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【目指せ!外交官】国体の変化が著しい歴史を持つ「フィンランド共和国」の基礎知識(2021年7月調査情報)

世界の国特集、今回紹介するのは、北ヨーロッパに位置する共和制国家「フィンランド共和国」です。

「フィンランド共和国」は、北欧諸国のひとつであり、西はスウェーデン、北はノルウェー、東はロシアと隣接し、南はフィンランド湾を挟んでエストニアが位置している国です。

外交官になるなら押さえておきたい国の基本知識です。


「フィンランド共和国」ってどんな国?

「フィンランド共和国」の正式名称は、フィンランド語で「Suomen tasavalta」、スウェーデン語で「Republiken Finland」、英語では「Finland」です。

漢字では「芬蘭」と表記し、その他「芬蘭土、分蘭、行蘭土」などとも表記されます。

「フィンランド共和国」の広さ 面積・場所について

「フィンランド共和国」の面積は、約33.8万平方キロメートルで、日本よりやや小さい程度の面積です。

「フィンランド共和国」の場所は、北ヨーロッパにあり、西はスウェーデン、北はノルウェー、東はロシアと隣接し、南はフィンランド湾を挟んでエストニアが位置しています。

「フィンランド共和国」の首都について

「フィンランド共和国」の首都は「ヘルシンキ」で、「ヘルシンキ」は、バルト海東部のフィンランド湾に面しており、座標は、北緯60度10分15秒、東経024度56分15秒です。

「ヘルシンキ」の人口は、2012年現在、約61万6,042人です。

「フィンランド共和国」の人口について

「フィンランド共和国」の人口は、2018年に調べた時点で約551万人であり、人口密度は、約16.34人で、第170位です。

「フィンランド共和国」の成り立ちについて

「フィンランド共和国」は、1世紀頃にフィンランド人の定住があり、11世紀~12世紀にキリスト教が伝来、東西キリスト教の角逐があり、1323年にスウェーデン・ロシア間の国境が画定、フィンランドがスウェーデンの一部となりました。

1809年にスウェーデン、フィンランドをロシアへ割譲、1917年にロシアから独立、フィンランド共和国が成立、1939年に対ソ戦争(冬戦争)、1941年~1944年に対ソ戦争(継続戦争)が勃発しました。

1944年~1945年に対独戦争(ラップランド戦争)が勃発、1948年にフィンランド・ソ連友好協力相互援助条約が締結、1955年に国連に加盟、1975年にCSCE(欧州安全保障協力会議)が開催しました。

1986年にEFTA(欧州自由貿易連合)に正式に加盟、1995年にEU(欧州連合)に加盟、1999年にEMU(欧州通貨同盟)に加盟、2002年にユーロが導入されました。


「フィンランド共和国」の国民・宗教・言語について

「フィンランド共和国」の国民について

「フィンランド共和国」の人種割合は、フィン人が約91.7パーセント、スウェーデン人(スウェーデン系フィンランド人)が約5.5パーセント、サーミ人が約0.1パーセント、ロマ人が約0.1パーセントです。

また、2010年の統計によると、ドイツ系などの外国人は、約16万7,954人、約2.7パーセント と少なく、大部分がロシア人とエストニア人でなっています。

そのため、ほかの北欧諸国に見られるような移民問題は比較的少なくありませんが、21世紀に入り難民などを積極的に受け入れはじめ、ソマリア人、アルバニア人、イラク人、クルド人などがその中心となっており、ほとんどがヘルシンキ都市圏に在住しています。

なお、このような難民受け入れに対する反感も近年は根強くなっており、「真のフィンランド人」のような安易な移民受け入れに反対する右派民族主義政党の躍進をもたらしています。

「フィンランド共和国」の宗教について

「フィンランド共和国」の国家宗教は、フィンランド福音ルター派教会が約78パーセント、フィンランド正教会が約1.1パーセント、ローマ・カトリック教会、ユダヤ教、イスラム教など、ほかの宗教と無宗教が約20パーセントです。

フィンランド福音ルター派教会とフィンランド正教会は国教として扱われており、政府が国民から直接税の形で集めた教会税によって資金的援助を受けています。

しかし、近年では国民の信仰心の低下や政教分離の意見の高まりなどから、教会への支援は世論からの支持を受けなくなる傾向にあり、それにともない「教会税」も毎年減少傾向にあります。

「フィンランド共和国」の言語について

「フィンランド共和国」の公用語は、フィンランド語とスウェーデン語です。

しかし、サーミ人はサーミ語を使用し、1970年代にその地位は向上、1999年の憲法改正により、準公用語と明記されました。

これと同時に、ロマ人その他の少数民族に対する配慮も加えられ、さらに、ロシア語を母語とするロシアからのいわゆる帰還者が最近増加しつつあります。

スウェーデン語は、すでにフィンランドに根を下ろしており、少数派とはいえ、企業や産業界で影響力を持ち、政府にも主要政党を持っているため、公用語問題は歴史的な問題でしたが、ロシア語は1世紀にわたり支配社会の上層部にのみ影響を与えただけで、国民に浸透することはありませんでした。

「フィンランド共和国」の経済状況について

「フィンランド共和国」の通貨は、ユーロで、GDPは約2,753億米ドルで、世界44位です。そして、一人当たりのGDPは約48,981.44米ドルで、世界13位です。

「フィンランド共和国」の貿易について

「フィンランド共和国」の貿易相手は主に、輸出がドイツ、スウェーデン、米国、オランダ、中国、ロシアで、輸入が、ドイツ、ロシア、スウェーデン、中国、オランダとなっています。

「フィンランド共和国」の主な輸出品目は、車両・機械、石油精製品、化学製品、鉱物性燃料などで、輸入品目は、車両・機械、鉱物性燃料、化学製品などです。

「フィンランド共和国」の政治・政策について

政治体制について

「フィンランド共和国」は、共和制で、議会は、200議席の一院制で、任期は4年です。


「フィンランド共和国」の政策

「フィンランド共和国」は、2018年1月に大統領選が行われ、現職のニーニスト候補が無所属候補として出馬し、8人の候補者が出馬する中、6割を超える票を得て、2期目に選出されました。

また、内閣では、2019年4月の総選挙で、リンネ党首率いる中道左派の社会民主党(社民党)が第1党となり、同党を中心に約1か月半にわたる交渉の結果、6月、リンネ社民党党首を首相とする5党連立政権が成立しました。

しかし、12月に国有企業の労使間交渉をめぐる政府の対応の不手際への批判を受け、リンネ首相が辞任し、約10日間にわたる組閣交渉の結果、リンネ内閣のマリン運輸・通信大臣がフィンランド史上最年少で新首相に就任し、新内閣が発足されました。

マリン新内閣は、リンネ前内閣の主要政策を維持する方針に持続可能な社会・経済をキーワードに、気候変動対策、就業率向上・雇用創成、社会保障・教育制度の充実等を優先課題に掲げています。

「フィンランド共和国」の元首・首相・外相について

「フィンランド共和国」の元首について

「フィンランド共和国」の元首は、サウリ・ニーニスト大統領です。

「フィンランド共和国」の首相・外相について

「フィンランド共和国」の首相は、サンナ・マリンで、外相は、ペッカ・ハーヴィストです。

「フィンランド共和国」の国防・軍事制度・兵役について

「フィンランド共和国」は、EU志向外交と対露関係において、第二次大戦中の2回にわたるソ連との戦争経験を踏まえ、1948年、ソ連との間に、フィンランドの中立政策を認めた「友好協力相互援助条約」を締結しつつ、国際紛争の局外に立つ中立を志向してきました。

1991年にソ連が崩壊すると、1992年1月に同条約を廃棄し、代わって「基本条約」をロシアと締結し、ロシアとの間では、現在も良好な実務関係の発展に努めており、EUの対露制裁に参加する一方で首脳レベルでの対話を維持しています。

EUとの関係では、冷戦終結後、西側諸国との外交を活発化し、1995年1月にEUに加盟。以後は、EUを軸点とする外交政策をとりつつ、EUとロシアの戦略的関係強化を掲げる「ノーザン・ダイメンション」構想を提唱する等、独特の外交を展開しています。

なお、2019年7月から12月まで、3度目のEU議長国を務めています。

軍事的非同盟については、冷戦期の「中立政策」から、1995年のEU加盟を機に「信頼に足る防衛力を基盤とした軍事的非同盟」へ政策転換しました。

NATOには非加盟であるが、 1994年5月に平和のためのパートナーシップ(PfP)協定を締結し、NATO主導の国際平和協力活動に積極的に参加し、2014年のNATOウェールズサミットにおいて、「高次の機会が提供されるパートナー国」の一つに特定されました。

また、同時にホスト・ネーション・サポート(HNS)に関するMoUにも署名しました。

北欧・バルト海諸国との地域協力については、北欧諸国とは北欧防衛協力、共通電力市場などの地域的な枠組みを通じた緊密な協力を推進しました。

また、1980年以来バルト海洋環境保護委員会(HELCOM)の本拠地となり、2009年に採択されたEUバルト海地域戦略の策定過程に深く関与するなど、ロシアを含むバルト海周辺諸国による環バルト海協力において主導的役割を担う国の一つとなっています。

国際平和と開発への協力については、国際危機管理活動を重視しており、2019年6月現在、レバノン、南スーダン等の6つの国連PKOミッションに約230人が派遣されているほか、EUやNATO等の主導する国際的活動(コソボ、アフガニスタン等)にも参加しています。

このほかにも、持続可能な開発を支援するため、EU・国際機関・非政府組織を通じた開発協力や、アフリカや紛争後の国を始めとする特定の国・地域に対する二国間援助を実施しています。

国際機関における多国間協力については、国連、EU、欧州安全保障協力機構、欧州評議会などの国際機関・地域機関における多国間協力が重視されています。

軍事力については、国土防衛を中核としつつ、欧州における危機管理への参画と国連平和維持活動及び同人道支援活動への参画を基本方針としています。


予算は、2018年現在、約28.7億ユーロで、兵役は、18歳以上の男子で、兵役期間は165日、255日、または347日で、2013年の法改正により短縮され、予備役の上限は60歳、女子は志願制です。

兵力は、陸軍が約16,000人、海軍が約3,500人、空軍が約2,700人で、有事動員可能兵力は、約28万人となっています。

「フィンランド共和国」と「日本」の関係は?

「フィンランド共和国」と「日本」の政治関係は、日本は1919年にフィンランドを国家承認(事実上の承認)し、外交関係を樹立しましたが、1944年に一時断交しました。

その後、1952年に領事・通商関係が回復し、1957年に外交関係が再開され、その後は、良好な二国間関係を維持し、福祉、情報通信、科学技術、文化・学術交流、貿易などの共通関心分野の様々なレベルで二国間協力が行われています。

日本からの企業進出が続く中、2013年7月には日本航空がフィンエアーに加えて成田・ヘルシンキ間に直行便を就航させ、同じく同月、海上自衛隊の遠洋練習艦隊旗艦「かしま」が初めてヘルシンキに寄港するなど、二国間の交流は官民ともに活発化しています。

なお、両国は2019年(5月24日)に外交関係樹立100周年を迎え、両国で各種記念行事が開催されています。

経済関係については、日本との二国間貿易は、貿易収支は、2018年現在、対フィンランド輸出が約542億円、対フィンランド輸入が約2,150億円です。

主要輸出入品目は、2018年現在、フィンランドへの輸出は、輸送用機器、一般機械、電気機器、ゴム製品などで、フィンランドからの輸入は、金属製品、木材およびコルク、元素および化合物、紙類および同製品、木製品およびコルク製品、金属鉱およびくずなどです。

日本との投資関係は、フィンランドに進出している日系企業は、2018年現在、212社で、日本企業によるフィンランド企業の買収も多く、近年では、三菱マテリアル、モリタホールディングス、安川電機、村田機械等の事例があります。

また、2019年11月には欧州最大規模のMUJIヘルシンキ支店がオープンし、人気を博しており、2019年8月現在、フィンランド日本人商工会の会員数は146人です。

フィンランドの対日進出企業は、2019年8月現在、在日フィンランド商工会議所には56社が加盟しています。

フィンランドの売上高上位企業であるノキア、ストラ・エンソ、UPMキュンメネ、メッツォ、オウトクンプなどが日本に支社を置き、フィスカルス傘下のイッタラやアラビア、マリメッコ、アルテック、スントなどは、日本でも知られるブランドです。

このほか、航空ネットワークとして、2019年12月に新千歳・ヘルシンキ便が就航し、日本・フィンランド間は成田、関西、中部、福岡と合わせ5路線で結ばれています。

なお、北海道と欧州を結ぶ直行便の就航は2002年にKLMオランダ航空がアムステルダム線から撤退して以来、17年ぶりです。

地域間の連携は、2005年開所の仙台フィンランド健康福祉センターを核に、仙台市においてフィンランドの福祉に関するノウハウを取り入れた施策を展開するとともに、フィンランドの福祉関連企業、仙台市の行政、研究機関、産業界が共同した事業を行っています。

また、この事業をきっかけに仙台市とオウル市との間で「産業振興のための共同インキュベーション協定」が結ばれ、ICT、ナノ技術、バイオ技術等の分野における産学官の連携や交流を行っています。

2014年に神奈川県とオウル市との間で、ライフサイエンス分野等における産官学の協力関係の拡充と両地域の友好関係の拡大を目指すためのMOU(覚書)が交わされました。

2016年、横浜国立大学がオウル大学内にブランチ・オフィスを開設するなど大学間の交流も深く、2016年には山口市とロヴァニエミ市によって観光交流協定が締結されました。

文化関係は、1978年に文化協定を締結し、2010年には、両国間の学術交流を目的とした「日本・フィンランド計画」の名誉総裁を務める高円宮妃殿下がフィンランドを訪問されました。

2016年にヘルシンキ美術館で開催された草間彌生展には22万人を超える来場者があったほか、「ムーミン」(トーヴェ・ヤンソン作)やシベリウス作曲の交響詩「フィンランディア」は、日本でも広く知られています。


また、フィンランドはサウナ発祥の地、サンタクロースの国としても有名であり、シンプルで機能的な北欧デザインを持つマリメッコ、イッタラ、アルヴァー・アールトをはじめとするフィンランド・デザインも親しまれています。

2017年のフィンランド独立100周年には、日本さくらの会より、ヘルシンキ市および国会に、桜の苗木が贈呈され、2019年3月には、埼玉県飯能市にフィンランド国外では初となる「ムーミンバレーパーク」がグランドオープンしました。

2019年に日本・フィンランド外交関係樹立100周年を迎え、フィンランドでは、小笠原家等による古武道演武会、能公演、茶道裏千家・千玄室大宗匠の訪問等が、日本では「ムーミン展」の開催やフィンランドが生んだ著名建築家であるアルヴァ・アールトの展示会等の各種記念行事が実施されました。

在留邦人数は、2018年10月現在、2,005人で、在日当該国人数は、2018年12月、769人です。

まとめ

以上、国特集「フィンランド共和国」でした。

ちなみに、「フィンランド共和国」の男子サッカーFIFAランキングでは、2020年11月の時点では「54位」でした。

本記事は、2023年5月9日時点調査または公開された情報です。
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