に、マリファナの合法化運動がどんどん進み、大麻喫煙者が増加して来ています。

現在アメリカでは、アラスカ、カリフォルニア、コロラド、イリノイ、メイン、マサチュウセッツ、ミシガン、ネバダ、オレゴン、バーモント、ワシントンの11州がマリファナを嗜好品として認めています。その他の33州でも医療大麻が州法で合法化されていて、医師の処方箋とマリファナメディカルカードを持っている人のみですが、合法的に大麻を購入、使用する事ができます。

マリファナを早くから嗜好品として認めた、カリフォルニアやコロラド州ではマリファナツアーも盛んで、21歳以上なら外国人でも、ディスペンサリーと呼ばれる販売店で大麻を購入し、決められた場所でなら使用が認められています。


私が住んでいるアリゾナ州は、医療用大麻のみ合法化されて、正規のお店はストリップモールの中などにあり、お店の外装も綺麗で、店名も『リトルグリーン』や『ナチュラルコンセプト』など、一見するとオーガニックフードを取り扱う、小綺麗なカフェといった佇まいで、初めて来店する人も気軽に入れるようになっています。

どの州でも、合法的に売られているマリファナは安全性が確認されているので、高品質な大麻を堂々と買えるのに、オフマーケット(ブラックマーケット)は依然として無くなりません。その大きな理由の一つに、合法当麻は非常に高価で経済的に余裕のある人ばかりが服用者ではない、という事が挙げられると思います。

例えばアリゾナ州で合法的に医療用マリファナを購入するのには、マリファナカード代金$150(生活保護対象者は$75)年会費$500、商品の代金プラス5.6%の州税と0.25〜4%の市税を支払わなくてはなりません。嗜好用大麻を購入できるカリフォルニア州では、マリファナカードなしでも購入できますが、例えばロサンゼルスでカードなしでマリファナを買うと、商品代金に34.5%の税金が上乗せされます。

大麻が医療用に処方されるのは、癌、緑内障、H I V、C型肝炎、筋萎縮性側索硬化症(ALS)、クローン病など、長期に渡って薬が必要な病気が多く、高額なカード維持費や税金を避けるため、地元の人しか知り得ない、看板もない違法ショップや、個人で栽培している人から、非合法にこっそり買う人も多いようです。

そういった非合法のマリファナの中には、有効成分の安定していない低品質のものや、何らかの化学物質が添加された人体に悪影響を及ぼすものもあり、使用の際には危険が伴います。そしてもちろん非合法のものを購入するのは違法なので、警察に見つかれば逮捕されます。しかし違法とわかっていても、非合法大麻を購入するしかない低所得者層の人も多く、貧富の差が浮き彫りにされます。

忘れてはいけない、マリファナ使用の危険性

大麻には大きな医療効果があり、マリファナの中毒性はカフェイン程度、ニコチンやタールが含まれていないので、喫煙リスクはタバコほど有害でないと考えられています。しかし本当に健康被害がないのでしょうか。

今流行している電子タバコは、タバコの煙に含まれる有害な化学物質のレベルがはるかに低くなっているので、タバコより安全と言われていますが、電子タバコの使用者に呼吸器系の疾患が増えてきています。マリファナ製品のカートリッジもあるので、それが原因なのかも知れません。

また妊娠中や授乳中にマリファナを使用すると、アルコールやタバコと同様に、赤ちゃんに害が及ぶ可能性があります。マリファナの大量使用で、記憶が飛んでしまったり、学習、注意力にダメージを与える危険性もあるそうます。

マリファナの使用によって、不安、うつ病、統合失調症を引き起こすとも言われていますが、まだ直接の因果関係は、はっきりとわかっていません。しかし歩道で佇んでいるホームレスの中には、マリファナの匂いがする事もあり、そういう人に限って泥酔した人のように、一人で何か大声で喋っていたりする事があり、近くを通らなければならない場合はとても怖いです。

しかしそれでも、大麻使用に害があることを疑っているアメリカ人は少ないようで、大麻の合法化は教育費の無料化や最低賃金の上乗せよりも人気があります。事実、国民の60%以上が大麻合法化を支持していて、これからも大麻に対する法規制は緩くなっていくと思われます。

まとめ

以上、「ここが変だよアメリカ、タバコはダメだけどマリファナは合法?」でした。

政府は大麻を合法化することによって、健康被害のあるタバコの喫煙率も下がり、大麻が犯罪組織の資金源になるのを防止する事ができるとも言っています。マリファナ産業から得られる税収も相当なものになり、栽培者の雇用も創出しています。

アメリカではすでにいかに合法化するのかが争点になっていて、これからもマリファナに対する規制が緩くなっていくのは避けられないと思います。それならば大麻販売で得られた税金を研究に使って、甚大な健康被害ではなく大麻の更なる有効性など、良い事をどんどん発見して欲しいものです。

参考資料サイト

Marijuana Legality by State
https://www.oberk.com/marijuanalawsbystatein2020#:~:text=How%20Many%20States%20Have%20Legalized,some%20form%20of%20medical%20weed.

Center for Disease Control and Prevention(CDC): https://www.cdc.gov/tobacco/data_statistics/surveys/index.htm


ARIZONA DEPARTMENT OF HEALTH SERVICES:
https://www.azdhs.gov/licensing/medical-marijuana/index.php#faqs-patients

本記事は、2020年8月28日時点調査または公開された情報です。
記事内容の実施は、ご自身の責任のもと、安全性・有用性を考慮の上、ご利用ください。

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