平等権の「法の下の平等」とは
日本国憲法では第14条で次のように平等権が認められています
第14条 すべて国民は、法の下に平等であって、人種、信条、性別、社会的身分又は門地により、政治的、経済的又は社会的関係において、差別されない。(略)
これは、どの国民も権利や義務の関係において差別されることなく、等しく扱われなければならないという原則です。
法の下の平等には様々考え方があり、大きく分けて「形式的平等」と「実質的平等」があります。また、実質的平等を実現するための手法の一つに「ポジティブアクション」があります。
これから、「形式的平等」「実質的平等」「ポジティブアクション」について順を追って解説していきます。
「形式的平等」とは?
形式的平等とは、性別や属性や貧富に関わらず全ての個人を均等に取り扱い、個人の自由な活動を保証するという原則のことです。どのような人にでも自由な活動の機会を保証していることから「機会の均等」とも呼ばれます。
しかし、形式的平等という考え方は性別や貧富といった社会的な立場の強弱を一切考慮せず、あらゆる個人を同じように扱うため、制度の上では平等であっても結果として強者と弱者の格差を広げてしまうという問題点があります。
「実質的平等」とは?
そこで、このような「形式的平等」の問題点を踏まえて生まれたのが「実質的平等」という理念です。これは社会的・経済的弱者に対して優遇措置を講じることでより厚く保護し、実質的な結果が平等になるようにするという考え方をいいます。「結果の平等」とも呼ばれます。
具体的には、所得の額に応じて所得税などの額が決められる「累進課税制度」や、経済的に極めて困窮してる人の最低限度の生活を保証するための生活保護制度も「実質的平等」を実現するための措置です。
「ポジティブアクション」とは?
また他に、「実質的平等」を実現するための取り組みの一つに「ポジティブアクション」があります。これは、企業や公的機関において女性をはじめとする社会的弱者に対して特別な機会を提供することで、実質的な機会の平等を実現し、社会的差別を是正するための取り組みのことです。「アファーマティブアクション」と呼ばれることもあります。
「ポジティブアクション」の具体的な手法としては「クオータ制」があります。クオータとは「割り当て」のことで、人種や性別を基準に議席の一定の人数や比率を割り当てることをいいます。
たとえ形式上は平等であっても、固定的な役割意識や偏見が原因で十分な活躍の機会が得られないおそれのある人たちの任用に一定の枠を設けることで、実質的な平等が実現することが期待されています。
まとめ
以上、平等権の「法の下の平等」について解説しました。
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