【パトカーだけじゃない!】警察の色々な「緊急車両」特集

事件現場に駆け付けるパトカーや警察官に憧れる子供も多くいます。警察の緊急車両はパトカーだけではありません。機動隊や広域緊急援助隊などのレスキューに使う車もあります。ここでは、警察官の役割ごとに警察の緊急車両について説明・解説します。


警察の主な緊急車両・パトカーの仲間

警らパトロールカー

「警ら」とは、警戒しながら見守る、という意味です。一般的な警察の緊急車両で、街の中のパトロールを主に行っています。上が白、下が黒で赤色灯を付けたデザインはおなじみです。上部にある赤色灯は伸縮性になっており、遠くからでも目立つように、高い位置まで上げる事もできます。また、赤色灯の形は「く」の字型になっており、エアロブーメラン型と呼ばれています。

運転する警察官と、無線を担当する警察官の2人1組でパトロールを行う事が多くなっています。なお、容疑者などを同上させて運ぶこともありますので、後部座席のドアは内側からは開かない仕様になっています。また、助手席からも後ろが確認できるように、サイドミラーの上部には後部座席が移るミラーが付いています。

以前までは一般的なセダン型である、トヨタ・クラウンを使ったパトロールカーが多かったのですが、今はハイブリッド車両を取り入れている自治体も多く、セダン型だけではなくなりました。

ミニパトロールカー

通称ミニパトです。小型のパトロールカーで小回りが利きますので、狭い路地でも走行できます。駐車違反の取り締まりや、一方通行や一時不停止が起きやすい道で交通違反の取り締まりなどにも使われています。

使われている車両は、ダイハツ・ブーンやハイゼットなどの小型自動車や軽自動車が採用されています。

高速パトロールカー

高速道路での事故の処理を行ったり、スピード違反をしている車の取り締まりを行ったりし、主に高速道路で活動を行うパトカーです。

高速道路も早く走れるように、日産・フェアレディZやスカイライン、マツダ・RX-8、ホンダ・NSXなどのスポーツカータイプが多くなっています。

覆面パトロールカー

外見上は一般の車で、警察車両とは分からないようになっています。車体の屋根に取り付け可能な赤色灯を持っていて、事件現場に駆け付ける時には赤色灯とサイレンを鳴らして現場に駆け付けます。屋根だけでなく、助手席のサンバイザーの裏側や、車の全面のフロントグリルの中に赤色灯を付けたタイプもあります。

覆面パトロールカーは色々な用途で使われる事が多く、刑事ドラマでもおなじみの車で、実際に捜査一課の警察官が乗る「捜査車両」もあれば、高速道路でのスピード違反の取り締まりを行う為の追跡を行うなど、交通違反を取り締まる「交通取り締まり用四輪車」もあります。要人を警護する為の「警護車」もあります。

使用されている車体は、日産・スカイライン、ホンダ・シビック、マツダ・アクセラ、スズキ・キザシなどのセダン型から、神奈川県警では4WDである日産・エクストレイルも取り入れています。

白バイ

交通違反の取り締まりを行ったり、マラソンや駅伝などでランナーの先導をしたりするのが白バイです。赤色灯はバイクの左右と後方についています。800ccから1000ccの大型バイクが採用されています。


また、白バイに乗る隊員の制服は、男性隊員は青い制服、女性隊員は赤い制服を着用しています。現在では、女性の白バイ隊員も多くなりました。

ちなみに、白バイはひとり乗り、かつ両手で運転をしなければいけませんので無線機は白バイには付いていません。その為、白バイ隊員のヘルメットに無線機とマイクが付いています。

主に現場のサポートなどを行う警察の緊急車両

交通事故捜査車

交通事故の現場で、事故が起きた原因を調べたり、事故によって混乱している現場の交通整理を行ったりする車です。事故処理車とも呼ばれています。

裏側には電光掲示板が付いており、「事故処理中」などの文字を流すことができますので、遠くからでも、事故現場である事が分かるようになっています。

ステレオカメラ車

交通事故の捜査などに使用される車両です。屋根から出てきて撮影ができる専用のステレオカメラを積んでおり、事故の現場の写真を撮って事故の原因を調べる事ができます。

サインカー

車体の後ろに大きな電光掲示板を持っている車です。高速道路などで事故がある時に、周りの車に前方で事故が発生している事や、検問を行っている事を知らせるために走ります。車体の色は自治体によって色々となっています。

移動交番車

事件や事故が多く起きる場所や人の集まる場所に行って調査を行う、犯罪の抑止力になるだけでなく、子供たちの為の交通安全教室の開催など、イベントへの参加も多いのが移動交番車です。その名の通り、移動式の交番の役割を果たしています。屋根には、案内表示板がついています。

車体はマイクロバス型などを採用している場合が多く、車内は机やいす、テレビのモニターなどを備えています。車外に机やいすなどを用意して、訪れる人の相談に応じることもできます。

パレードや要人警備のための車両

サイドカーが付いた黒い車体の白バイや、埼玉県警察の屋根のないオープンカータイプの車両など、式典やパレード、要人警備の時のみ使用する車両もあります。

警備をする為の機動隊の車両

特型警備車・常駐警備車

機動隊の車両は、青色の車体に白い線が2本入っているのが特徴です。

特型警備車は分厚い装甲でできた警備のための機動隊の車両です。ボディだけでなくガラスも頑丈な素材でできているので、投石や打撃による攻撃をされても大丈夫です。

常駐警備車も分厚い装甲でできた車両ですが、こちらは道路の警備に使われる車両です。人や建物を守るために、道路に沿って並べられたり、ビルを囲むように配置されたりするので、隙間が空かないように四角く、平らな形の車両となっているのが特徴です。

人員輸送車

機動隊は、集団で行動して武力の鎮圧や抑止力となります。大勢の機動隊員を現場まで運ぶ車が人員輸送車です。バスのような形をしている大型の人員輸送車もあれば、マイクロバスを使った小型の人員輸送車もあります。

人員輸送車の窓には、金網が張って合って外側から投石などを受けてもよけられるようになっています。

遊撃警備車

デモ行進や集会など、暴動やテロが起こりそうな現場に駆け付け、警戒をする車両です。また、災害や事故現場には一番早く駆け付け、情報収集などを行います。


放水ができる機動隊の車両

高圧放水車・遊撃放水車

機動隊は、テロや暴動の鎮圧のために放水を行う事があります。この放水ができる車両が高圧放水車と遊撃放水車です。

高圧放水車は、消防車と似た構造となっていて、車両の後ろに放水の為の装置を付けている車両です。放水銃は、車両の上部についているので、高い位置からの放水が可能となっています。

遊撃放水車は、丈夫な鉄板でおおわれている放水車です。フロントガラス以外の窓がない構想で、車体の後ろに水を積んでいて、屋根の上から水を飛ばす構造となっています。また、屋根の上には放水装置とライトがついていて、放水をする隊員の身を守れるように防壁の付いた構造となっています。

また、両方の車両共に車体の下にも放水口があり、車体を火から守る事もできます。

援護をする機動隊の車両

現場指揮官車(指揮官車)

車両の上部に人が乗れるスペースと、大きな音が出るスピーカーを積んでいる車両です。事故や災害の現場を広く見渡す事ができ、前方と後方に搭載したスピーカーから指示を出す事ができます。

トイレカー・キッチンカー

大規模な災害時や暴動時、立てこもり犯などの事件では活動が長期化する事があります。現場で食事やトイレなどの支援を行うのがトイレカーとキッチンカーです。

トイレカーは、中型のトラックにトイレを積んでいる車両です。キッチンカーは、キッチンを車内に積んでいるマイクロバスで、暖かい食事を隊員へ提供できます。

給水車

大きな水の入ったタンクを積んでいる車両です。水道が使えなくなった災害現場などで、被災者に水を配る為に出動します。

投光車

夜に活動を行う時に出動する車両です。照明電源を積んでおり、周りを明るく照らす役割を果たします。

救助をする機動隊・広域緊急援助隊の車両

機動救助車

災害現場では人命救助も行う必要があります。警察の組織の中で、主に人命救助を行っているのは、機動隊だけでなく広域緊急援助隊もあります。ちなみに、機動隊の車体は青に白いラインが2本入った車両デザインとなっていますが、警視庁の救助のための車両は、緑色に白いラインの入ったデザインとなっています。

災害現場で、消防のレスキュー車の他に、機動隊の青い車体、警視庁の援助隊の車体の機動救助車が活躍している様子を見た事がある方も多いのではないでしょうか。

警察の機動救助車もレスキュー車とも呼ばれています。消防のレスキュー車と同じく、救助のための色々な道具が揃っています。また後ろ側にはクレーンやウィンチ、上部にははしごなどの道具を積んでいます。

水難救助車

海や川など、水辺でおぼれてしまった人などを助けたり、事故の時に出動したりする車両です。水上や水中で使うゴムボートなどの装備の他、救助した人を温める事ができるシャワーも車両の荷台部分についています。

山岳救助車

走りにくい山道でも走りやすい仕様となっている救助車です。山で怪我をして動けなくなってしまった要救助者や、遭難者を助ける為に出動します。

高性能救助車

ドイツのベンツ社のウニモグという4WD車を採用した、普通の車では走れない道も走る事ができる車両です。主に災害現場など活躍します。

重機運搬車

救助の際には、地震や事故などで崩れたがれきの撤去のために色々な重機を使用します。その重機を運ぶのが重機運搬車です。ショベルカーやフォークリフトなどの重機を運ぶトラックです。

特殊な職務の為の警察の車両

爆発物処理用具・爆発物処理用具運搬車

不発弾が見つかった時や、爆破予告があった時など、爆発する危険性のある物質が見つかった時には、速やかに、かつ安全に処理しなければいけません。爆発物を取り除くための用具が爆発物処理用具です。クレーンのようなアームを持っており、このアームで爆発物を掴んで取り除きます。

爆発物処理用具を運ぶトラックが、爆発物処理用具運搬車です。

爆発物処理車

爆発物処理用具運搬車とセットで行動します。爆発物が見つかった場所が住宅街などの場合、できるだけ爆発物を付近の住民などの影響のない範囲まで運び出さなければいけません。爆発物処理用具によって運ばれた爆発物を爆発物処理に乗せて、安全な場所まで運びます。


レッカー車

事故や災害などで動けなくなってしまった自動車を後ろのついているクレーンで持ち上げて運ぶのがレッカー車です。かなり大きな車体まで運ぶ事ができます。

高所対策車

高層ビルの上など、高い所での活動を可能にする車両です。長いクレーンの先に、人が乗る為のバスケットが着けられています。

放射線防護車

原子力発電所の爆発事故など、大量の放射線が外に漏れだしている現場で、放射線から人を守るために作られた車両が放射線防護車です。車体や窓ガラスに、車内へ放射線が入るのを防ぐために、鉛が入っているのが特徴です。

化学防護車

化学工場でのガス爆発事故など、いわゆるNBC(核・生物・化学物質)災害に対応する為の化学防護服や道具を積んでいるのが化学防護車です。

除染車

放射能や化学薬品などで汚れてしまった衣服や体を除染する為の車両です。

警察のヘリコプター

名前がひとつひとつについている

警察では、ヘリコプターも捜査や救助に使用しています。

全国でも一番多くの警察のヘリコプターを所有しているのが警視庁です。例えば、中型のヘリコプターである警視庁の「おおとり7号」は、青色の機体で、救助に使用する隊員や要救助者を釣り上げ、つりさげる為の装置もついています。

ちなみに、警察のヘリコプターには全て名前がついており、例えば、関東地方の警察のヘリコプターは、神奈川県警察の「おおやま」、埼玉県警察の「みつみね」、栃木県警察の「なんたい」のように、全て山の名前から取られています。

(文:千谷 麻理子)

本記事は、2017年8月7日時点調査または公開された情報です。
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