【簡単おさらい】3分で読める、アメリカの「選挙人団制度」の仕組みとは?(2022年8月情報)

普通は選挙で最も得票数が多い候補者が当選するはずですが、アメリカ大統領選挙においてはそうとも限りません。今回はなぜ最高得票者が必ずしもアメリカ大統領に選ばれないのかについて解説します。


得票数が最も多い候補者が必ず当選するわけでないアメリカ大統領選挙

実際これまでに最高得票を得られなかった候補者が大統領になったことが数回あります。このようなことが起こる理由は、アメリカの大統領選挙で多くの州が選挙人団制度を採用しているからです。

例えば2016年ヒラリー・クリントン対ドナルド・トランプの大統領選挙で、一般投票ではヒラリー候補が286万票差でトランプ候補を制しましたが、最後に選挙人票を306集めた、ドナルド・トランプ氏が第45代大統領に選ばれました。このように選挙人団制度の元では、国民からの一般投票の得票数は、最終的には意味を持たなくなります。

選挙人団制度の仕組み

選挙人とは

選挙人は各州から議会へ送られる代表で、その数は連邦下院議員435人と上院議員100人、そしてコロンビア特別地区の3人を合計した538人で構成されています。州に配分される選挙人票は、州の人口に基づき10年ごとに改定されます。

例えば、人口が最も多いカルフォルニア州は選挙人の数も最も多く配分され、53人の下院と2人の上院議員で、合計55人の選挙人票を持っています。アラスカやワイオミングなど最も人口の少ない8つの州には、それぞれの州に3人ずつしか選挙人が配分されていません。

選挙人の投票方法

選挙人の投票方法は、ネブラスカ州とメーン州の2州は、一般投票での得票数に比例する形で選挙人票を与えるという方法をとっていますが、残り48州は全て勝者独占方式が用いられています。

勝者独占方式が用いられている州では、11月の第一月曜日の翌日の火曜日に実施される、一般投票の結果を州ごとに集計し、その後12月15日に行われる選挙人投票で、州ごとに集計された票数が1票でも多かった候補者が、その州の選挙人票を総取りするかたちになります。

アメリカの大統領選挙を勝ち抜ける戦略

つまり大統領選挙で当選するためには、選挙人団538票のうち過半数の270票を超えるような州の組み合わせを勝ち取らなくてはならない、ということになります。

アメリカにはレッドステーツ(共和党より)やブルーステーツ(民主党より)と呼ばれる、伝統的にどちらかの政党寄りの州が多くあり、選挙の際に安定した支持率が約束されています。それ以外にも、選挙ごとその時の情勢によって変化する、スイング・ステーツと呼ばれる州がいくつかあり、このスイング・ステーツでの勝利が、選挙の結果を大きく左右します。そのため候補者は、戦わずして選挙結果が見えている州よりも、勝利の鍵を握るスイング・ステーツでの選挙活動に力を入れます。

まとめ

選挙人団制度は勝者総取りというルールを採用しているので、国民から最も支持された候補者が、当選するとは限らないという難点があります。しかしこの勝者総取りというルールのおかげで、候補者はどんな小さな州にもおもむいて、精力的な選挙運動を行います。また勝者総取り方式のもとで選挙に勝利するには、その時々で変化する国民の要望や国の情勢をよく理解する必要があるため、より国民に寄り添った候補者が当選しやすいという利点もあります。

アメリカ大統領選挙や「選挙人団制度」についてもっと詳しく知りたい方は、以下の記事もあわせて参考にしてください。

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参考資料サイト

選挙人団
米大統領選の飼育身を五分で解説

本記事は、2022年8月15日時点調査または公開された情報です。
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