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ひとつじゃない?トランプ前大統領が抱える4つの裁判

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不倫の口止め料の業務記録を改ざんした罪で、米国史上初の有罪判決を受けた大統領経験者となったトランプ氏ですが、この裁判の他にあと3つ刑事裁判を抱えています。そこで今回は、トランプ氏が抱える 4 つの裁判について説明したいと思います。

目次

トランプ氏が起訴された4つの事件の主な容疑とその内容

現在トランプ氏が抱えている刑事裁判は以下の4件、合計91の罪状で起訴されています。

(1)不倫の口止め料を巡り業務記録を改ざんした罪で起訴され、罪状34件、ニューヨーク州法で裁かれました。
(2)ホワイトハウスから機密文書を持ち出し自宅で不正に所持した罪で起訴され、罪状40件、連邦法で裁かれる予定です。
(3)2020年に行われた大統領選挙の結果を覆そうと集計作業の妨害を図り、2021年1月6日に起こった米国議会議事堂襲撃事件に繋がった罪で起訴され、罪状4件、連邦法で裁かれる予定です。
(4)2020年の大統領選を覆そうとジョージア州務長官らに圧力をかけた罪で起訴され、罪状13件、ジョージア州法で裁かれる予定です。

(1)の不倫口止め料事件に関しては、すでに34件全ての罪状で有罪評決を受けていて、7月11日に裁判官から量刑を申し渡される予定になっています。この裁判の結果が今後の大統領選にどれほど影響を与えるかは、今年11月に投票結果が出るまで、まだ誰にもわかりません。しかし裁判にかかる時間や費用は、ほぼ確実にトランプ氏の選挙活動に影響を与えているようで、トランプ陣営はできる限り裁判を遅らせよう、色々と画策している模様です。

トランプ陣営が行っている裁判の遅延戦術

まず(3)の米国議会議事堂襲撃事件に関しては、大統領在任中の行為は刑事訴追が免除される特権があると連邦裁判所に主張した結果、裁判所側は大統領の免責をめぐる論点の決着がつくまでトランプ氏に対する刑事裁判の公判を始められなくなりました。

現在のところ米国議会議事堂襲撃事件の裁判は無期限で延期されていますが、もしこの論点の決着が「大統領在任中の行為でも刑事訴追は免れない」となったとしても、初公判が今年の9月以降になれば、一審判決は11月の大統領選投票日を跨ぐ可能性があります。

また(4)のジョージア州政府に圧力をかけ選挙結果を覆そうとした事件に関しても、担当検事のファニ・ウィリス氏と特別検察官のネイサン・ウェイド氏との間に不適切な関係(不倫疑惑)がある可能性を指摘し、検事としての適性を審理するよう申し立てました。この申立てを受け、ジョージア州裁判所はウィリス氏に対する審理の結果が出るまで、トランプ氏に対する刑事訴訟を保留にすると2024年6月5日に発表しました。

ファニ・ウィリス氏に対する弁論の審理は10月4日から始まる予定なので、現段階でトランプ氏と他8人の共同被告は、11月の投票日以前に裁判を受けないことがほぼ確実となっています。

トランプ氏が大統領になれば、自身を恩赦できるのか?

トランプ陣営の遅延戦略が功を奏してか、3件全ての公判予定は現在未定、または開かれたとしても大統領選挙投票日以降になりそうです。もし仮に今回の大統領選挙でトランプ氏が勝利して大統領になった後に裁判が行われ有罪評決が出て、禁固刑が言い渡された場合、果たしてトランプ氏は自分自身を恩赦できるのかが気になります。

合衆国憲法第2条は弾劾の場合を除き、連邦法違反のケースに関して大統領に恩赦を認める権限を与えています。大統領自身に対しても弾劾が成立していなければ、捜査の有無にかかわらず、自らに恩赦を与えることを禁じてはいません。

そのため理論上では、トランプ氏が選挙で勝利し2025年に大統領に就任すれば、(2)と(3)の事件で自らに対する起訴取り下げを司法長官に命じ、有罪を回避できる余地があります。しかし大統領の恩赦権は連邦法違反のケースのみで、州法違反には適用できません。そのため州法に基づく(1)と(4)の事件に関しては、トランプ氏が大統領になっても起訴取り下げを命じる権限が発生しません。


特に(4)の裁判の舞台となるジョージア州の恩赦権は、州知事ではなく「恩赦・不起訴委員会」が持っていて、恩赦が降りるにしても、有罪判決から5年を経過した後でなければならないなど、一定要件を満たさなければなりません。そのためもしジョージア州法に基づく裁判で有罪になれば、いくらトランプ氏と言えど、そう簡単に刑罰から逃れられないのではと予想されます。

ただ大統領任期中には、不逮捕特権が慣例により与えられます。もしトランプ氏が大統領に当選すれば、就任中に州法の改正や担当検事の弾劾手続きを強引に進めることも可能になります。州憲法の改正や担当検事の弾劾の手続きには、州議会の上下両院で3分の2の賛成が必要なので、実現性は低いですが不可能とは言い切れません。だからこそトランプ氏はどんなに起訴されても無罪を主張し続け、選挙活動を続けているのだと思います。

まとめ

この4つの事件が解決するまで、今後もトランプ氏は被告人として裁判に出廷する傍ら、共和党の代表として大統領選に挑むことになりそうです。

本記事は、2024年6月27日時点調査または公開された情報です。
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公務員総研の編集部です。公務員の方、公務員を目指す方、公務員を応援する方のチカラになれるよう活動してまいります。

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