イギリスが直面する貧困問題(2022年6月の状況)

海外の行政・歴史シリーズ、本記事では、イギリスの課題・テーマである「貧困問題」についてまとめました。


年々悪化するイギリスの貧困問題

世界有数の発展国であるイギリスに黒い影を落とす貧困問題。その現状は改善されるどころか年々悪化をたどっています。

イギリスの大手数スーパーでは支援策が常に行われています。出入り口に、フードバンクに寄付を募る籠が設置されており、買い物帰りの客は時折その籠の中に食料品やペットの餌などを入れて帰ります。

また、支払いの端数切り上げによる寄付をつのる方法など、もちろん行政の役割もありますが、少しでも余裕のある人はない人を助けようという気持ちがとても強い国だと感じます。

イギリスの貧困統計

イギリスの2020年の調査結果では1170万人が貧困者とされ、家賃などの住宅支払いを除いた余剰金が貧困区分に割り当てられる数を含めると1450万人にも上るとされています。

貧困家庭の子供の数は320万人に上っており、2013/14年の調査時の228万人を上回る結果となりました。

▼日本とイギリスの貧困率について

日本の相対的貧困率 15.7%(2018年厚生労働省『国民生活基礎調査』に基づく)
イギリスの貧困率 16%(2020/21の調査に基づく)
20%(住宅費用を支払った後の余剰金が相対貧困層内)

日英の子供(17歳以下)の貧困率比較

日本 15.7%
イギリス 19%(2020/21の調査に基づく)
27%(住宅費用を支払った後の余剰金が相対貧困層内)

日英のホームレスの実態比較

日本(2021年1月) 3,824人(男性3,510人、女性197人、不明117人)
前年度比べて168人(▲4.2%)減少
イギリス(2020/21年) 40,340人
2003/04年がピークで135,420人と全体的に減少傾向にある。

ホームレスに対するイギリスの対策

  • ホームレスの人たちに対してシェルターへの移動を推奨し衣食住を提供。
  • 住宅の提供により住所を与える。
  • 住民登録をし、医療などを受けられるようにする。
  • 銀行口座を持てるようにする→仕事を得やすくする。

行政および民間団体が支援を差し伸べている一方で、いつでもシェルターに行けば食べ物が無料提供され、雨風をしのげる安全な場所を確保できるため、都合よく利用し、ホームレス生活を継続する人たちがおり、怠惰な人たちとして批判にさらされることもあります。

イギリスでは、コロナの影響で貧困状況はさらに悪化

コロナの影響で、貧困状況は更に悪化しています。特に問題になっているのは、仕事があるにも関わらず、収入が低く相対貧困層に含まれる人が上昇していることです。ロンドンにおいては、22%を占めており全英で一番高い地域となっています。(2021年統計による)

これは物価上昇率に収入が追い付かないためです。一家で2人がフルタイムで働いているにも関わらず収入が一定金額に満たない相対貧困層の割合が3.9%と20年前の1.4%から倍以上も跳ね上がっています。

フードバンクの利用で食いつないでいるという人が多く見られます。

イギリスの2023年の貧困動向

2023年までには、貧困層の人数は1600万人に上るだろうと言われています。これはコロナによる影響で今後貧困に陥る人の数が増加するだろうと予測されているからです。


また、イギリスのインフレに対し賃金上昇率が追い付いていかないのが大きな問題とも言われています。

参考:イギリスの最低賃金(1ポンド=167円換算 2022年4月20日)

日本・東京:1041円(2021年10月1日)
イギリス:1587円(9.50ポンド)

2021年4月の最低賃金は1568円(8.91ポンド)から6%と大きく上昇しましたが、2022年3月のインフレ率は7%と1992年3月に最高率を示した6.2%を上回る結果となりました。

イギリスの不法移民対策

イギリスにとって不法移民問題は大きな課題であり、この問題解決を英ボリス・ジョンソン首相は選挙公約として掲げていました。

これまでイギリスは多くの難民を受け入れてきました。その難民の多くは貧困層となることが多く、貧困問題にも大きくかかわっています。

2022年4月15日英ボリス・ジョンソン首相イギリスへの密航者をアフリカ・ルワンダへ移送を発表

今後イギリスへの密航者はルワンダに移送するとし、イギリスはルワンダの経済発展のために1億2千万ポンド(約200億円)の投資を行う事を約束し、宿泊施設など発生するすべての実費の負担も申し出ました。これにより、海を渡ってくる密航者がイギリスを避けフランスなどの近隣国を目指すことになれば、近隣国との関係もぎくしゃくしてきそうです。

まとめ

多くの先進国では貧困問題を抱える国は少なくありません。

日本も現在は民間団体の手をかりて行政では届かないところでの草の根活動を行っています。イギリスは大手企業、民間団体、一般市民のボランティアが集い支援している活動が日本に比べて多くみられるのが特徴です。

参考資料サイト

Households in temporary accommodation (England) – House of Commons Library (parliament.uk)
Poverty in the UK – Statistics & Facts | Statista(外部サイト)

United Kingdom Inflation Rate – March 2022 Data – 1989-2021 Historical (tradingeconomics.com)(外部サイト)

National Minimum Wage and National Living Wage rates – GOV.UK (www.gov.uk)(外部サイト)

ホームレスの実態に関する全国調査(概数調査)結果について|厚生労働省 (mhlw.go.jp)(外部サイト)

平成22年国民生活基礎調査の概況|厚生労働省 (mhlw.go.jp)(外部サイト)

UK poverty: the facts, figures and effects (bigissue.com)(外部サイト)

UN refugee agency condemns Boris Johnson’s Rwanda asylum plan | Immigration and asylum | The Guardian(外部サイト)


本記事は、2022年6月10日時点調査または公開された情報です。
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