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【目指せ!外交官】世界初の黒人による共和制国家「ハイチ共和国」の基礎知識(2021年7月調査情報)

世界の国特集、今回紹介するのは、大アンティル諸島のイスパニョーラ島西部を領土とする共和制国家「ハイチ共和国」です。

「ハイチ共和国」は、中央アメリカの西インド諸島に含まれている国です。

外交官になるなら押さえておきたい国の基本知識です。


「ハイチ共和国」ってどんな国?

「ハイチ共和国」の正式名称は、ハイチ語で「Repiblik d Ayit」、フランス語で「 République d’Haïti」、英語では「Republic of Hait」です。漢字では「海地」と表記し、その他「亥智、平智、亥第、海智、海提、拝地」などとも表記されます。

「ハイチ共和国」の広さ 面積・場所について

「ハイチ共和国」の面積は約27,750平方キロメートルで、北海道の三分の一程度の大きさです。

「ハイチ共和国」の場所は、中央アメリカの西インド諸島に含まれる大アンティル諸島のイスパニョーラ島西部にあり、東にドミニカ共和国と国境を接し、カリブ海のウィンドワード海峡を隔てて北西にキューバが、ジャマイカ海峡を隔てて西にジャマイカが存在しています。

「ハイチ共和国」の首都について

「ハイチ共和国」の首都は「ポルトープランス」で、「ポルトープランス」はゴナーヴ湾に面しており、北緯18°32’西経72°20’に位置しています。

「ポルトープランス」の人口は、 2007年現在、 約108万2,800人です。

「ハイチ共和国」の人口について

「ハイチ共和国」の人口は、世界銀行が2019年に調べた時点で約1,126.3万人であり、人口密度は、約332.77人で、第22位です。

「ハイチ共和国」の成り立ちについて

「ハイチ共和国」は、1492年にコロンブスによってイスパニョーラ島が発見され、1697年にフランス領となり、1804年に独立、1915年~1934年は米国によって軍事占領されていました。

1957年9月にF.デュバリエ政権が誕生、1971年4月にJ.C.デュバリエ大統領が就任、1986年2月にJ.C.デュバリエ大統領がハイチを出国、1987年4月に民主憲法が発布、1991年2月にアリスティッド政権が成立しました。

1991年9月に軍事クーデター、アリスティッド大統領が国外脱出、1993年6月に国連安保理制裁が開始、1993年7月にアリスティッド大統領の帰国に向け合意が成立、1993年10月に国連安保理制裁が再開、1994年5月に国連安保理制裁が強化されました。

1994年7月に国連安保理、加盟国に多国籍軍創設を認める決議が採択、1994年9月にカーター合意により軍指導部は退陣に合意、多国籍軍が展開、1994年10月にアリスティッド大統領が帰国しました。

1995年3月に多国籍軍が国連ハイチ・ミッション(UNMIH)に移行、1996年2月にプレヴァル大統領が就任、1997年11月に国連ハイチ・ミッション(UNMIH)がハイチから撤退、2001年2月にアリスティッド大統領が就任しました。


2004年2月に武装勢力の活動先鋭化、アリスティッド大統領国外脱出、アレクサンドル暫定大統領就任、多国籍軍が展開、2004年4月に多国籍軍が国連ハイチ安定化ミッション(MINUSTAH)に6月から移行されました。

2004年7月に対ハイチ支援会合が開催、2006年5月にプレヴァル大統領が就任、2006年7月に対ハイチ支援会合が開催、2009年4月に対ハイチ支援国会合が開催、国際社会によって今後約2年間の支援として約350百万ドルが保証されました。

2010年1月 ハイチ地震発生を受け、国連安保理は国連ハイチ安定化ミッション(MINUSTAH)の増員(3,500名)が決定、2010年1月にハイチに関する閣僚級会合が実施、2010年3月にハイチ支援国会合が実施、国際社会によって合計約53億米ドルを保証されました。

2011年5月に マルテリー大統領が就任、2015年8月に国会議員選挙(第1回)が実施、2015年10月に大統領選挙(第1回)および国会議員選挙(第2回)が実施、2016年11月に2015年の選挙のやり直しとして、大統領選挙(第1回)等が実施されました。

2017年2月にモイーズ大統領が就任、2017年10月に国連ハイチ安定化ミッションから国連ハイチ司法支援ミッションに移行、2019年10月に国連PKOが撤退し、国連ハイチ統合事務所(BINUH)が設立されました。

「ハイチ共和国」の国民・宗教・言語について

「ハイチ共和国」の国民について

「ハイチ共和国」の人種割合は、ハイチ人の約95パーセントがアフリカ系で、残りのほとんどは白人とアフリカ人の混血のムラートです。

エリートであるムラートとその他の黒人との間の経済的、文化的、社会的格差が著しく、そのほかに、数は少ないが独立後に中東から移民したアラブ系ハイチ人が存在します。

植民地時代にアフリカからハイチに連行された人々のルーツは、セネガンビアのウォロフ人、バンバラ人、フルベ人、マンディンゴ人などイスラーム教を奉ずる人々や、現在のガーナのファンティ人、現在のナイジェリア、ベナンのフォン人、イボ人、ヨルバ人、さらにはコンゴ、アンゴラの人々など非常に多岐に渡るものでした。

しかし、ハイチの黒人文化の主流となったのは、現ベナン出身のフォン人の文化であり、ヴードゥー教や祖先信仰などダホメの文化がハイチでヘゲモニーを握ることとなりました。

アフリカの各地にルーツを持ち、対立していた奴隷たちは、ダホメのヴードゥーによって結束を達成しました。

また、貧困から抜け出すために海外への移民・難民も少なくなく、アメリカ合衆国のマイアミとニューヨークにハイチ系アメリカ人、カナダのモントリオールにハイチ系カナダ人、フランスの首都パリ、バハマ、ドミニカ共和国には大きなハイチ人の移民コミュニティがあります。

「ハイチ共和国」の宗教について

「ハイチ共和国」の国家宗教は、国民の約95パーセントがキリスト教徒で、宗教の主流は国教ともなっているカトリックで、国民の約80パーセントが信仰しています。

カトリックの他にはペンテコステ派、バプティストなどのプロテスタントや、少数ながら正教も信仰されています。

多くのハイチ人はカトリックの信仰と並行して、アフリカ系のベナンにルーツを持つ宗教であるブードゥー教の慣習も行われており、ブードゥー教にはブラジルのカンドンブレ、キューバのサンテリアなどとの近似が認められます。

「ハイチ共和国」の言語について

「ハイチ共和国」の公用語は、ハイチ語とフランス語で、フランス語系のクレオール言語であるハイチ語は1987年に公用語として認められました。


ほとんどのハイチ人はハイチ語を日常的に使用していますが、公的機関やビジネス、教育では標準フランス語が使われています。

「ハイチ共和国」の経済状況について

「ハイチ共和国」の通貨はグルドで、GNIは約89億1,100万米ドルで、世界128位です。そして、一人当たりのGDPは約1,252.87米ドルで、世界160位です。

「ハイチ共和国」の貿易について

「ハイチ共和国」の貿易相手は未詳で、「ハイチ共和国」の主な輸出品目は、衣類、加工品、カカオ、マンゴー、コーヒーで、輸入品目は、食料品、加工品、機械・輸送機器、燃料、鉱物原料です。

「ハイチ共和国」の政治・政策について

政治体制について

「ハイチ共和国」は、立憲共和制で、議会は二院制、上院は30議席、下院は119議席です。

「ハイチ共和国」の政策

「ハイチ共和国」は、独立以来独裁政権が続いていましたが、1990年12月、初めての民主的選挙が実施され、アリスティッド大統領が当選しました。

しかし、1991年9月の軍事クーデターにより同大統領は国外退避し、1994年10月に同大統領が政権復帰しました。

1995年12月の大統領選挙で、プレヴァル候補が当選し、1996年2月に大統領に就任しましたが、その後、政治的混乱が生じ、1999年1月以降は、国会議員の任期切れによって国会は事実上機能停止状態に陥りました。

2000年5月、再三延期されていた国会議員(上下両院)選挙が実施、同年11月には大統領選挙が実施され、2001年2月にアリスティッド大統領が就任しましたが、野党側は両選挙の無効を主張し、与野党が対立しました。

2004年2月、アレクサンドル最高裁長官が暫定大統領に就任、3月にラトルチュ元外相が首相に就任しました。

2004年6月、国連決議1542に基づき国連ハイチ安定化ミッション(MINUSTAH)が発足し、治安確保、政治プロセス支援、人権・人道支援の調整のため幅広い分野での活動が展開されています。

また、我が国を含む国際社会は、2004年7月にワシントンで開催された対ハイチ支援会合で総額約1,085百万ドルの支援を表明したほか、ハリケーン災害に対する緊急援助や選挙監視員の派遣など、ハイチ情勢の安定化のための支援が行われました。

2006年には大統領選挙、国会議員選挙、地方選挙が実施され、プレヴァル大統領が就任、アレクシー内閣が発足されました。

新政権樹立を受け、国際社会は同年7月のポルトープランス会合で総額約750百万ドルの支援表明が行われたほか、国連ハイチ安定化ミッションのマンデート延長を数次に亘り承認し、それにより国内治安情勢は安定化してきています。

2008年4月に食料価格高騰問題を巡り、大規模なデモが発生、上院は内閣不信任案を可決し、アレクシー首相が辞任、同年9月、ピエール=ルイ首相が就任しました。

2009年10月に上院はピエール=ルイ内閣不信任案を賛成多数で可決、ピエール=ルイ首相が辞任し、同11月ベルリーヴ計画・対外協力相が首相に就任しました。

2010年11月に大統領選挙等(第1回投票)が実施。2011年3月に大統領選挙等(決選投票)実施。2011年5月、マルテリー大統領が就任しました。

マルテリー大統領就任後、同大統領が指名した首相候補者を議会が2度にわたり否決するなど政治空白が続きましたが、2011年10月にコニーユ内閣が発足した。2012年2月のコニーユ首相辞意表明を受けて、2012年5月にこれまで外相を務めていたラモット氏が首相に就任しました。

2014年12月のラモット首相の辞任を受けて、2015年1月にポール氏を首相とするコンセンサス内閣が発足、2015年3月に次期選挙の日程(2015年8月上下両院議員選挙(第1回)、2015年10月大統領選挙(第1回)・上下両院選挙(第2回)・地方選挙、2015年12月大統領選挙(第2回))が発表されました。

2015年8月および10月の選挙は概ね予定どおり実施されましたが、大統領選挙第1回投票は、2016年11月に再実施されました。


2016年11月に実施された大統領選挙の結果、2017年2月、モイーズ大統領が就任、3月にラフォンタン氏が首相に就任、2018年7月に石油関連製品の一斉値上げの値上げ発表を受けて暴動が発生し、同月、ラフォンタン首相が辞任、9月にセアン氏が首相に就任、2019年3月セアン内閣に対する不信任決議が可決されました。

2020年1月に前年10月に予定されていた選挙が実施できなかったことから、下院議員全員と上院議員の3分の2が任期切れで失職、2020年3月、ジュトゥ氏が首相に就任しました。

「ハイチ共和国」の元首・首相・外相について

「ハイチ共和国」の元首について

「ハイチ共和国」の元首は、ジョヴネル・モイーズ大統領です。

「ハイチ共和国」の首相・外相について

「ハイチ共和国」の首相は、ジョセフ・ジュトゥで、外相は、クロード・ジョゼフです。

「ハイチ共和国」の国防・軍事制度・兵役について

「ハイチ共和国」は、主要支援国である米国、カナダ、フランス等との関係を重視しており、1996年2月にキューバとの国交が回復、2002年7月にカリブ共同体に加盟しました。

ラテンアメリカ・カリブ共同体(CELAC)のメンバーで、治安維持、選挙監視等の分野で国連およびOASの役割・協力に依存しており、台湾承認国です。

軍事力は、予算は、2017年現在、約7百万米ドル、兵力は、兵力規模約500人で、陸軍が約500人、予備軍が約50人です。

1994年までは、兵力規模は約7,400人で、陸軍が約7,000人、が約海軍250人、空軍が約50人の軍事力を有していましたが、1995年のアリスティッド大統領復帰後に、軍は解体されました。

2004年に、国際連合ハイチ安定化ミッション(MINUSTAH)が設立され、治安回復に努めてきました。

MINUSTAHは、2016年11月までにハイチ国家警察(PNH)に権限を委譲し、撤収、また、2015年末に小規模の軍隊が復活しています。

「ハイチ共和国」と「日本」の関係は?

「ハイチ共和国」と「日本」の政治関係は、1956年4月、外交関係が再開、現在、在ドミニカ共和国大使館が兼轄しており、1975年2月より臨時代理大使が駐在しています。

2004年2月25日、ハイチ情勢悪化のため在ハイチ大使館は一時閉鎖されましたが、同年4月12日に再開、2011年以降はハイチ大使館大使を発令して現在に至っています。

ハイチ側は1960年に日本に大使館が開設、1995年5月より特命全権大使が駐在し、2003年9月に離任、2005年4月末に臨時代理大使が着任しました。

2010年1月のハイチ大地震を受け、日本は、2010年2月から2012年12月まで自衛隊施設部隊をハイチPKOに派遣、また、ハイチ大地震以来、2019年3月末までに総額3.2億ドル超の復興・開発支援を実施しています。

経済関係は、対日貿易において、貿易額は、2019年現在、対日輸出が約4.71億円、対日輸入が約22.7億円、主要品目は、対日輸出が衣類、対日輸入が自動車、機械類および輸送用機器です。

在留邦人数は、2018年10月現在、48名、在日当該国人数は、2019年12月現在、37名です。

まとめ

以上、国特集「ハイチ共和国」でした。

ちなみに、「ハイチ共和国」の男子サッカーFIFAランキングでは、2020年11月の時点では「83位」でした。

FIFAデータ

https://fifaranking.net/ranking/


本記事は、2023年4月9日時点調査または公開された情報です。
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