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【目指せ!外交官】「シリア・アラブ共和国」の基礎知識【目指せ!外交官】…「シリア・アラブ共和国」の基礎知識

世界の国特集、今回紹介するのは、中東のレバントに位置する共和制国家である「シリア・アラブ共和国」です。

「シリア・アラブ共和国」は、北にトルコ、東にイラク、南にヨルダン、西にレバノン、南西にイスラエルと国境を接し、北西は東地中海に面している国です。

外交官になるなら押さえておきたい国の基本知識です。


「シリア・アラブ共和国」ってどんな国?

「シリア・アラブ共和国」の正式名称はアラビア語で「الجمهوريّة العربيّة السّوريّة」、英語では「Syrian Arab Republic」です。漢字では「叙利亜」と表記し、その他「叙里亜、西利牙、西里亜、尻屋」などとも表記されます。

「シリア・アラブ共和国」の広さ 面積・場所について

「シリア・アラブ共和国」の面積は約18.5万平方キロメートルで、日本の約半分の大きさです。

「シリア・アラブ共和国」の場所は、中東のレバントににあり、北にトルコ、東にイラク、南にヨルダン、西にレバノン、南西にイスラエルと国境を接し、北西は東地中海に面しています。

「シリア・アラブ共和国」の首都について

「シリア・アラブ共和国」の首都は「ダマスカス」で、「ダマスカス」は地中海から約80キロメートル内陸に位置し、アンチレバノン山脈で海からさえぎられ、街はアンチレバノン山脈の麓の海抜680メートルの高原の上にあります。

「ダマスカス」の人口は、約200万人です。

「シリア・アラブ共和国」の人口について

「シリア・アラブ共和国」の人口は、CIA The World Factbookが2020年に調べた時点で約1,939万人であり、人口密度は、約92.1人です。

「シリア・アラブ共和国」の成り立ちについて

「シリア・アラブ共和国」は、1918年にオスマン・トルコより独立し、1920年に仏の委託統治領となり、1946年に仏より独立しました。

1958年にエジプト・シリアによるアラブ連合共和国が成立、1961年にシリアがアラブ連合共和国から離脱しました。

「シリア・アラブ共和国」の国民・宗教・言語について

「シリア・アラブ共和国」の国民について

「シリア・アラブ共和国」の人種割合は、アラブ人が約90パーセントで、クルド人が約8パーセントほど、そのほかにアルメニア人、ギリシャ人などがいます。

アラブ人の中にはシリア語を母語とする部族もいるため、民族性も多様化しており、少数民族としてネストリウス派、北コーカサス系民族、南トルコ系民族もいます。

「シリア・アラブ共和国」の宗教について

「シリア・アラブ共和国」の国家宗教は、イスラム教諸派は約87パーセント、キリスト教諸派は約12パーセントです。


具体的には、イスラム教スンナ派が約70パーセント、ほかのイスラム教の宗派(アラウィー派、ドゥルーズ派、イスマーイール派、十二イマーム派などがあわせて約20パーセント、これらの少数宗派はすべてシーア派とみなす場合もありますが、アラウィー派とドゥルーズ派をシーア派に含めない場合もあります。

「シリア・アラブ共和国」の言語について

「シリア・アラブ共和国」の公用語は、現代標準アラビア語が公用語で、そのほかにもアラビア語の方言であるレバント方言、イラク方言、ナジュド方言、北メソポタミア・アラビア語、シリア語、クルド語、アルメニア語、アゼルバイジャン語、現代アラム語であるアッシリア現代アラム語、現代西アラム語が使用されています。

さらに、フランス委任統治領時代の影響でフランス語も使われていますが、隣国レバノンと異なり、一部エリート層の使用に限られるなど通用度は高くありません。

「シリア・アラブ共和国」の経済状況について

「シリア・アラブ共和国」の通貨はシリア・ポンドで、GDPは約502.8億米ドルです。

「シリア・アラブ共和国」の貿易について

「シリア・アラブ共和国」の貿易相手は主に、2017年現在、輸出が18.5億ドルで、主要輸出品は、原油、鉱物資源、石油製品、果物・野菜、綿繊維、衣料品、精肉類、小麦などで、輸入は約62.7億ドルで、主要輸入品は、機械類・輸送機器、電機・発電機類、食料・日用品、金属・金属製品、化学製品類などです。

また、主要輸出先は、レバノン、イラク、ヨルダン、中国、トルコ、スペインで、主要輸入元は、ロシア、トルコ、中国となっています。

「シリア・アラブ共和国」の政治・政策について

政治体制について

「シリア・アラブ共和国」は、共和制で、議会は人民議会の一院制で、250議席で、任期は4年です。

「シリア・アラブ共和国」の政策

「シリア・アラブ共和国」は、2011年のシリア危機勃発以前の状況は、1970年以来、シリア大統領職にあったハーフェズ・アサド大統領は、国内少数派のアラウィー派の出身ながら、巧みな政治手腕によって長期安定政権を維持しました。

しかし、2000年6月10日に69歳で死去し、その後は、次男バッシャールに政権が平和裡に移譲され、共和政体下にあるものの、実質はバアス党による一党支配となり、政権の課題は、中東和平および経済面を中心とした改革の推進でした。

シリア危機勃発以降の状況は、2011年3月中旬以降、各地で反政府デモが発生し、反政府勢力に過激派武装勢力なども参加してシリア政府当局との間で暴力的衝突に発展しました。

シリア政府と反政府勢力との間の暴力的衝突がその後も継続し、2014年以降はイスラム過激派勢力である「イラクとレバントのイスラム国(ISIL)」が勢力を拡大して関係国がシリア情勢への関与を深めるなど、シリア内政は複雑化の一途を辿りました。

2011年のシリア危機勃発以降全土で約40~47万人以上の死者、約610万人以上の国内避難民が発生し、周辺諸国に約550万人以上の難民が流出したとされ、今世紀最悪の人道危機と言われる状況が継続しています。

2019年3月にISILが最後の拠点を失って以降も、シリア国内では、関係国も関与する形で、シリア政府軍と反政府勢力との間での軍事衝突が継続し、特にイドリブ地域では2019年4月にロシア等の支援を受けたシリア政府軍と反体制派との間で戦闘が激化して以降、多くの国内避難民が発生し、人道状況が極めて悪化しました。

こうした状況の中、シリア危機の政治的解決に向けては、2015年に安保理決議第2254号に沿った政治プロセスの進展を図るべく、国連仲介の下、2016年以降、「シリア人対話」が開催されていましたが、2018年1月以降中断されたままとなっていました。

こうした中、ペデルセン特使を中心する国連等の仲介努力により、2019年10月には憲法改革についてシリア人間で議論する憲法委員会の活動が開始されました。


憲法委員会の活動等を通じ、政治プロセスに進展が見られることが期待されるものの、これまでのところ具体的な進展は見られていません。

こうした中、シリア政府によって、2020年7月にシリア危機発生以降3度目となる人民議会選挙が実施され、2021年にはシリア危機勃発以降2度目となる大統領選挙が実施される見込みとなっています。

この点、2020年7月の人民議会選挙に関しては、シリア難民等が不参加であることからも、米国や反体制派等によって、今次選挙が自由で公正な選挙ではない旨が指摘されています。

「シリア・アラブ共和国」の元首・首相・外相について

「シリア・アラブ共和国」の元首について

「シリア・アラブ共和国」の元首は、バッシャール・アル・アサド大統領です。

「シリア・アラブ共和国」の首相について

「シリア・アラブ共和国」の首相は、フセイン・アルヌースで、外相は、ファイサル・アル・ミクダードです。

「シリア・アラブ共和国」の国防・軍事制度・兵役について

「シリア・アラブ共和国」は、2011年のシリア危機勃発以前の状況は、中東和平問題等の中東情勢の鍵を握る重要な立場にありましたが、2005年2月のハリーリ・レバノン元首相の暗殺事件以来、米仏による対シリア圧力が強まり、国際社会において孤立してきました。

2008年以降、徐々に欧米諸国との対話が開始され、孤立からの脱却が図られ、中東地域内においてイランとの関係強化を図る一方、長年対立的な関係にあったトルコやサウジアラビアを始めとする周辺アラブ諸国との関係の改善に向けた動きも見られました。

2011年のシリア危機勃発以降、欧米諸国などはシリア政府によるシリア国民に対する激しい弾圧等に対して、シリアに対する経済制裁措置を累次に亘り講じてきているほか、アラブ連盟によってシリア政府の同連盟参加資格は停止されています。

2013年8月のシリアにおける化学兵器使用を巡る問題を受け、シリアは同年中に化学兵器禁止条約(CWC)に加入し、2016年1月までにシリア政府が申告した化学兵器の廃棄を完了しました。

しかし、廃棄完了以降も、シリアにおける化学兵器使用事案は頻発しており、シリア政府の申告の整合性に疑念が生じています。

こうした中、2020年4月、シリアでの化学兵器使用事案について、その使用者を調査していた化学兵器禁止機関(OPCW)により、2017年3月にシリア北西部で発生した化学兵器使用事案に関してシリア空軍の関与を結論づける報告書が発表されました。

シリア危機の政治的な解決に向けて、我が国や欧米諸国を始めとする国際社会は、安保理決議第2254号等に沿ったシリア危機の政治的解決に向けたシリア政府による真摯な対応を求めてきています。

国連は、シリア政府や反体制派、関係国などの間での対話を促進するべく、安保理決議第2254号に沿う形で仲介努力を行ってきていますが、政治プロセスの進展に向けた見通しは立っていません。

こうした中、シリア国内で戦闘を継続するシリア政府や親体制派民兵組織および反体制派などの各勢力に強い影響力を有する露、トルコ、イランは、国連の仲介努力を支援すべく、シリア国内各地域での停戦等の実現に向けて「アスタナ・プロセス」を立ち上げました。

同プロセスは、これまで、「イドリブや南西部等における緊張緩和地帯の設置」や「イドリブに関する露トルコ合意(ソチ合意)」等の一定の成果をもたらしたものの、シリア全土での停戦は依然として実現されていません。

軍事力は、2019年現在、予算は不明で、兵力は、約13万9,000人で、その内訳は、陸軍が約10万人、海軍が約4,000人、空軍・防空軍が約3.5万人で、予備役兵は約10万人、兵役は徴兵制度で30か月となっています。

「シリア・アラブ共和国」と「日本」の関係は?

「シリア・アラブ共和国」と「日本」の政治関係は、1953年12月に国交が樹立、1954年6月に在シリア日本国公使館が開設、1958年3月に在ダマスカス日本国総領事館が開設されました。

その後、1962年4月に在シリア日本国大使館となり、エジプトの合邦から分離独立され、1978年12月に在日シリア大使館が開設されました。

なお、在シリア日本国大使館は、シリア国内の治安状況が悪化したことから、2012年3月に一時閉館し、現在は、在レバノン日本国大使館内に臨時事務所を移転して業務が継続中です。


経済関係は、対日貿易においては、2019年現在、シリアから日本への輸出は、約0.5億円、日本からシリアへの輸入は、約15.6億円で自動車、一般機械等です。

日本は、シリア危機の解決を目指す国際平和のための国際的な努力に寄与するため、主要国が講ずることとした措置の内容に沿ってシリアのアサド大統領およびその関係者等に対し、外為法に基づく資産凍結等の措置を平成23年9月以降実施しており、制裁対象は累計59個人および35団体です。

文化関係は、シリアには、日本語教育機関としてダマスカス大学人文学部日本語学科、ダマスカス大学高等言語学院日本語科、アレッポ大学学術交流日本センターがあります。

まとめ

以上、国特集「シリア・アラブ共和国」でした。

ちなみに、「シリア・アラブ共和国」の男子サッカーFIFAランキングでは、2020年11月の時点では「76位」でした。

本記事は、2023年1月9日時点調査または公開された情報です。
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