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【日本の課題】現役世代はいつまで?日本の高齢者を巡る問題と今後について

私たちの国、「日本」では世界の中でも屈指の長寿国として知られています。年々増加する平均寿命と少子化を受け、様々な課題も顕著になりました。本日は日本の高齢者を巡る課題とその対策、今後について考察します。

2018年02月24日更新

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目次
高齢者とは何歳から? 現在の高齢者と高齢化社会の定義について
超高齢社会となった日本の現状について
高齢者を巡る課題と今後の対策について
まとめ
【日本の課題】現役世代はいつまで?日本の高齢者を巡る問題と今後について

高齢者とは何歳から? 現在の高齢者と高齢化社会の定義について

高齢者は使用する分野によって定義が変わる

高齢者、といえばどのくらいの年齢を指すのでしょうか。これは、「高齢者」という言葉が使用される分野で定義が異なってきます。

医療の分野では、高齢者は65歳からと定義され、更に医療に関する法令上などでは65歳から74歳までを前期高齢者、75歳以上を後期高齢者に分けて定義しています。

雇用の分野では、「高年齢者等の雇用の安定等に関する法律」などの法令上55歳以上は「高年齢者」、45歳以上55歳未満は「中高年齢者」という名称で定義しています。また、明確な年齢の定義ではなく「定年退職をした人」を高齢者と定義することもあり、かつてはおおよそ60歳以上を高齢者とみなす事も少なくありませんでした。

人口統計の分野では、医療の分野と同じく65歳以上74歳未満を前期高齢者、75歳以上を後期高齢者と定義しています。なお、高齢者に対して5歳以下の乳幼児、6~14歳の児童、15~34歳の青年、35~64歳の壮年の64歳以下をまとめて現役世代と定義しています。

世界における高齢者は、国連では60歳以上、世界保健機構(WHO)では65歳以上と定義されています。

高齢化社会の定義について

高齢化社会とは、国・地域の人口の内高齢者の割合が全体の7%以上を超えた場合と定義されています。また、14%以上を超えると高齢社会、21%以上を超えると超高齢社会と定義され、日本では2007年に人口の21.5%が高齢者となり、超高齢社会に突入しました。

超高齢社会となった日本の現状について

団塊世代が高齢者になった

戦後日本において起きた第一次ベビーブーム。第二次世界大戦直後の1947年から1949年の3年間では各年ともに年間出生数が260万人を超え、3年間の合計出生数は約806万人にのぼり、この3年間に生まれた世代は「団塊世代」と呼ばれています。そして、2012年に団塊世代が65歳に到達し、高齢者層の人口増加に拍車を駆けました。

医療技術の向上によって、長寿も当たり前に

「お年寄りは大切に」という言葉や、高齢者への敬意を表す「長老」や「古老」の呼称がありますが、これはまだ医療技術も発達していなく、人間の寿命も今よりもずっと短かった時代は長寿であるだけで希少な存在だったためです。

また、人間は年齢を重ねていくごとに、知識や経験もその分だけ積んでいきます。高齢者は、若年層と比較すると知識や経験に長けており、それらを活かして次の世代への指導や教示も数多く行ってきたことから、尊敬される存在でもありました。

ところが現在は医療技術が向上し、65歳以上の高齢者となるのも当たり前。2017年の時点で、日本の平均寿命は女性87.14歳、男性80.98歳と過去最高年齢を更新し続けています。これに伴い、高齢者は敬う存在である、という考えは影を少しずつひそめ、残念ながら正反対の「高齢者虐待」や「高齢者差別」なども発生するようになってしまいました。

高齢者虐待や差別の背景には、超高齢社会となった今の日本が抱える、高齢者を巡る様々な課題があります。

高齢者を巡る課題と今後の対策について

活躍意欲が満たせない高齢者

今まで勤めていた会社を定年退職した後、育てていた子供たちが全員成人したり所帯を持ったりして、子育てもひと段落した後。65歳以上となった高齢者でもまだまだ体も健康、認知症などもまったく患っていない方も珍しくありません。ところが、仕事や育児など、今まで自分が懸命に活躍していた場所がなくなることによって、「まだまだ元気だから何かしたい」という活躍意欲が満たせない人が増加するようになりました。

働きたい、と思っても65歳以上の高齢者では雇用も難しく、今更新しい何かを始めるきっかけをつかむ方法も分からない…そんな活躍意欲を満たせない高齢者の方は、認知症などの加齢による疾患や、体の衰えにも繋がってしまいます。

活躍意欲を満たせるための取り組みとは?

社会とのつながりを持ち、自分自身の生きがいを持つ事、健康を保つことは高齢者にとっても自分らしく生きていく上で大切ですし、介護や医療行為の必要がない自立した高齢者が増えれば、医療費や介護保険料の削減にも繋がります。

▼シルバー人材派遣センター
高齢者の活躍を推進する為に、各地域に設けられている施設や団体がシルバー人材派遣センターです。シルバー人材派遣センターは、定年退職済など、すでに仕事の一線を退いている60歳以上の方が会員になれる施設や団体で、短期間で軽微な作業や仕事の紹介や、人材派遣を行っています。

アルバイトを雇ったり、人材派遣会社を通じて雇用したりするよりも、安い費用で人材を確保できるので、一般家庭から事業者まで利用する人の幅が広くなっています。庭の草むしりや剪定や力仕事が必要な作業はもちろん、今までやってきた仕事の経験や知識を活かした事務作業、子育て経験のある主婦の方なら数時間のベビーシッターや子供の送迎、家事代行などの仕事もあります。

▼高齢者の労働力としての活用
安倍内閣が提唱する「働き方改革」の中では、将来の労働力不足を補う存在として、高齢者もそのひとつに挙げられています。仕事を求めている高齢者の積極的な雇用の為に、ハローワークなどでその人の持つスキルや経歴を正当に評価し再就職支援を行う「エイジレスサポート」や、高齢者となった後に地元もしくは愛着のある土地での仕事を求める人の為に「ふるさとリターンマッチングネットワーク」、ライフスタイルに合わせた雇用支援や起業支援など、仮段階ではありますが、新しい雇用制度の枠が作られつつあります。

高齢者の労働力としての活用をすれば、高齢者自身の活躍意欲を満たせるだけでなく、労働力の確保による生産性の向上、そして正当な評価で再就職を行えば、高齢者間での格差是正に繋がり、将来への不安の解消にも役立つと期待されています。

▼生涯学習センターやレクリエーションセンター
仕事だけでなく、趣味を充実させたい、ボランティア活動をしたい、勉強がしたい…など、高齢者の方によって活躍したい場は様々です。シルバー人材派遣センターだけでなく、高齢者の方同士の自主的な活動ができるレクリエーションセンターや、各種講座を安い費用で受けられる学習の場を提供している生涯学習センターなども、各地域に設置されています。

また、生涯学習センターやレクリエーションセンターは高齢者だけの施設ではなく、幅広い年齢層の方が利用しますので、現役世代と高齢者の相互交流の場としても期待されています。

参考:
厚生労働省 第7回働き方改革実現会議 高齢者の就業促進について
https://www.kantei.go.jp/jp/singi/hatarakikata/dai7/siryou8.pdf

孤独死や空き家問題など、独居の高齢者の増加による課題

戦後の高度成長期やバブル景気、リーマンショック後の不景気など激動の日本社会を経験した団塊世代を含む今の高齢者たちは、ライフスタイルの幅も広がった世代でもあります。女性の社会進出も当たり前になり、生涯未婚を貫き高齢者になっても一人暮らしを続けている世帯も少なくありません。

また、核家族化によって生まれ故郷から離れた場所で所帯を持った人、結婚はしたけれども子供は持たなかった人など、色々な理由で独居の高齢者が増えています。独居の高齢者の中でも特に地域とのかかわりをあまり持っていない高齢者の場合、犯罪者にも狙われやすく強盗や振り込め詐欺などの犯罪被害に合ってしまったり、健康状態が悪くなっても誰も頼れず、孤独死になってしまったりします。また、独居だった高齢者が亡くなった後、その家の引き取り手がいなく空き家が廃墟として残り、倒壊や放火の危険性もある空き家問題の原因にもなります。

独居の高齢者に関する課題解決の取り組みとは?

▼地域社会での結束を強化する
独居の高齢者への声掛けを行い、何らかの悩みや生活上で困った事があれば気軽に相談できる民生委員や、地域ぐるみでの敬老会などのイベント招待、自治体内に住む人の状況をいつでも自治体で把握しておくなど、地域の連携強化の為の取り組みをしている所も多くなりました。

昔ながらの近所付き合いが煩わしい、という高齢者や若年層も多く、地域力を強化しても独居の高齢者に関わる全ての課題解決に繋がるわけではありませんが、不審者のコミュニティへの侵入を防止できるなど、犯罪への抑止力も期待できる取り組みです。

身体や認知機能の衰えによる課題

寿命は延びても、加齢による身体や認知機能の衰えは食い止めることはできません。前述の活躍要求を満たす、つまり高齢者の生きがいを作る事によって、身体や認知機能の衰えをある程度予防する事はできますが、その後はどうするかも課題になっています。

身体の機能が衰えると、徒歩での長距離移動や階段の利用が難しくなります。また、認知機能が衰えると、普段の生活の中で色々な支障が出てきます。身体や認知機能の低下によって、高齢者が要介護状態になると、在宅介護の場合家族への負担は大きくかかります。近年では、在宅介護の肉体的な辛さや精神的ストレスから、介護対象の世話を放棄する高齢者ネグレクトや、暴力や暴言に発展する高齢者虐待などの問題も起きています。

そして、認知機能が落ちても体はまだ健康、という高齢者の方も多いので本人は普段通りに生活しようとします。その結果、アクセルとブレーキの踏み間違いや高速道路への侵入などの運転ミスが起きやすく、高齢者による危険運転や死亡事故も多発し、問題となっています。ところが、買い物や通院には車が必要な地域に住んでいる高齢者も多く、認知機能が衰えながらも運転を続ける高齢者も少なくありません。

身体や認知機能の衰えた高齢者が生活しやすいための取り組み

▼高齢者虐待防止法の施行
介護の現場を含めて、高齢者の虐待を防止する目的で施行された法律が「高齢者虐待防止法」です。高齢者虐待の防止、高齢者の養護者に対する支援等に関する法律が正式名称で、2005年に作られ2006年から施行されています。

この法令内では身体的虐待、介護等放棄、心理的虐待、性的虐待、経済的虐待の5つのカテゴリーに分けた虐待とその定義を明確にし、65歳以上の高齢者が虐待を受けていると疑われる場合には該当する地域の市町村窓口に通報しなければいけない、としています。

高齢者虐待防止法によって、虐待の定義を明確にする、虐待を発見した時には通報する窓口を設けて通報を義務付けることにより、高齢者への虐待を防止する取り組みです。

▼機能が衰えても生活しやすい社会を作る
通院の為に利用する病院の送迎バスや介護タクシーの活用、自治体の公共施設や交通機関をバリアフリーにするなど、加齢によって身体と人気機能に衰えが出ても、高齢者がそのまま生活しやすい社会の実現のために、様々な取り組みがされています。

▼免許更新時に認知機能検査
運転免許の有効期限満了前には、免許の更新手続きを受けなければいけませんが、75歳以上の高齢者が運転免許の更新手続きを受ける場合、高齢者講習及び認知機能検査の受講が必要です。

認知機能検査は高齢者講習の前に30分間で行われ、当日の年月日と曜日、時間を回答する「時間の見当識」、あるイラストを記憶後検査に関係ない課題を行い、記憶したイラストをヒントなし、ヒントありで答える「手がかり再生」、時計の文字盤と指定された時刻の針を描く「時計描写」の3つのカテゴリーで検査を行い、採点によって「記憶力・判断力が低くなっている(認知症のおそれがある)」の結果が出た場合には、警察より臨時適性検査を受信するか、医師の診断を受けるかの指示をその場で、もしくは後日連絡で入ります。臨時適性検査もしくは医師の診断によって、認知症と判断された場合には、免許の取り消しまたは停止になります。

道路交通法の一部改正に伴い、2017年3月12日からは75歳以上のドライバーが信号無視などの特定の交通違反をした場合にも、臨時に認知機能検査を行うようになりました。

参考:
警察庁 認知機能検査について
http://www.npa.go.jp/policies/application/license_renewal/ninchi.html

▼免許自主返納を進める
警察省では、高齢者の方の自主的な免許返納を推奨しています。自主的な免許返納を促すために、5年間の間今までの運転経歴が記載されていて、運転免許証と同等の身分証明書としても活用できる「運転経歴証明書」の発行や、高齢者運転免許自主返納サポート協議会に加盟することによって、施設料金の利用料が割引になるなどの特典が受けられます。

参考:
警察庁 運転免許の自主返納をサポート
http://www.keishicho.metro.tokyo.jp/kotsu/jikoboshi/koreisha/shomeisho/henno.html

年金や保険制度を含めた社会全体の整備の改革も求められている

今の年金制度は、現役世代への負担が大きい制度でこのままでは制度自体が崩壊すると言われています。また、年金制度だけでなく、高齢者医療を含めた社会保障や福祉の制度自体が今の超高齢社会に対応できていないので、日本全体の社会の制度を超高齢社会向けの物に改革していかなければいけません。

そして、今の現役世代も更に寿命が延びる事を考え、今から自分が高齢者になった時の事、つまり老後のことを考えておかなければいけません。老後に対する貯蓄や人生計画などを少しずつ考え、いずれ誰でもなる高齢者の時を自分らしく過ごせるように、準備が必要です。

まとめ

超高齢社会による高齢者の増加は、課題やすでに起きてしまっている問題もたくさんあります。その為、現役世代の中にも残念ながら高齢者に対する差別の気持ちを持つ人も少なからずいます。「年寄笑うな行く道だ」の言葉通り、高齢者に対する敬いの気持ちも忘れずに皆が安心して暮らせる社会の実現を期待します。

(文:千谷 麻理子)

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