「重要土地取引規制法」が成立した背景にある、日本の土地の危機について
2021年6月に成立し、2022年から施行される予定の「重要土地取引規制法」ですが、この法律の制定の背景には、近年、日本全国で広がっている外国資本による土地取得の問題があります。
その中でも、特に中国資本による北海道の土地の獲得は活発になっており、その動きに注目が集まっています。
重要土地取引規制法についてはこちらもご覧ください。
》【外国が日本の土地を買い漁り】「重要土地取引規制法」とは?施行を前に駆け込みで購入されている土地もある(2021年6月成立)
2021年6月に与野党による国会での攻防の末、成立した「重要土地取引規制法」ですが、来年の施行の前に、駆け込みで土地購入の動きが進んでいるようです。「重要土地取引規制法」とは何か、また日本の重要土地取引の現状について、ご紹介します。
「北海道」では中国の影響がますます大きくなっているという指摘
元公安調査庁で、現在は日本戦略研究フォーラム政策提言委員の藤谷昌敏氏によると、近年北海道では、中国系企業が使われなくなった広大な農地や、きれいな水源、経営難に陥ったスキー場やゴルフ場、温泉施設などのリゾート施設を買収して、新たに宿泊施設や娯楽施設を建設する動きが目立っているようです。
最も有名な事例としては、北海道ニセコ町で、スキー客で賑わう観光地の土地や施設を中国系不動産開発会社や中国系のホテルが次々と買い占めたケースがありますが、藤谷氏はこうした動きが北海道内の各地で広がっていると指摘しています。
日本人が見向きもしないような土地を、中国系の企業が購入する動きもあるようです。
「地域活性化」のため、買収に応じる現地の日本人
現地の日本人の中には、土地や施設を売ることが「地域活性化」につながると考え、たとえ外資系の企業であっても積極的に買収に応じている人も多いようです。
人口減少や高齢化が、土地の価値を下げている現状
北海道庁によれば、2021年10月現在で、道内には3638の集落があり、そのうち1190の集落において65歳以上の割合が50%を超えているようです。
北海道庁としても、今後、人口減少や高齢化の進展に伴って、交通手段の確保や買い物など一部の集落で生じている様々な問題が多くの集落へ拡大していくことを懸念しています。
そのような背景から、特に人口の少ない道北・道東の地域では、土地や建物が著しく安い価格、中には無料で取引されている場合もあり、そこに目をつけた中国系の不動産会社や個人が次々に買収に乗り出しているというのです。
▼参考URL:北海道庁|集落の現状
(https://www.pref.hokkaido.lg.jp/ss/ckk/shuuraku/genjou.html)
北海道が中国の一部になってしまうかもしれない!?
藤谷氏は「このままでは中国人コミュニティが北海道各地にできる」とし、そうなれば、「治安の悪化」や、「失業する日本人が増える」などの問題が生じると警告しています。
より具体的な懸念事項としては、「リゾート地が中国人観光客に占領される」「水源地が汚染される」「農地では水争いさえ起きかねない」と予想されます。
また、もしも北海道の重要資源である農産物や漁獲物が中国系企業に独占されてしまえば、不当に値上げすることも可能になってしまいます。世界的なブランド肉や果実などの知的財産権が侵害される恐れすらあります。
さらに日本に移民して帰化する人が増えていけば、「中国系日本人」が選挙で多数を占めるようになり、その発言力が非常に強くなって、北海道の政治勢力が変化していく可能性も見えます。
実際に「移住者」で北海道の人口を増やそうという動きも
藤谷氏によれば、2005年に行われた国土交通省と北海道開発局が主催の「夢未来懇談会」というイベントで、中国人経営者による「北海道人口1000万人戦略」という講演が行われ、その中で、「札幌中華街を建設し、国際都市の先進地域としての地位を確立する。1000万人のうち200万人は移住者でなければならない」という主張があったようです(2017年2月25日付『産経新聞』)
ニューヨークやロンドンなど、諸外国の国際都市には、さまざまなルーツの人々が入り混じってこそ都市の活気が生まれているという考え方があるのは確かですが、日本にとっての国際都市が北海道でいいのか、またその北海道を主導していくのが中国系企業でよいのか、など様々な疑問や課題がありそうです。
▼参考URL:JB press|北海道は「中国の32番目の省」になってしまうのか?狙われた日本の国土、政府は土地規制で巻き返しなるか(外部サイト)
林野庁も外国資本による森林買収について調査
外国資本の土地取得について、林野庁では森林の取引について調査し、結果を毎年公表しています。
2020年(令和2年度)に、居住地が外国の法人などに買収された森林は、全国で22ヘクタールでした。最も多く取引があった都道府県は、やはり北海道だったようです。
また、2006年から2020年にかけて、2376ヘクタールの森林が取引されており、これは、東京ドームに換算すると、約490個ほどの面積です。
海外在住だけでなく、国内の外資企業による買収の動きもあります
さらに、林野庁では「国内の外資系企業と思われる者」による森林買収の事例として、都道府県から報告があった事例もまとめています。
2020年に関しては、合計で約404ヘクタールの森林が買収され、2006年からの合計では、5765ヘクタールも取引されているようです。
▼参考URL:林野庁|外国資本による森林買収に関する調査の結果について(外部サイト)
まとめ - 地域経済の活性化のつもりが、地域を変えてしまうかも?
このページでは、「中国の第32番目の省」だと中国国内でも言われているという「北海道」の状況について、ご紹介しました。
北海道としては、人口減少や高齢化という問題を抱え、それを解決していきたいという課題もある中ですが、その土地の売却先として、外国資本に偏りすぎてしまうと、日本人より移住者の声が大きい地域になりかねません。
課題を解決するどころか、地域住民や地域の特性が失われる可能性すら指摘されています。
2022年に控えた重要土地利用規制法の施行によって、不適切な土地の買収が防げるのか、注目されます。
本テーマ「重要土地利用規制法」に関連するSNS上でのコメント
杉田水脈「土地利用規制法案では安保上重要施設周辺での抗議活動は『機能阻害の恐れがなければ勧告対象外』だが、沖縄では全国から派遣される反対派活動家の“不法占拠の座込み・道交法無視の抗議活動”で渋滞&救急車の妨げ。土地規制法関係なく不法占拠・道交法無視は取締るべき」
ど正論#kokkai pic.twitter.com/pbsxrmTGcj
— Dappi (@dappi2019) May 21, 2021
YouTube「和田政宗の本音でGO!」
最新回は
『「従軍慰安婦との用語は不適切」「日本学術会議にメス」 結果を出す菅内閣の政策』重要土地利用規制法、旧宮家男系男子の皇籍復帰に向け検討する有識者会議など、これまで動かず懸案だった保守的政策を着々と実現。
ぜひご覧を!https://t.co/WFUUt5k3B9— 和田 政宗 (@wadamasamune) August 17, 2021
今年6月に成立した重要土地利用規制法は、機密情報が集まる拠点周辺などの土地売買に事前届出を義務付け、外国資本が不適切な目的で不動産を取得する事を防ぐ重要な法律ですが、これは高市議員が10年前に呼び掛け進めて来たものでした。高市議員の国防の先見性が凄すぎる。 #高市早苗さんを総理大臣に pic.twitter.com/vEUkq8WPsv
— 海乱鬼 (@nipponkairagi) September 18, 2021
規制前に駆け込み不動産購入
中国資本「重要土地利用規制法」が来年秋の全面施行される。
だが、施行を前に不動産の駆け込み購入や、出資者が分かりにくい合同会社が太陽光発電事業を引き継ぐなどし、買収側の素顔が見えない不動産取引が顕著になっているという。外国資本の参入も多く、 pic.twitter.com/Pg2dln1Gdy— tantris (@emiliamarty) November 27, 2021
北海道は「中国の32番目の省」に?国土交通省と北海道開発局の会で「北海道人口1000万人戦略」 https://t.co/JtYcKCIXVe
今年6月に成立した重要土地利用規制法だけでは、まだまだ足りない!日本人が支那の土地を所有できないのだから、支那人も日本の土地所有を禁止して然るべき!— 松本 (@Robertzicorossi) November 30, 2021
自衛隊の基地や原子力発電所など安全保障上重要な施設周辺などの土地利用を規制する法律、重要土地規制法が可決・成立しました。自民・公明両党と日本維新の会、国民民主党が賛成、立憲・共産・社民と山本太郎のとこが反対。国を守る、当たり前のことに反対する日本の政党があることの不思議。
— 井上太郎 (@kaminoishi) June 16, 2021
「重要土地利用規制法」案は、骨抜きになってなどいません|青山繁晴の道すがらエッセイ/On the Road https://t.co/mrYdwmOBZX
— 青山繁晴 (@aoyamashigeharu) April 1, 2021
重要土地利用規制法が成立したが、現実的にこれでは足りない。
基地周辺でなく、文化遺産や公共施設、地権も侵略を防ぐ意味で重要。
国家観のある高市早苗氏でないと変えられない。氏なら国民の支持を受けて強い政権を作ることができる。#高市早苗自民党総裁を望みます #高市早苗議員を総理大臣に https://t.co/EbZj9hjpio— 🌸蓮國🎌RENKOKU🗣🇯🇵🇺🇸🇹🇼🇵🇭🇵🇼🇦🇺🇬🇧🇮🇳 (@hasuarukuni) September 3, 2021
防衛施設600カ所や原発周辺の土地について、政府が外資取引の規制を検討。「重要土地利用規制法」が成立したことを踏まえ、安全保障上重要と判断した土地の監視を強めます。https://t.co/H7Cc2UKeV5
— 日本経済新聞 電子版(日経電子版) (@nikkei) August 11, 2021
【重要施設国境離島等土地利用状況調査規制等法が無事、本会議を通過しました】
公式のチャンネルにアップした内閣委員会の質疑をシェアいたします。
「見逃した!」という方、是非こちらでご覧ください。
公式 杉田水脈 令和3年(2021)5月21日(金) 衆議院 内閣委員会 質疑https://t.co/H2qIapLbzg— 杉田 水脈 (@miosugita) June 1, 2021
コメント
コメント一覧 (7件)
中国の日本進出は目を見張るものでもあるので、このように取り上げてもらっていてよかった。中国に買われてしまった他の国の詳細なども突っ込んで欲しかった。
「外人が外国の土地を購入できるのは、日本だけだ」といった話を耳にします。私がすんでいる地域も中国人が土地と建物を購入し、日本人が沈滞している状況が見られます。そのため、本記事を読んで、中国人による土地の取得が問題となっていることを知り、非常に良かったです。
北海道が中国の32番目の省になるかもしれないという想定はしておりませんでした。これは本当に重大事項で制定された重要土地規制法は本当に効力を発揮できるのか不安は残ります。
行方不明者が見つかるのは86%と知り安堵しましたが、子供の1人行動はとても危険だと思います。日本もアメリカのように規定を作り誘拐等のリスクを回避するべきだと思います。
中国人による国土の買収について、土地の広い北海道をテーマにしたが、対馬など離島にでも同じ危機が指摘されている。なお、同法は自衛隊基地周辺などの重要土地に制限しているので、全ての国土が対象ではないことに注意。
外国資本が日本に入っており、水資源などでも問題になっているというニュースを聞き、気になっていた。
外為法でも海外資本の日本企業への規制を行っていると聞いているが、それについても知りたい。
見出しからしてインパクトがあったのでクリックしてみた。
確かに中国系企業が日本の土地等を買っていることは聞いたことがある。
多少の危機感は持っていたが、更に持つようになった。