新型コロナ第三波は「入国規制緩和」が原因なのか検証!ポイント・ダイジェスト
1)新型コロナ第三波「入国規制緩和による外国人感染者増加説」を独自調査!
2)「入国規制緩和」も一因かもしれないが、それ以外の要因も捨てきれず、断定はできない
3)国籍が調査されなくなった5月以降、検証できない状態。この体制には批判も。
4)感染者の国籍が調査されないことが不信感・不安を助長し、フェイクやデマ情報が流れるきっかけを作ってしまったと見られる
5)実際に「外国人クラスター」が発生している地域は新型コロナの多言語でのリスク周知の対応に追われている
6)一方で、新型コロナに関する外国人に対する差別や偏見が問題化する地域も。行政の情報公開は慎重にならざるをえない。
*2020年12月9日調査・執筆の記事です。
新型コロナ第三波は「入国規制緩和」による外国人の影響なのか?検証します
日本では2020年11月に新型コロナ感染症の感染者が急増し、11月は月間で過去最多の国内感染者を数えるなど、まさに「第三波」が到来している状況です。
日本の新型コロナの感染動向について振り返ると、第一波は3〜4月頃、第二波は8月頃に到来しています。
国の企画「GoToトラベル」がコロナ第三波の原因なのか?
この第三波の到来について、多くの有識者の見解では「GoToトラベル」や「GoTo eイート」などの国の政策が影響しているのではないかと批判が集まっています。
しかし一方で、6月から段階的に始まった「入国規制緩和」が原因なのではないか、という指摘もネットを中心に広まっているようです。
この指摘は簡単に言えば、「日本のコロナ第三波の感染者には外国人が多く含まれているのではないか?」という意見です。この指摘が本当なのか嘘なのか、調査しました。
▼参考URL:J−CASTニュース|コロナ第3波は「GO TOより入国緩和の影響では」との推測も 厚労省や医師に見解を聞いた
https://www.j-cast.com/2020/11/25399679.html?p=all
「入国規制緩和」の流れをおさらい。段階的に外国人を受け入れ
新型コロナウイルス感染症の感染拡大防止のために、日本では外国籍の方の「入国規制」が行われてきました。
2020年3月から中国や韓国の一部やヨーロッパの感染拡大地域からの入国制限でしたが、世界的な感染拡大に伴い、4月3日には中国全土やアメリカ、イギリスも含めた73カ国からの入国拒否に至りました。
その後、第一波が落ち着いてきた6月頃から、「在留資格者」などを中心に、比較的、感染症の拡大がおさまった国や地域からの入国規制緩和が行われました。
▼参考URL:
外務省|新型コロナウイルス感染症に関する水際対策の強化に係る措置について
https://www.mofa.go.jp/mofaj/ca/fna/page4_005130.html
日本経済新聞|経済再生へ入国緩和拡大 ビジネス滞在72時間以内容認
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO65339360S0A021C2PP8000
在日中国日本国大使館|在留資格を有する方に対する再入国に関する措置
https://www.cn.emb-japan.go.jp/itpr_ja/00_000485.html
2020年の日本への外国人入国者の推移
2020年の1月時点では、約266万人の外国人が日本にやって来ていましたが、新型コロナウイルス感染症の世界的な感染拡大と、日本国内の感染拡大により、5月にはわずか約1600人にまで落ち込みました。
日本に入国した外国人の数をご紹介します。
空港検疫では、入国規制緩和に伴って、陽性者も増えている。
一時期、入国規制に伴って月間1600人にまで落ち込んだ訪日外国人でしたが、入国規制緩和によってその数は回復しつつあります。
しかし、一方で、空港検疫での陽性者についても、入国規制緩和に伴って増加しました。
2020年6月から7月にかけては、外国籍の陽性者が2倍以上になりました。入国者数全体で見ると、6月から7月にかけては、約2500人から約3700人と1.5倍程度の増加だったので、いかに外国籍の陽性者がこの時期割合として多かったのかがわかります。
日本国内での感染者の増減。4月に第一波、7〜8月の第二波、11月から第三波到来中
日本国内の新型コロナウイルス感染者は、「第一波」と呼ばれる2020年4月、「第二波」と呼ばれる7〜8月に増加しました。そして11月に「第三波」が到来し、今までで最多となる約4万7千人まで感染が拡大し、12月に入った現在もその数は増え続けています。
日本国内の感染者数 (*公務員総研 厚生労働省のデータ調べ)
2020年 | 合計人数 | 国籍 |
---|---|---|
2月 | 約180名 | 国籍不明・または調査中:27名 |
3月 | 約1800名 | 国籍不明・または調査中:約830名 |
4月 | 約1万2000名 | 国籍不明・または調査中:約5800名 |
5月 | 約2700名 | 5月以降は国として国籍公表せず |
6月 | 約1800名 | 国籍公表せず |
7月 | 約1万7200名 | 国籍公表せず |
8月 | 約3万2000名 | 国籍公表せず |
9月 | 約1万5000名 | 国籍公表せず |
10月 | 約1万7000名 | 国籍公表せず |
11月 | 約4万7300名 | 国籍公表せず |
▼参考URL:厚生労働省|国内の発生状況など
https://www.mhlw.go.jp/stf/covid-19/kokunainohasseijoukyou.html
国内全体の感染者の「国籍」が、2020年5月以降はわからない状態
新型コロナウイルスの陽性者について、当初は国がその人数を計上し発表していました。そのため、厚労省の方針でPCR検査時には「国籍」が調査されていたので、感染者の「国籍」が把握できる状態でした。
しかし、5月8日からは、陽性者の発表が都道府県ごとに公表になりました。これによって、検査時に「国籍」を調査していない自治体もあることから、厚労省としてはそれまでのように「国籍」で感染者を計上することができなくなり、公表されなくなったという経緯があります。
国籍の発表があった時期ー3月31日時点(日本国籍1099名、国籍不明854名 全体1953名)
国籍の発表があった時期ー4月30日時点(4月増加分:日本国籍5185名 外国籍確定222名 国籍不明6728名 全体12135名)
国籍の発表が無くなった5月ー5月31日時点(5月増加分:全体1872名 国籍の公表がなくなる)
新型コロナ感染症のPCR検査実施時に「国籍」を調査するかは自治体の判断
厚労省の説明によると、2020年5月8日以降、新型コロナ感染症のPCR検査実施時に「国籍」を調査するかは自治体の判断に委ねる方針へと転換されました。
自治体によっては、国籍の発表を続けるケースもあり、賛否両論あるようです。例えば、外国籍公表を続けた京都府には「差別を誘う」との批判がありました。
▼参考URL:京都新聞|コロナ感染者「日本国籍」か「外国籍」か、なぜ発表? 「差別誘う」と専門家、京都府の対応に警鐘
(https://www.kyoto-np.co.jp/articles/-/238771)
あくまで新型コロナは含まない「一類感染症」で、厚労省は「国籍を公表しない」方針発表
2020年2月に厚労省から各都道府県などに、新型コロナウイルス感染症を含まない「一類感染症」が国内で発生した場合に、感染者の国籍を公表しないという方針が通達されていました。
新型コロナウイルスについては、今のところ「指定感染症」に指定されているため、「国籍情報の公表」について、厚労省から通達された基本方針に従う必要はありません。
しかし実際には、この「一類感染症」についての情報公開の基準を、新型コロナについても適用するものだと受け取る自治体が多数現れました。厚生労働省からの通達の一部には、下記のような文言も掲載されています。
「新型コロナウイルス感染症を含め感染症法上の一類感染症以外の感染症(二類感染 症等)に関わる情報公表についても、厚生労働省では、基本方針を踏まえ、疾患の特徴や重 篤性等を鑑みてプレスリリースを発出しているところですが、貴職におかれましても、基本方針を参考にしつつ、引き続き適切な情報公表に努めるようお願いいたします。」
名古屋市は新型コロナ感染者についても、厚労省の方針に従って国籍を公表しないようにしたとの情報が、この「一類感染症」についての通達とともに、Twitter上で拡散されています。
Twitterハッシュタグ「感染者国籍問題」
#感染者国籍問題
それまで全感染者の国籍公表をしていた愛知県の※県内発生事例一覧にて
名古屋市発表分だけが4/15より国籍非公表に変更された理由を問い合わせました。担当者「今まで国籍を出してきた中で(国から)それが望ましくない。せめて居住地までではないかと」
※https://t.co/TBHnDGJSzq pic.twitter.com/nAD2FPwEfo
— syusyu (@syugyou_soul) May 23, 2020
「国籍を公表しない=隠している」と捉えられ、差別対策が裏目に
5月には、この厚労省の方針転換がきっかけで、外国人の感染者を隠しているといったフェイク情報がネット上でも増加し、拡散してしまったものと見られます。
新型コロナウイルスの「#感染者国籍問題」などとハッシュタグがつけられたツイートもあるようです。
そして、政界でもこの「国籍不明問題」について発信をする元議員や現役議員が現れ、言論は過熱しました。
2020年5月ー国内感染者のうち外国人が半数以上というミスリード
2020年5月には、「感染者のうち日本人は半分もいない」という誤情報が拡散しました。これは、国籍を調査しない自治体があることで、「日本人とわかっている人は半分もいない」というのが正しい情報であり、実際には国籍不明の人のうち大半が日本人だったようです。
▼参考URL:In Fact|[新型コロナFactCheck] 「感染者のうち日本人は半分もいない」の誤情報が拡散
https://infact.press/2020/05/post-5821/
コロナ感染者の「国籍不明」については、衆議院でも取り上げられている
コロナ感染者の国籍不明問題については、衆議院でも取り上げられています。感染者の国籍を調査しないことは、感染ルートについて検証できないなど、デメリットもあるようです。
▼参考URL:
衆議院|日本国内におけるコロナウイルス感染者の国籍に関する質問主意書(2020年6月11日)
http://www.shugiin.go.jp/internet/itdb_shitsumon.nsf/html/shitsumon/a201253.htm
衆議院|答弁第253号(2020年6月23日)http://www.shugiin.go.jp/internet/itdb_shitsumon_pdf_t.nsf/html/shitsumon/pdfT/b201253.pdf/$File/b201253.pdf
参議院議員のブログにも問題指摘の声があります
参議院議員にも、「国籍不明問題」を取り上げる議員がいます。
▼参考URL:参議院議員 大塚耕平|特段の事情
(https://ohtsuka-kohei.jp/mail-magazine/vol444.html)
日本公衆衛生学会からも、いち早く差別につながる対応をしないよう呼びかけ
2020年5月7日には、日本公衆衛生学会から、在日外国人への対応について、必要の情報の提供や、医療へのアクセスを支援することの大切さが呼びかけられています。
▼参考URL:日本公衆衛生学会|新型コロナウイルス感染症に関する在日外国人への対応について
https://www.jsph.jp/covid/menu5/
2020年9月ー外国籍の感染者が急増したことを公表した群馬県
2020年9月17日の群馬県知事の会見では、9月10〜16日の期間中に新型コロナウイルスに新規感染した人90人のうちの7割が「外国人」であったという発表があり、このニュースは全国的に知られました。
ただし群馬県で感染者が増えた「外国人」は、新規入国者ではなく、在留外国人
ただし、2020年9月の1週間で感染者が急増した「外国人」は新規入国者ではなく、元々日本に暮らし、働いている「外国人」が主です。
感染拡大の原因として、県は「大人数での会食やハグなど身体的接触の多さも一因」と考え、多言語による注意喚起を強化し多様です。
群馬県は感染者の国籍別データは明示していませんが、ペルー、ブラジル国籍の人が目立つとのことでした。
▼参考URL:外国籍急増に関する記事
朝日新聞|新型コロナ止まらぬ「第2波」 若者・外国籍の感染急増
https://www.asahi.com/articles/ASN9T728HN9TUHNB006.html
静岡新聞|新規感染7割が外国籍、群馬 会食やハグも影響?
https://www.at-s.com/news/article/health/national/811268.html
外国人コミュニティへコロナ感染リスクの周知がうまくいかない「言葉の壁」問題
群馬県で外国人感染者が増加した背景には、「言葉の壁」「文化の違い」がある可能性があることが、群馬県の担当者発表によっても言及されています。
群馬県では、県内に住む日本語が不得意な外国人のために6言語の啓発ポスターを作成し、感染リスクの周知を徹底していく方針のようです。
また、群馬県大泉町では、日本語がわからない、話せない親や家族に、日本の学校などで学ぶ子どもから「新型コロナ」に関する情報を伝えてもらおうという動きがあります。
▼参考URL:大泉町|20200925町長からのお願い(外国籍の子どもから家庭へ)(youtube)
https://youtu.be/WHLPiWPybnQ
▼参考URL:
産経新聞|群馬、コロナ新規感染の7割が外国人 習慣も影響か 啓発強化へ
https://www.sankei.com/life/news/200918/lif2009180031-n1.html
大泉町|町長からのお願い(外国籍の子どもから家庭へ)
https://www.town.oizumi.gunma.jp/1600990944-74.html
専門学校クラスターが発生した仙台市では感染者の国籍が「外国国籍」かを公表している
仙台市では、2020年10月に自動車専門学校でのクラスターが発生し、校内の感染者114人のうち、109人が外国籍という事態が発生しました。
仙台市では当クラスター発生以前にも、感染者の国籍について「日本国籍」か「外国国籍」なのかを公表しており、この外国人クラスターについても同様の対応が取られています。
▼参考URL:
仙台市|新型コロナウイルス感染症の患者の発生について(仙台市内381~410例目)
https://www.city.sendai.jp/kenkoanzen-kansen/shise/koho/kisha/r2/1025corona.html
朝日新聞|外国人の間でもクラスター デマも発生、差別の懸念も
https://digital.asahi.com/articles/ASNCX334SNCNUTIL05S.html
医療ツーリズムの動きと新型コロナ
新型コロナに関する外国人への差別、偏見は、2020年1月の時点から始まっていたようです。
もともと2020年は、東京オリンピックの開催に合わせて、日本に「医療ツーリズム」でやってくる外国人が増加することが予想されていました。
2019年年末から、2020年頭にはまだ新型コロナの脅威が迫っていなかった状態だったため、「医療ツーリズム」に関する発表や報道が目立っていました。
そのような中で、発生したフェイクニュースが日本に「中国人が医療ツーリズムで押し寄せる」というものでした。
1月に発生したフェイクニュースー「中国人が医療ツーリズムで押し寄せる」は誤り
新型コロナウイルス感染症の拡大が最初に確認され、世界から注目されていた中国からの観光客が多い日本では、「新型コロナによる肺炎の治療のために、中国人が日本に押し寄せる」「日本で外国人の医療費は免除される」などのデマ情報が流れたようです。
このデマについては厚労省の担当者も「正確ではない」と反応しており、日本に在留期間が3カ月以下の人や、在留資格が「短期滞在」、または「特定活動」のうち医療機関で治療を受けることを目的としている人などは、国民健康保険に加入することができず、医療費は全額自己負担になるということも説明しています。
▼参考URL:BuzzFeed|新型コロナウイルス「中国人が日本の健康保険を“悪乗り”するために押し寄せる」は不正確。まとめサイトが拡散
https://www.buzzfeed.com/jp/saoriibuki/corona-virus-health-insurance
そもそも「医療ツーリズム」って何?医療を目的にした旅行パックなども販売されている
「医療ツーリズム」とは、「メディカルツーリズム」や「医療観光」などとも呼ばれ、「医療を受ける目的で他の国へ渡航すること」を意味します。
一般的には人間ドックなどの健診を利用する観光客が多く、美容形成手術や、臓器移植、再生医療、その他の診察や治療まで含むとされています。
名古屋市の会社では、2020年に中国人の経営者層に向けた医療ツーリズムプランの発売が予定されていました。
》参考URL:札幌市医師会|医療ツーリズムとは
(https://www.spmed.jp/14_kankei/qa_pdf/22_qa/qa_H2210.pdf)
》参考URL:中部経済新聞|4月から医療ツーリズム実施 中国人経営者向け医療ツーリズム参入 ステイプランナー 4月に7泊8日プラン発売
(https://www.chukei-news.co.jp/news/2020/02/03/OK0002002030301_01/)
実際には、新型コロナの影響でストップした「医療ツーリズム」の動き
全国に71の医療施設を展開する一般社団法人徳洲会では、「医療ツーリズム」がストップしていることがホームページで伝えられています。
2012年以降、業績を伸ばしていた「医療ツーリズム」でしたが、観光客の減少や医療体制のひっ迫等により、全面ストップを余儀なくされているようです。
徳洲会だけでなく、医療界では「新型コロナ」のリスクがある医療観光客を受け入れるのかという葛藤があったようです。
▼参考URL:
徳洲会|徳洲新聞ダイジェスト:医療ツーリズム全面ストップ 在留外国人や他部署をサポート
https://www.tokushukai.or.jp/media/newspaper/1233/article-5.php
週間ポスト|新型肺炎 中国人「医療検査ツアー」受け入れ病院の周章狼狽
https://www.news-postseven.com/archives/20200206_1538704.html?DETAIL
タイでは、早くも外国人富裕層などに向けた医療ツーリズム再開の動きも
タイでは、新型コロナ感染症によって減ってしまった観光客を呼び戻すために、早くも外国人富裕層向けの医療ツーリズムプランに力を入れ始めているという情報も出始めています。
▼参考URL:日経ビジネス|外国人観光客が激減したタイ、突破口は医療ツーリズム
https://business.nikkei.com/atcl/gen/19/00118/082000028/
新型コロナとは別として、もともと指摘されていた「外国人の医療費」の問題点
新型コロナウイルス感染症が拡大する前から、日本に居住する外国人の医療費については、論争がありました。
例えば、3ヶ月以上の在留などがあれば、収入の状況によっては保険料を払わずに「タダ乗り」できる日本の医療保険制度について、日本人側にとっては不公平感が大きいようで、問題提起する声があります。
そのような状況下で、実際に新型コロナウイルス患者が発生したクルーズ船ダイヤモンド・プリンセス号のケースでは、「外国人」の医療費を日本が負担することになり、その金額は約2億7200万円にも上りました。
国によっては、全額自己負担となる外国人の医療費を、公費で賄う日本の姿勢には、疑問の声もあるようです。
▼参考URL:日テレNEWS24|クルーズ船 外国人医療費に公費2.7億円
https://www.news24.jp/articles/2020/11/12/07760121.html
まとめ - 入国規制緩和で外国人感染者が増えたのかは「わからない」
このページでは、日本国内で新型コロナウイルス感染者が増加したのは、「入国規制緩和」で外国人感染者が増えたことによる増加なのか?という情報について、嘘なのか本当なのかを検証しました。
結論をいうと、「嘘か本当かはわからない」のであり、厚労省の方針である「国籍を公表しない方針」が、結局のコロナウイルスの感染について余計な憶測を生む結果につながっているようです。
ただ、むやみに国籍を調査、公表することは、これまで「外国人」を一括りにして判断するミスリードにつながるようなケースも見られ、本来は、新型コロナと人種や国は関係ないはずなのに「外国人」というだけで攻撃される風潮を助長しかねるという考えから、慎重な対応をとっているという見方もできます。
また、外国人の医療費負担問題は、コロナの問題とは別に議論の必要があり、日頃からくすぶっていた「外国人の医療費」の問題が、本来は別問題であるはずの新型コロナに関連して議論を呼び、本質と違うところで批判されるというのが、今回の一連のフェイク情報の発生にも関係しているようです。
そのため、「外国人の医療費」については、それはそれとして、一部の人が抱く不公平感を解消するような説明や制度の見直しが期待されます。
いよいよ12月に中国からの長期滞在、短期滞在を含むビジネス往来開始へ。水際対策はできるのか?
いよいよ2020年12月からは、検査なしでの中国から長期滞在、短期滞在を含むビジネス往来が開始されます。中国といえば、2019年には年間で96万人の人が日本に訪れた、最大の人の往来がある国であり、世界に先駆けて新型コロナウイルスが流行したことで、「日本に新型肺炎の治療のために中国人が押し寄せる」といったデマが流れた経緯がある国でもあります。
水際での感染予防対策を実施して、どこまで感染の拡大を抑えられるのかが重要です。
またその一方で、「外国人」が直面する情報へのアクセスがしづらく、新型コロナのリスクを知ることができない問題や、「外国人」を一括りにして攻撃する差別の問題についても、対策の強化が急務であることもご紹介した通りです。
中国人だけでなく、ハグや会食の文化があるブラジル人・ペルー人などの日本国内の外国人コミュニティについても、新型コロナのリスクをどのように伝え、感染から守ればよいのか、各自治体の課題となっています。
▼参考URL:NHK|12月中国のビジネス往来開始
https://www3.nhk.or.jp/shutoken-news/20201130/1000056848.html
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