中国香港問題について(2022年4月まとめ)

海外の行政・歴史シリーズ、本記事では、中国と香港の課題である「容疑者引き渡し条例改正案」についてご紹介します。


2019年6月9日 香港で初めての大規模デモが発生

日本のテレビでも幾度となく報道された、香港の大規模デモには100万人とも200万人とも言われる人々が集まり、警察官と衝突し、怪我人、死亡者が出ました。そのデモの要因となったのが、香港政府が議会に提出した『容疑者引き渡し条例改正案』というものに抗議するものでした。

それがどのような内容のもので、どうしてそれほど香港の人々が反発したのかその理由を探ってゆきましょう。

背景にある香港の歴史について

1839年
中国はイギリスとのアヘン戦争に敗北し、香港がイギリスの植民地となる。

1860年
中国はイギリスとフランスとの間で起こったアロー戦争に敗北し、香港島より北の九龍島がイギリスの植民地となる。

1898年
イギリスは新界を含め香港および九龍島を今後99年間租借する租借条約を中国と結び支配下とする。この間イギリスは香港を拠点に貿易を発展させ、香港は資本主義社会の下、国際貿易、金融の拠点として大きく飛躍してゆきます。

1997年7月1日
イギリスは租借条約締結により香港を中国に返還。

暴動が起こる理由

中国はイギリスとの返還交渉にあたり、香港に対し返還後50年間は従来の資本主義体制や生活様式を持続するという『一国二制度』を約束しました。

ところが、中国は香港に対して新しい法律を制定し、自由の締め付けをし始めたためそれが引き金となってデモが発生するようになりました。

容疑者引き渡し条例改正案

2019年6月9日に起こった大規模デモの原因となった『容疑者引き渡し条約改正案』とはどのような内容だったのでしょうか。

「例えば中国国内で罪を犯したり、その嫌疑をかけられたりした人が香港に居た場合に、中国に引き渡すというものです。」

裁判はすべて中国で行われるため香港の人は不平等な扱いをされるのではないかと危惧したわけです。


香港国家安全法案

2020年に可決された『香港国家安全法案』の内容は、以下です。

1.国の分裂を企てない。
2.政権の転覆を企てない。
3.テロ活動を行わない。
4.外国勢力と結託して上記の事を行わない。

この法律では外国人であっても香港外でこのような行為を行い、香港に入国した場合には逮捕されることになります。最高刑は終身刑です。

例えば、東京で香港独立のデモに参加した人が香港に旅行に行った場合、逮捕される可能性があるということです。

香港で、「香港を取り戻すための革命の時がきた!」というスローガンを町で掲げることが取り締まりの対象になったため、香港人の人達は何も書かれていない白紙を手に持ち沈黙の抗議を行いました。

「ファイブ・アイズ」のうごき

国際的な機密情報ネットワーク「ファイブ・アイズ」を構成するアメリカ、イギリス、カナダ、オーストラリア、ニュージーランドはこのような香港の事態を重く見て、中国を強く非難し、香港人を移民として受け入れる体制を整えました。

イギリスは数百万人の香港人に対して英市民権を獲得する道を開くと申し出て、オーストラリアも香港人に対して永住権取得を可能にしています。

まとめ

これまで長い間資本主義社会で発展してきた香港と社会主義社会の中国では考え方に大きく異なる点が多く、このような暴動が起こる原因となっています。

参考資料サイト

英首相、香港人のため移民規則変更を検討 国家安全法に反発 – BBCニュース(外部サイト)

https://news-japan.tokyo/hk-history/(外部サイト)

本記事は、2022年5月14日時点調査または公開された情報です。
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