諸外国の政治体制シリーズ

ローマ法王が絶対的な権力を持つバチカン市国

カ トリックの総本山として知られるバチカン市国は、宗教機関でありながら1つの独立国として認められた世界最小の国です。今回はそんなバチカンの成り立ちと、そのユニークな政治体制を解説します。


国であり宗教機関でもある「バチカン」

バチカンの歴史は326年にローマ帝国皇帝のコンスタンティヌス1世が、バチカンの丘にピエトロ寺院を建造したことに始まります。その後はカトリックの本拠地として発展し、多くの法皇領を所有しました。しかしイタリア王国成立後、法皇領はほとんど奪われ、イタリアとバチカンの国交は断絶、しかし1929年にイタリアと法王側でラテラノ条約が締結され、現在のバチカンの領土がまた1つの国として認められ、バチカン市国が誕生しました。

現在バチカン国内には約800人の「国民」が住んでいますが、バチカンで生まれ育った人は一人もいません。バチカン国民は、ローマ法王とその下で働く聖職者、法皇を警護するスイス人の衛兵など、世界各国から集まった人達で、その役職を終えると元の国籍に戻ります。

その他にイタリア市内から通勤している外国人が約3000人、法王庁の職員として働いています。バチカン内は治外法権が適用されますが、外国人が国内に入国の際にパスポートは必要ありません。こういう点は国というよりも、宗教機関としてのバチカンの色合いの方が強いようです。

バチカンはローマ法王が絶対的な権力を持つ絶対君主制の国

宗教組織でありながら世界で唯一主権国家として認められ、聖俗両面を併せ持つバチカンでは、ローマ法王が国の絶対的な存在で、司法、立法、行政、すべての権利を持っています。

バチカンでは国の運営に関する実務的なことを法王庁が担っています。法王庁は他の国の政府に当たり、その最高機関である国務省には、司法や行政などを司るさまざまな機関が存在します。

バチカンで行われる選挙は、ローマ法王を選出するコンクラーベと呼ばれる選挙で、2013年に第266代ローマ法王に就任したフランシスコ氏は、約1,300年ぶりに選ばれたヨーロッパ以外出身の法皇で、なかなか気さくな人のようで、前法王から引き継いだ法王ツイッターアカウントを使い、貧困問題や環境問題にも積極的に取り組んでいることでも有名です。

まとめ

世界一長く続く宗教機関のバチカンが、今後どのように新しい要素を取り入れ、存続していくのかを見るのが楽しみです。

参考資料サイト

外務省|バチカン~中世と現代が共存する国家

本記事は、2022年7月29日時点調査または公開された情報です。
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