【2024年アメリカ大統領選挙４】バイデン離脱で民主党大統領候補はどうなる？（2024年7月情報）

2024年7月26日

7月21日にバイデン大統領は2024年の選挙戦から離脱し、カマラ・ハリス副大統領を党の新候補として支持すると発表しました。そこで今回は、バイデン氏の離脱によって起こるこれからの大統領選挙について考えてみたいと思います。

バイデン氏はなぜ選挙戦から離脱したのか

バイデン氏が選挙戦から離脱した理由は大きく分けて２つあります。まず１つ目は、先日行われたトランプ氏とのテレビ討論会での様子です。

テレビ討論会での惨憺たるパフォーマンス

6月27日に行われたテレビ討論会は大統領選挙に向けた一大イベントで、バイデン大統領にとっても自らの意見を国民に示す絶好のチャンスでした。しかし結果は惨憺たるもので、声は掠れ、数字の言い間違いや言葉を詰まらせるなど、多くの失態を見せ、ボロボロの大統領の姿にメディアは騒然となり、党内は大パニックになりました。

バイデン大統領の年齢問題は、世間からいつも不安視されていましたが、今まではバイデン氏自身が自虐ネタのように使うくらいで、党内ではそれほど重視されていなかったように思われます。しかし討論会の後は高齢と記憶力の不安を真剣に問題視し、今までバイデン氏を擁護していた人達からも、撤退を求める声が相次ぐことになりました。

秋にドナルド・トランプ前大統領を打ち負かすことができると民主党議員を説得できなかったこと

２つ目の理由は、議員内で自分が一番大統領になる確率が高いと証明できなかったことです。バイデン大統領は、討論会の前に２回の外国訪問を決めたのは賢くなかった、ステージでは疲れが出てほとんど寝てしまった、などと苦し紛れの釈明をしました。

本人の言うとおり、G7やフランスを訪問した後にカリフォルニアにも行って、その後でのテレビ討論会だったので、肉体的に疲れてきていたのかもしれません。しかしアメリカ大統領が多忙なのは当たり前、「忙しくて疲れていたので良いパフォーマンスができなかった」と言うのは言い訳になりません。強い指導者であることがアピールできない今、バイデン氏には大統領選挙戦から撤退するという選択肢しかなかったと思われます。

カマラ・ハリス氏の反応

バイデン大統領は後継候補としてカマラ・ハリス副大統領を支持する考えを示しました。ハリス氏は、バイデン氏の推薦を受けたことを「光栄に思う」と述べ、指名を獲得し、勝利すると誓いました。

今後の展開について

もしハリス氏が大統領選で勝利すれば、米国初の黒人アジア系、女性大統領となるので話題性は抜群です。バイデン氏以外にもビル・クリントン、ヒラリー・クリントン夫妻や、進歩派の有力者を含む複数の著名な民主党議員などもカマラ・ハリス副大統領を支持すると表明しました。現時点でハリス氏は、民主党大統領候補指名を獲得するのに十分な数の代議員の支持を獲得したらしいので、あとは8月19日からシカゴで開催される民主党全国大会で、民主党大統領候補として正式指名されるのを待つのみです。

ジャマイカ系の父とインド系の母を持つハリス氏は多様性の象徴であるとも言われ、まだ59歳という若さです。過去にはサンフランシスコ地方検事やカリフォルニア州司法長官に選ばれた経験があり、弁が立ちます。しかし副大統領就任後の実績は少なく、大統領候補としてはやや物足りないところがあります。パワハラ疑惑や幹部スタッフが相次ぎ辞職するなどスキャンダルも報じられ、副大統領室の指揮はあまり奮いませんでした。しかしそういった未知な部分があるということは、今後まだ開ける可能性があるとも言えます。11月の大統領選挙投票日まで、未来の大統領としての資質を遺憾無く国民にアピールしてほしいと思います。