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【目指せ!外交官】古代メソポタミア文明を受け継ぐ国「イラク共和国」の基本知識(2018年12月調査情報)

世界の各国特集、今回ご紹介する「イラク共和国」は、人口約3,800万人、GDPランキング54位の国です。

「イラク共和国」は、メソポタミア文明が栄えた場所にあり、それに関連した文化的な遺産を多く持つ国です。また、「イラク共和国」は、ラグやカーペットなどの工芸作品でも有名です。

外交官になるなら押さえておきたい国の基本知識です。


「イラク共和国」ってどんな国?

「イラク共和国」の正式名称は、アラビア語で「الجمهورية العراقية (al-Jumhūrīya al-‘Irāqīya)」と表記し、読み方は「アル=ジュムフーリーヤ・アル=イラーキーヤ」です。通称は「العراق

(al-‘Irāq)」で、読み方は「アル=イラーク」です。

英語での正式名称は、「Republic of Iraq (リパブリック・オブ・イラーク)」です。

日本語での正式名称は「イラク共和国」ですが、通称の「イラク」を用いることが多いです。なお、漢字による当て字は「伊拉久」です。

「イラク共和国」は、古代メソポタミア文明が栄えた場所にあり、国名の由来も、メソポタミア地方を指す「アラブ人のイラーク」という言葉からきています。

なお、古代メソポタミア文明とは、メソポタミアで興った複数の文明の総称であり、世界最古の文明とされています。

面積・場所について

「イラク共和国」の国土の広さは約44万平方キロメートルで、これは日本の約1.2倍程度の大きさです。

「イラク共和国」の場所は、中東・西アジアにある内陸国です。国境は、北が「トルコ」、西が「シリア」と「ヨルダン」、東が「イラン」、南が「サウジアラビア」と「クウェート」と隣接しています。

都市について

「イラク共和国」の首都は「バグダート」で、アラビア語では「بغداد‎」と表記します。「バグダート」は「イラク共和国」最大の都市で、人口は約700万人~800万人です。

「バグダード」は、2003年に起こったイラク戦争で「アメリカ合衆国」からの武力攻撃を受けて制圧され、連合国暫定当局の本部が置かれました。

連合国暫定当局とは、「イラク共和国」の政府体制を再建を図るための組織です。


2004年に、連合暫定当局は、施政の主権を「イラク共和国」へ移譲し、「イラク共和国」の正式な政府が発足しました。

人口について

「イラク共和国」の人口は約3,800万人です。

成り立ちについて

「イラク共和国」は、古代メソポタミア文明が栄えた地にあります。

紀元前6000年頃、世界初の都市文明がシュメール人によって形成され、古代メソポタミア文明が繁栄しました。

その後、この地は「ペルシア」や「ギリシャ」によって支配されていきますが、634年ごろ、アラブ人ムスリムによって征服されました。アラブ人はこの地を「イラク」と呼び、この地域は急激にアラブ化・イスラム化しました。

8世紀頃、アッバース朝が興り、バグダードに都を作りました。

その後「オスマン・トルコ」などの非アラブによって支配され、オスマン帝国の統治下に入りました。

1920年、第一次世界大戦を経て、「イラク共和国」の地は、「イギリス」に委任統治されました。

1932年、「イギリス」の支援のもと、ハーシム王家はこの地を中央集権化し、「イラク王国」として独立を果たしました。

1958年、共和国革命が起こり、ムハンマド・ナジーブ・アッ=ルバーイー大統領とアブドルカリーム・カーシム首相によって、共和制国家が成立しました。

1979年、サッダーム・フセイン氏が大統領に就任しました。このフセイン政権の政策のもと、イラン・イラク戦争、「クウェート」への侵攻、湾岸戦争などが行われました。

2003年、「アメリカ合衆国」が「イラク共和国」に対して武力行使を行い、フセイン政権は崩壊、「アメリカ合衆国」は暫定的に「イラク共和国」の施政を行いました。

2004年に、「イラク共和国」に主権を移譲し、現在の「イラク共和国」が成立しました。

「イラク共和国」の国民・宗教・言語について

国民について

「イラク共和国」の国民は、アラブ人が約80%、クルド人が約16%、アッシリア人が約3%、トルクメン人が約2%です。ユダヤ人も住んでいましたが、アラブ化と反ユダヤ主義の流れを受けて、大半のユダヤ人が「イスラエル」に亡命しました。

また、かつて奴隷商人によって「イラク共和国」に黒人が連れて来られた歴史があり、その子孫とみられるアフリカ系住民も、非常に少数ですが、存在します。


宗教について

「イラク共和国」の宗教は、ほとんどがイスラム教です。その他、キリスト教が約1%存在する他、ごく少数のヒンドゥー教徒もいます。

イスラム教徒の内訳は、シーア派が約60%、スンナ派が約40%です。

キリスト教徒には、カトリック、東方正教会、アッシリア東方教会等の信徒がいます。

言語について

「イラク共和国」の公用語はアラビア語とクルド語です。その他、少数ですがアルメニア語、アゼリー語、現代アラム語 (アッシリア語) なども話されています。

「イラク共和国」では、書き言葉としては、標準アラビア語の「フスハー」が使用されており、話し言葉としては、アラビア語の現代口語である「アーンミーヤ」を使っています。

「イラク共和国」の経済状況について

「イラク共和国」の通貨はイラク・ディナールで、GDPは約1900億ドル、世界第54位です。一人当たりのGDPは約5,000ドルで、世界で88位で、これは中東内では、やや低い順位です。

「イラク共和国」は、原油資源が豊富で、その埋蔵量は世界第4位です。よって、主要な産業は石油産業です。

もともと、「イラク共和国」は、ティグリス・ユーフラテス川の恩恵による農業が国の基幹産業でした。しかし1927年、キルクークで石油が発見され、そこから石油産業にシフトしていきました。

現在、イラク経済は、その大部分を原油の輸出に依存しています。しかしイラク戦争の影響で、国内の基礎的なインフラ整備は圧倒的に不足しており、これが経済発展の妨げになっています。今後、経済のさらなる発展のため、電力や水、運輸等のインフラの整備が必要です。

「イラク共和国」政府は、原油輸出に依存している産業構造からの脱却を目指し、観光業や農業などを発展させていく方針です。

貿易について

「イラク共和国」の主要な貿易相手国は、輸出が「インド,中国,米国,韓国,ギリシャ」で、輸入が「トルコ,中国,韓国,ロシア」です。

主な貿易品目は、輸出は原油で、政府歳入の86%を占めます。輸入は、工業製品が9割です。

総貿易額は、輸出が約570億ドル、輸入が約360億ドルであり、輸出額の方が多くなっています。

「イラク共和国」の政治・政策について

政治体制について

「イラク共和国」は、共和制国家であり、国家元首としての役割を担うのは、大統領評議会です。

大統領評議会は、大統領と副大統領2人の計3人で構成されており、それぞれにイスラム教スンナ派派、イスラム教シーア派、クルド人から各1名ずつ選ばれます。

「イラク共和国」には、行政府の長である首相職もあります。首相、副首相は、議員の中から選出されます。

「イラク共和国」の議会は一院制の国民議会で、定員は329議席、任期は4年です。

「イラク共和国」の大統領・首相について

大統領について

「イラク共和国」の大統領は、国民統合の象徴としての役割を担い、儀礼的な職務も行います。国家元首の役割を担うのは大統領一人ではなく、大統領議会を構成する大統領と副大統領2人の計3人です。大統領および副大統領は、議会が選出します。

現在の大統領はバルハム・サーレハ氏です。


首相について

「イラク共和国」の首相は、行政府の長であり、議員の中から選ばれます。

現在の首相は、アーデル・アブドルマハディー氏です。

「イラク共和国」の国防制度・軍事制度・兵役について

「イラク共和国」の軍隊は陸軍・海軍・空軍の3軍種を擁しています。イラク軍の最高司令官は、イラク首相が兼任しています。

兵士数は合わせて約21万人で、軍事予算は約74億ドルです。

なお、「イラク共和国」の国防はイラク治安部隊と呼ばれる組織が担っており、この組織はイラク軍の他、内務省が管理する部隊である準軍事組織・警察、各政府機関が管理する部隊である施設警備部隊、政府と契約した民間軍事会社の契約警備員で構成されています。

「イラク共和国」の兵役は志願制であり、18歳~40歳までの国民が志願できます。

「イラク共和国」と「日本」の関係について

「イラク共和国」と「日本」は1939年に国交関係を樹立しました。

1939年、「日本」の公使館が「イラク共和国」の首都バグダッドに開館し、1955年、「イラク共和国」の公使館が「日本」の首都東京に設立されました。第二次大戦後、互いの公使館は、大使館に格上げされました。

2国間の貿易は、「イラク共和国」の対日輸出が主に石油などで、その額は約1,100億円、対日輸入が主に機械類などで、その額は約320億円です。また、互いの国で経済フォーラムや経済セミナーが開催されるなど、経済関係は良好です。

2011年の東日本大震災では、「イラク共和国」は被災者支援のため、1,000万ドルの義援金を提供してくれました。

まとめ

「イラク共和国」は、古代メソポタミア文明の興隆を背景に、多くの文化的な遺産を有しています。石油資源も豊富な国です。

また、「イラク共和国」は、国民の茶の消費量が非常に多い国です。国連の統計によれば、その消費量は「カタール」「アイルランド」「イギリス」についで、世界第4位です。

なお、男子サッカーの「イラク共和国」のFIFAランキングは、2018年12月では「88位」です。

本記事は、2022年10月5日時点調査または公開された情報です。
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