公立学校教員の「精神疾患を理由にした病気休職者」が、前年(2019年度)よりわずかに減少しています
文科省によると、毎年行われている「令和2年度(2020年度)公立学校教職員の人事行政状況調査」で、精神疾患による病気休職者、1ヶ月以上の病気休暇取得者が、前年より190人少ない9452人だったことがわかりました。
この人数は、在職者数全体に対する割合にすると1.10%ということで、前年に比べ0.02ポイント改善したことも発表されています。
20代の学校の先生の休職者は増加傾向
ただし、公立学校教員のうち20代の教員については、全国で前年度よりも190人多い2140人が精神疾患による病気休職・病気休暇取得者だということで、若い先生のケアの必要性が浮き彫りになった結果となっています。
文部科学省による「教員の精神疾患による病気休職者」についての全国調査
この「教員の精神疾患による病気休職者」の調査は、教員の精神疾患による「病気休職者」を全国規模で集計してきた調査です。
しかし、実際には「病気休職」に至る前段階として、有給の「病気休暇」を取得する教員が多く、病気休職者の集計だけでは実態が掴みにくいと指摘されていたようです。
そこで、教員の精神疾患と休職・休暇の実態をより正しく把握するために、2016年度からは「病気休職者」に加えて「1カ月以上の病気休暇取得者」の数値についても、教員の所属する学校種別や性別、職種別、年代別で調査されています。
学校種別や性別などカテゴリごとの休職者の割合
2020年度に「精神疾患による病気休職」や「1カ月以上の病気休暇」を取得した公立学校の先生は合計で9452人でした。
この人数は、全国の教員の在職者数に対して1.03%の割合です。
以下では、「学校種別」や「性別」「年代別」などカテゴリごとの休職者の状況の詳細をご紹介します。
「学校種別」で見る休職者の割合 – 最も休職者が多いのは小学校
まず、小学校、中学校などの学校種別ごとの休職者の人数と、在職者数に対する割合について解説します。
学校種別で比較すると、最も休職者の人数が多かったのは「小学校」の14691人でした。一方で、最も在職者数に対する休職者の割合が高かったのは「特別支援学校」で、1.27%でした。
学校種別ごとの休職者数(カッコ内は在職者に占める割合)
・小学校 4691人(1.13%)
・中学校 2292人(1.00%)
・義務教育学校 43人(1.01%)
・高校 1273人(0.71%)
・中等教育学校 10人(0.55%)
・特別支援学校 1143人(1.27%)。
「性別」で見る休職者の割合 – 女性教員の割合が高く
性別については、男性教員より、女性教員の方が、休職者数も休職者の割合も大きいことがわかりました。
性別ごとの休職者数(カッコ内は在職者に占める割合)
・男性 4007人(0.91%)
・女性 5445人(1.13%)だった。
「職種別」で見る休職者の割合 – 若い世代に多い傾向
職種別で見ると、主幹教諭より下の若い世代中心の、職務経験が浅い層の求職者の割合が高いことがわかりました。
性別ごとの休職者数(カッコ内は在職者に占める割合)
・校長 35人(0.11%)
・副校長等 134人(0.36%)
・主幹教諭等 159人(0.65%)
・教諭等 8684人(1.14%)
・養護教諭等 281人(0.74%)
・その他 159人(0.68%)。
「年代別」で見る休職者の割合
年代別でみると、最も割合が大きい20代、30代と続き、年齢が上がっていくにつれて休職者の割合は減っていくこ以降にあります。
「年代別」で見る休職者
・20代 2140人(1.43%)
・30代 2563人(1.22%)
・40代 2138人(1.12%)
・50代以上 2611人(0.84%)
▼参考URL:https://news.yahoo.co.jp/byline/senoomasatoshi/20211222-0027376
まとめ
このページでは、教員のうつ病など精神疾患による病気休職者の人数や現役の在職教員に占める割合についてご紹介しました。
全体として、やや減っている休職者数ではありますが、20代や役職者でない教員が精神疾患で休職となるケースが、他の年代や他の職種に比べて多かったため、特にその世代への対策が急がれます。
文科省は具体的な今後の対応として、「労働安全衛生管理などメンタルヘルス対策などの一層の推進」や、「勤務時間管理の徹底をはじめとする学校における働き方改革の一層の推進」、「パワーハラスメントなどハラスメント防止策の徹底」、そして「過剰要求などに適切に対応するための弁護士などによる法務相談体制の整備促進」などを掲げているようです。
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