はじめに
2018年現在、アメリカは建国して242年というまだまだ歴史が浅い国のひとつです。中国や日本のような古い歴史はありませんが、建国してから今日までの間に数々の偉人を生み出してきたことは確かです。
今回は、アメリカの歴史を知るうえで知っておきたい偉人をご紹介します。なかでもアメリカの紙幣に採用されている人物のことや、彼らが残した名言を基にして、アメリカの文化を知る手がかりにしてみてください。
アメリカ人がどのような人を尊敬し、尊敬される人たちがどのようなことをしてきたのか、これを知ればアメリカの根底に流れる意識が分かるかもしれません。
アメリカの初代大統領 ジョージ・ワシントン
アメリカの1ドル紙幣に使われているジョージ・ワシントン(George Washington)は、アメリカの初代大統領です。1732年、アメリカの東部にあるバージニア州で生まれました。両親はイギリスからアメリカ大陸に渡ってきて、黒人奴隷を使ってプランテーション経営をしていました。
父親の死後、兄と一緒にプランテーションを相続し、測量士として働き始めますが、20歳のときにバージニアの民兵隊長を務めていた兄が死に、その立場と地区を引き継ぎます。
この頃から政治の世界に携わるようになり、1775年から1783年にかけて「アメリカ独立戦争」を司令官として率いて勝利し、57歳になった1789年2月に初めての大統領選挙で初代大統領に選出されました。
彼が残した名言は、正直な人柄を象徴するようなものが多いのが特徴です。
・正直は、常に最高の政策だ。
・約束を守ることを、常に頭に意識していなさい。
・下手な言い訳をするよりは、言い訳しない方がましだ。
・中傷への最高の返事は、黙って義務を遂行すること。
アメリカの第3代大統領 トーマス・ジェファーソン
アメリカの2ドル紙幣に使われているトーマス・ジェファーソンは、アメリカの第3代大統領です。2ドル札はレアな紙幣ですが、紙幣に採用されるだけあって、アメリカの歴史上欠かせない人物です。
1743年バージニア州で生まれ、父親はプランテーション経営や測量士をし、母親はイギリスの富裕層の孫娘という裕福な家庭で育ちました。お家柄が良く、イギリスの植民地だったバージニア州の実権者たちと繋がりがありました。
14歳のときに父親が亡くなり、大規模な土地と奴隷数十人を引き継ぎました。24歳で法廷弁護士になり、1769年にはバージニアの議員に選出されます。1776年には、独立宣言のベースとなる原稿を書き上げ「独立宣言を書いた人物」として名を残すことになります。
勤勉で芸術にも長けており、黒人の弁護活動にも尽力した彼が残した言葉は、誠実さを象徴しているようなものが多いのが特徴です。
・どの世代も新たな革命を必要としている。
・本がないと生きられない。
・私は過去にあったことよりも、未来に何があるかに興味がある。
・私は一生懸命やればやるほど、幸運に恵まれることを発見した。
アメリカの第16代大統領 エイブラハム・リンカーン
アメリカの5ドル紙幣に採用されているエイブラハム・リンカーンは日本でもよく知られた人物でしょう。1809年にケンタッキー州で生まれ、両親は開拓農民という貧しい環境で育ちました。7歳のときにインディアナ州に引越し、基礎教育以外はすべて独学で学びます。
弁護士や測量士として働いた後に、25歳で州議会議員に当選します。37歳の1846年には、下院議員に選出されます。51歳の時に、共和党の大統領候補として選出され、第16代の大統領になりました。
アメリカが南北に別れて戦った南北戦争では最高司令官として指揮をとり、独立を試みた南部軍を阻止し、アメリカが二分することを防ぎました。1862年には奴隷開放宣言をし、翌年には「人民の、人民による、人民のための政治」で有名なゲティスバーグ演説を行います。
歴史上、最も偉大な大統領と評されることが多い彼が残した名言は、貧しい家庭から大統領へとのし上がった力強さと信念を感じさせるものが多いことが特徴です。
・あなたが転んでしまったことに興味があるのではなく、どうやって立ち上がるのかに興味がある。
・私は、歩みこそ遅いが、その道を引き返すことはない。
・何歳まで生きたかは重要ではなく、どのように生きたかが重要。
アメリカ合衆国建国の父のひとり アレクサンダー・ハミルトン
アメリカの10ドル札に採用されているアレクサンダー・ハミルトンは、アメリカ合衆国建国の父のひとりとして知られています。大統領に就任したことはなく「大統領になりそこなった男」としてご存知のかたも多いでしょう。
1755年に西インド諸島のネイビス島で生まれたアレクサンダー・ハミルトンは、カリブ海の商人一家の息子として育ちます。後にアメリカを建国するメンバーのなかでも唯一の「非」名門家庭出身者のひとりでした。
17歳のときに、セントクロイ島で商売を任され以降は、その商才を買われるほどでした。新聞に寄稿した詩も高く評価され、商才と文才がある優秀な人材として名前が広まっていきました。1773年、周囲からの援助を受けて大学に進学し、政治学を学びます。
1776年には独立戦争に大尉として参加し、翌年からはジョージ・ワシントン総司令官の副官に就任します。ジョージ・ワシントンの右腕として働く一方で、ひたすら読書を続けていた彼は後に連邦議会に、国立銀行、貨幣鋳造所設立、製造業、蒸留酒税、未占有地など多岐に渡る報告書を提出するほど幅広い知識人として活躍しました。
彼がもたらした幅広い知識は、アメリカ建国にあたり、あらゆる産業の礎となりました。独立を果たしたアメリカが進むべき未来を示した人物とされています。
読書家で多くの知識を身につけ、アメリカの進むべき方向を照らした彼が残した言葉は、努力こそが天才であることを伝えるものです。
・周囲は私を天才と言うが、私は何かテーマが心に浮かぶとそれを深く調べる。昼夜を問わずそれが私の目の前にあり、あらゆる角度からそれについて考える。そのテーマはいつも頭から離れない。その結果、それが天才が生んだ果実になる。しかし、実はそれは弛まぬ学びと努力の賜物なのだ。
アメリカの第7代大統領 アンドリュー・ジャクソン
アメリカの20ドル札に採用されているアンドリュー・ジャクソンは、第7代大統領を務めました。1767年にスコットランドから移住してきた両親の間に生まれます。出生地は定かではなく、恐らくサウスカロライナで出生したであろうとされています。アメリカ建国の基礎となった13植民地とは無縁だった人物として、初の大統領になった人物としても有名です。
彼は13歳のときに独立戦争の急使というかたちで軍に加わりますが、イギリス軍に捉えられ囚人として生活します。イギリス兵に歯向かったため刀で斬られたり、天然痘を患うなど酷い獄中生活を送りました。
独立戦争終了後は、鞍職人や学校教員などを務め、現在のテネシー州で「田舎の弁護士」として働きます。身近な土地問題や喧嘩などを扱っていたため、住民からの信頼は増えていき、1796年にテネシー州の下院議員に選出されました。その後、上院議員や軍政府長官を経て、1829年に大統領に就任します。
アメリカの歴史のなかで、唯一不信任決議をされた大統領としても有名な強権な彼が残した言葉は、意思の強さを象徴しています。
・多数の意見は、勇気がある一人が創る
・社会における区別は、どんな公正な政府の下であっても常に存在するだろう。
アメリカの第18代大統領 ユリシーズ・S・グラント
アメリカの50ドル紙幣に採用されている彼は、第18代の大統領を務めました。アメリカ史上最高の軍人であり史上最悪の大統領としても有名です。
1822年オハイオ州で製革業の息子として生まれ、17歳のときに陸軍士官学校へ進学します。南北戦争の際には、両軍を通じて最も優れた司令官だったと評価されるほどの働きをしました。
その才能は人材不足に悩むエイブラハム・リンカーンを救ったとされています。南北戦争での功績が認められ、1868年に満場一致で大統領に就任しますが、汚職事件やスキャンダルが続き支持率を下げてしまいました。
1879年、国賓として来日し日光東照宮を訪れた際には、天皇しか渡ることが許されていない橋を渡ることが特別に許されたにもかかわらずこれを固辞し、その姿勢が高く評価されます。
日本の武士道にも繋がる精神を持った彼が残した言葉は、最高の軍人らしい姿勢が表れています。
・君に合戦計画を与えるつもりはなく、私は達成してほしいことを計画しただけ。どのように達成するかは君の自由だ。
(南北戦争の際にシャーマン将軍にかけた言葉で、南軍を攻め落とすことだけを指令し、あとは自分で考えさせたものです。)
アメリカ合衆国建国の父のひとり ベンジャミン・フランクリン
アメリカの100ドル札に採用されているベンジャミン・フランクリンは、アメリカ合衆国建国の父のひとりとされており「フランクリン自伝」はあまりにも有名でしょう。
10歳のときに学校教育を終えるほどの秀才だった彼は、18歳のときにイギリスに渡り出版業界で働き、帰国後にはアメリカ初となるタブロイド誌を発行します。1731年にはフィラデルフィアにアメリカ初の公立図書館を設立、1743年にはアメリカ学術協会を設立しました。
その後、郵政長官などを務め、1776年にアメリカ独立宣言の起草委員になります。アメリカ独立後はフランスのパリを中心に、アメリカとヨーロッパの架け橋として活躍しました。
多彩な才能と合理主義は、今日まで続くアメリカの人物像の手本とも言われています。そんな彼が残した言葉は、聡明な知識人らしさを表しています。
・愚者の心は口にある。しかし、賢者の口は心にある。
・知識への投資は、どんな時でも最大の利益をもたらす。
・早寝早起きは、健康、富裕、賢明のもとである。
まとめ
アメリカの紙幣に採用されている彼らは、アメリカ史を知るうえで必ず知っておきたい人物です。いずれもアメリカ建国に所以がある人物ばかりで、アメリカの高いプライドを象徴していると言えます。ぜひ、アメリカ史を理解する際の参考にしてみてください。
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すげえなこれ