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【東京消防庁】ハイパーレスキューだからこそ持つ特殊車両とは

日本全国の救助隊の中でも精鋭中の精鋭で構成されているのが、東京消防庁の「ハイパーレスキュー」です。大規模な災害や特殊な事故にも対応できる、救助車両や重機、ロボットまでハイパーレスキューが持つ特殊車両について紹介します。

2017年09月22日更新

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目次
東京消防庁 ハイパーレスキューとは?
ハイパーレスキューの持つ救助車両を見てみよう
ハイパーレスキューの持つ重機を見てみよう
ハイパーレスキューの持つ消防ロボットを見てみよう
【東京消防庁】ハイパーレスキューだからこそ持つ特殊車両とは

東京消防庁 ハイパーレスキューとは?

消防救助機動部隊 通称ハイパーレスキュー

ハイパーレスキューとは、東京消防庁に所属している特別高度救助隊の事です。正式名称は「消防救助機動部隊」といいますが、通称である「ハイパーレスキュー」の方が親しみやすく、良く使用されています。本記事でも、「消防救助機動部隊」ではなく通称の「ハイパーレスキュー」を使用します。

なお、ハイパーレスキューは東京消防庁の特別高度救助隊である消防救助機動部隊だけの通称です。日本の各自治体にある消防署に属している救助隊の中で、特に東京都と政令指定都市に配置されているのが特別高度救助隊ですが、全ての特別高度救助隊=ハイパーレスキューではありません。ハイパーレスキューは、東京消防庁の特別高度救助隊の通称であって、他の政令指定都市に属している特別高度救助隊にも、それぞれ正式名称と通称があります。


所属する自治体(政令指定都市):正式名称:通称
東京消防庁:消防救助機動部隊:ハイパーレスキュー
横浜市消防局:特別高度救助部隊:スーパーレンジャー(SR)
仙台市消防局:特別機動救助隊:スーパーレスキュー仙台

ただし、名古屋市の特別高度救助隊や北九州市・広島市・浜松市・岡山市消防局の特別高度救助隊の通称は、東京消防庁と同じく「ハイパーレスキュー」となっています。

結成は阪神淡路大震災がきっかけ

既に東京消防庁では特別救助隊が配備されており、色々な事故や災害での救助活動を行った実績がありました。ところが、1995年1月に発生した阪神淡路大震災では、特別救助隊と従来の資機材だけでは対応できないほどの被害に見舞われました。

阪神淡路大震災での教訓を踏まえて、翌年の1996年に、東京消防庁で特殊技能や能力を持つ隊員と、特別な重機や車両などの高度救助資機材を装備した高い救助能力を持ち、大規模な災害現場や事故現場でも高い機動力を発する部隊として「消防救助機動部隊」(ハイパーレスキュー)が発足されました。

ハイパーレスキューの後、各都市の「特別高度救助隊」が発足

ハイパーレスキューは、その後新潟県中越地震など、日本国内における大規模な災害や大事故の現場に出場し、多くの人命を救出するための活動を行ってきました。これらのハイパーレスキューの活躍によって、日本全国にハイパーレスキューと同等の能力を持つ救助の精鋭部隊が必要であると、総務省消防庁は判断しました。これを受けて、2006年4月には、全国の中核市の消防局には「高度救助隊」が、東京都及び政令指定都市の消防局には「特別高度救助隊」が配置される事が決定されました。

現在では、東京消防庁だけでなく、政令指定都市には同等の能力や技術を持つ救助のスペシャリストである「特別高度救助隊」が配備されていますが、その元となったハイパーレスキューは、日本全国の特別高度救助隊の中でも、精鋭中の精鋭と言っても良い存在です。

ハイパーレスキューだからこそ持つ、特殊な車両

ハイパーレスキューは、特殊な能力を持つ隊員だけでなく、高度資機材と呼ばれる特別高度救助隊だけが持つ特殊な資機材、そして車両も持っています。

一般的な救助工作車の他にも、ハイパ―レスキューならではの救助に使用する車両を持っています。また、事故や災害現場において、スムーズな救助活動の為に障害物を撤去する為の重機や、人が立ち入ることのできない危険な現場での活動も可能になる消防ロボットも所有しています。

特殊な車両や重機、ロボットの操作には免許や特殊な能力が必要になります。これらの特別な力を持っているエキスパートが集まっているのも、ハイパーレスキューの特徴でもあります。

ハイパーレスキューの持つ救助車両を見てみよう

救助車Ⅲ型

車両前面に5トンまで物を引っ張る事ができるフロントウィンチと、後部に重い物を釣り上げられるクレーンを備えた救助車両です。従来の救助車Ⅱ型よりもひとまわり大型の車両になっています。なお、通常救助に使う資機材を積んだ車両は「救助工作車」と呼ばれていますが、ハイパーレスキューでは「救助車」と呼んでいます。

両側面のシャッターの中には、救助に必要な資機材が多く積んであります。救助車に積んである資機材は、良く使用されるものが優先されて積んであり、普段使用しない特殊な資機材は、消防署内で保管されている事が多いです。

屋根の部分には伸縮式の照明がついていて、暗所や夜間の救助活動の時に使用します。また、屋根にははしごが付いていて、高所への移動の際に使用します。

ウォーターカッター車

水と砂を混ぜた特殊なウォーターカッターを作り出す資機材を積んだ車両です。固い金属の物質も切る事ができます。通常のカッターで金属を切断しようとすると、火花が飛んでしまう為、火花による火事が起きやすいガス爆発現場などで使用されます。

隊員はゴーグルや防護服を着用し、しっかりと顔面をガードしてからウォーターカッターを使用します。

大型ブロアー車

車体の後ろについた大きな扇風機で、火災になった建物などに強い風を送り、煙やガスを吹き飛ばす役割があります。また、扇風機からは水を霧のように細かく放水して排煙と消火を同時に行う事もできます。

ウォーターカッター車と大型ブロアー車は、ハイパーレスキュー以外の各自治体の特別高度救助隊にも導入されています。中には、ウォーターカッター車と大型ブロアー車の機能を一台で持つ、特別高度救助車が配備されている所もあります。

特殊災害対策車(除染車・スーパーハズマット)

毒物や放射性物質などによる災害現場に出場し、災害などによって化学物質に汚染された人を助ける為の専用車両です。

車内では外部の空気を社内に取り込んで測定器で分析する分析室の他、化学物質や放射性物質で汚染されてしまった人を除染する為のシャワー室も備え付けられています。シャワー室は立ったままシャワーが浴びられる部屋もあれば、怪我をしているなどで立つことができない人が、担架の上で寝たままシャワーが浴びられる部屋もあります。

車体は鉛板と水そうで覆われていて、放射線を取り込まない構造となっています。

特殊災害対策車(偵察車)

毒物や放射性物質などによる災害が疑われる現場を調査する為の車両です。

車両の外部についた監視カメラや、超音波風向風速計などで、現場のデータを分析します。また、荒れた道でも進めるように、六輪駆動車になっています。

屈折放水塔車

高所での火災や、救助隊員が近づけない危険物質の蔓延する化学工場の火災などの時に活躍する車両です。車両の屋根についている2つに折れ曲がっているブームは最大22メートルまで伸び、先端についている放水砲で水や泡を勢いよく噴射して消火します。

車両の荷台部分についている操作台から、ブームの操作をしたり、備え付けられているモニターには放水銃の位置が映像として見られるようになっていますので、そこから放水したりします。

放水する時には、操作台で放水塔の位置を固定した後で、ポンプ車や消火栓などからホースをつないで水の供給を受けて、放水します。

福島第一原発の事故における、ハイパーレスキューによる原子炉建屋への冷却放水の際にも使用された車両です。福島第一原発の事故の際には、海水を供給するために海へホースを伸ばそうとした所、ホースを積んでいる車両ががれきなどで侵入できなかった為、隊員たちは放射線量の高い中、重いホースを人の力で持って海と屈折放水塔車を繋ぎ、放水しました。

遠距離大容量送水車(スーパーポンパー)

送水車とホース延長車の2台一組で活躍する車両です。消火に使う水が近くにない時や、消火栓が使えない時に出場します。

送水車(1号車)で、海や川の水を強力なポンプでくみ上げて、ホース延長車(2号車)に送り出します。送水車からくみ上げた水を実際の火災現場まで送り出すのがホース延長車の役割です。ホース延長車は太いホースを72本積んでいて、これを全て繋げば、2km以上の長さになる為、遠くの火災現場への水の放水が可能になります。

福島第一原発の事故では、上記の通りがれきにはばまれ遠距離大容量送水車が海の近くまで行けなかったので、ホース延長車のホースを人の力で屈折放水塔車まで運びました。

スーパーアンビュランス

消防車ではなく救急車の仲間になりますが、スーパーレスキューの持つ特殊車両のひとつです。

大きな災害や事故などで、多くの負傷者が出る現場などに出場する大型の特殊な救急車です。車体の左右を横に開いて車内に大きな場所を作り、臨時の救護所の役割を果たします。

荷台の後ろはスロープ付きの広い階段となっていて、担架で負傷者をスムーズに車内に入れられる様になっています。車内には、走行時は2つのベッドが、停車して車両の両脇を広げると最多で8つのベッドを広げる事ができます。また、病院のような設備も揃っています。

ハイパーレスキューの持つ重機を見てみよう

重機搬送車

重機搬送車は、荷台が広く、重い重機を運ぶために使用する車両です。主に、タイヤがなくキャタピラー型で、一般道路を走行できない救助用の重機を現場に運ぶ際に使用されます。

重機を荷台から出す時には、車両の下部分にあるジャッキが伸びて車両を固定してから、荷台の重機を操作して地面に降ろします。

ドラグショベル

重い物を持ち上げたり、下についているブレードで大きな石などをどかしたりできる、ショベル型の重機です。操作するには、大型特殊の免許が必要になり、ハイパーレスキューの隊員は、大型特殊免許を取得している重機操作のスペシャリストも多く属しています。

トラクターショベル

マルチバケットを備えた、消防のブルドーザー型のショベルカーです。バゲットで多くのがれきなどをすくい上げたり、下のブレードで重い物を押し出したりできます。

双腕重機(アスタコ)

双腕重機は、ふたつの異なるアームを持っている重機です。先端に大型のはさみがついているアームを持ち、家が崩れた時などに、重い物を切ったり、挟んだり、折り曲げたりして中の人を救助する時などに使用されます。

左右のアームはバラバラに動かす事ができます。操作する時にはやはり大型特殊免許が必要です。また、スペイン語でザリガニという意味の「アスタコ」という愛称でも呼ばれています。

トラッククレーン

消防用のトラッククレーンは、ブームが31メートル延び、重さ最大20トンの物まで釣り上げる事ができます。乗用車なども釣り上げる事ができますので、障害物の除去や救助の際に活躍します。

荷台にある運転台で大きなクレーンを操作して、障害物を持ち上げたり、移動させたりします。

ハイパーレスキューの持つ消防ロボットを見てみよう

レインボーファイブ

人が立ち入る事ができない危険な場所の火災も消す事ができる消化ロボットです。隊員がリモコンによって操作します。毎分5000リットルの水を放水できる事から「レインボーファイブ」の名がつけられています。

前方に取り付けられた放水砲からは、水だけでなく泡をまく事もできます。また、前についているアームで、障害物をどかす事もできます。

デュアルファイター

放水ロボットのドラゴンと、ショベルの付いたロボットのセーバーの2台一組で活躍する消防ロボットです。

セーバーは、隊員の手元のリモコンによって操作し、アームで土や砂などをどかします。アームの先には放水砲も付いています。

ドラゴンには車体前方にカメラが付いていて、放水をしながら周りの様子を映像で送ることもできます。

ロボキュー

救助ロボットです。指先のような細かい動きができる2本のアームがついており、人が立ち入れない危険な場所にいる要救助者の服をつかんで救助できます。倒れている要救助者を助けた後、そのまま格納して安全な場所まで運ぶ事もできます。

他にも、煙が充満している中でも撮影できるカメラや、ガスを調べるためのセンサーなど、色々な機能がついています。

災害大国だからこそ、今後もハイパーレスキューの活躍が期待されます。

(文:千谷 麻理子)

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