【超高齢社会日本】認知症の方の資産が、現役の働く世代より大きくなる可能性も!?(2022年2月)

近い将来、日本では認知症の人の資産額が、認知症ではない人の資産額を超えるかもしれないという、驚きの報告書が公表されています。

2030年には、認知症の人の金融資産の合計が、日本の金融資産の10%を超えることが予想されており、このまま放っておくと、現役世代より認知症の人の資産が大きくなるということです。


「認知症」とは?

「認知症」とは、脳の病気や障害などの様々な原因によって、認知機能が低下し、日常生活全般に支障が出るような症状のある病気のひとつです。

「認知症」の中にも種類があり、例えば、「認知症」の中でも最も発症する方が多い「アルツハイマー型認知症」は、脳神経が変性して脳の一部が萎縮していく過程でおきる「認知症」です。

次に多い「血管性認知症」は、脳梗塞や脳出血などの脳血管障害によって起きる「認知症」のようです。

▼参考URL:厚生労働省|みんなのメンタルヘルス:認知症(外部サイト)

日本の現在:認知症の有病率は?

日本人の「認知症」の有病率は、65歳以上では5人に1人と言われています。さらに、70代、80代と年を重ねるにつれて、その割合は大きく高まっていきます。

高齢者の更なる高齢化により、認知症患者の割合は増加

日本で今後見込まれているのは、65歳以上の人口割合の増加による高齢化だけではありません。

2022年以降、団塊の世代が「75歳以上」の「後期高齢者」に達し始めることから、 将来的に今よりもさらに「高齢者の高齢化」が進んでいく見込みです。

元々、日本の資産の多くが高齢者世代に偏っている中で、 認知症有病率の高い、より高齢の年齢階層の人口増加が進むことで、認知症患者が保有する金融資産額は、全体として増加していくことが予想されています。

2030年には、認知症の人の金融資産の合計が200兆円に到達し、日本の個人金融資産の10%を超えることが予想されており、このまま放っておくと、現役世代より認知症の人の資産が大きくなる可能性があるようです。

▼参考URL:第一生命経済研究所|認知症患者の金融資産 200 兆円の未来

認知症の方の資産を守るために。行政の取り組みについて

こうした高齢者の資産を狙った特殊詐欺は増加傾向にあります。警視庁によれば、2017年の特殊詐欺の認知件数は18,212件であり、前年比で28.7%の増加でした。


埼玉県の取り組み

埼玉県では、特殊詐欺被害について周知することに加え、特殊詐欺被害に遭わないようワークショップを開催しています。また、特殊詐欺被害防止ワークショップ用の練習用の電話機器の貸出などを行い、各地域で対策方法を住民に伝える活動を行なっているようです。

▼参考URL:埼玉県|特殊詐欺被害防止ワークショップ

警察庁の取り組み

警察庁では、全国で相次ぐ特殊詐欺の被害を食い止めるため、杉良太郎氏の呼び掛けで集まった著名人で結成されたプロジェクトチームSOS47による啓蒙活動を進めているほか、詐欺の手口を紹介する動画も公開しています。

手口紹介動画「還付金詐欺」編

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生前贈与の議論も進んでいる

万一、認知症になってしまってから、資産を守るために利用できるのが成年後見人制度ですが、この制度をもっと利用しやすく、また信頼性を高める制度にする必要があると指摘されています。

また、認知症になる前に若年層に資産を贈与する「生前贈与」の議論も進んでいます。近年、年金制度の財政悪化に伴って、老後も自力での資産形成を求められ、個人年金を用意する流れが一般的になりつつありますが、これでは、老後も不安で資産を手放せないという高齢者が多くなるという問題点があります。

高齢者の資産をただ溜め込んで置いておくだけではなく、循環させるには、認知症などになる前に資産を手放したとしても、社会が守ってくれるという「公助」の仕組みを社会に作っていき、安心感のある老後を迎えられる社会にする必要があると指摘する専門家もいます。

▼参考URL:第一生命経済研究所|認知症患者の金融資産 200 兆円の未来

まとめ

このページでは、ますます高齢化が進む日本で、認知症患者の個人資産が、認知症以外の人の資産を超えるかもしれない未来について、紹介しました。

将来、老後の自助努力を求められる社会構造から、ますます個人金融資産は手放されにくくなると予想される中、高齢者のますますの高齢化も進んでいます。

日本の金融資産をうまく循環させるため、高齢者の方々の望むような形で資産が継承され、特殊詐欺などの被害に遭わないようにするためなど、対策が急がれます。

本記事は、2022年6月10日時点調査または公開された情報です。
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