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要人警護のスペシャリスト「SP」の仕事内容・所属組織・なる方法について

ドラマなどの作品にも取り上げられ、日本でもすっかりお馴染みの警察官となったSP(セキュリティ・ポリス)。ここでは、SPが日本に生まれたきっかけや歴史、SPの所属している警察組織「警視庁」、任務内容、SPになる方法などについてご紹介しています。

2018年03月13日更新

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目次
SP(セキュリティ・ポリス)の歴史について
SP(セキュリティ・ポリス)の所属と部隊について
SP(セキュリティ・ポリス)の任務について
SP(セキュリティ・ポリス)の服装や装備について
SP(セキュリティ・ポリス)になるには
番外編 SPの登場する作品
まとめ
要人警護のスペシャリスト「SP」の仕事内容・所属組織・なる方法について

SP(セキュリティ・ポリス)の歴史について

SP創設のきっかけは三木首相殴打事件

SPが創設される前にも、日本では指定された要人警護を行う警察官は存在していました。けれども、対象の要人の前には立たない・目立たないようにする、という原則の下で警護を行うスタイルでした。

そんな中、1975年に「三木首相殴打事件」が発生します。佐藤栄作元首相国民葬会場にて、三木武夫内閣総理大臣が大日本愛国党の党員の襲撃を受けて負傷した事件ですが、まさに当時の前面に出ない警護スタイルの隙をついて発生してしまった事件です。

これをきっかけに、日本の要人警護スタイルの在り方を警視庁は再検討することになります。

アメリカのシークレットサービスを参考にSPが誕生

警視庁が要人警護スタイルを再検討する際に、強烈な印象として残っていたのが、三木首相殴打事件発生の前年1974年の、当時のアメリカ合衆国のジェラルド・R・フォード大統領訪問です。ジェラルド・R・フォード大統領の周りを取り囲むように、前面に出て警護を行うアメリカのシークレットサービスの警護スタイルを採用し、日本の新しい要人警護を請け負う警察官、「セキュリティポリス」通称SPが誕生したのです。

また、SPと省略するのもアメリカのシークレットサービスの略称SSを参考にしています。

SP(セキュリティ・ポリス)の所属と部隊について

警視庁の警備部警護課に所属

警察組織の中で、主に日本の治安維持のために凶悪犯罪やテロ、大規模災害などから国民を守るための任務に就いているのが警備警察です。

警備警察には、機動隊、警護部隊、災害対策レスキュー隊の各部隊が所属しています。この中で、SPは警護部隊に含まれます。そして、警視庁において警備警察を担う部署が警備部、更にその中で警護課に所属している警察官が、SPにあたります。

なお、SPの正式名称であるセキュリティポリス”Security Police”は日本語訳で「公安警察」という意味ですが、SPの所属は警視庁公安部ではなく警部警備課ですので、公安警察ではありません。

第1から4係と、総理大臣官邸警備隊からなる

警視庁警備部警護課は、警護対象の要人によって第1係から第4係、総理大臣官邸警備隊に分かれています。

第1係は内閣総理大臣、第2係は国務大臣、第3係は機動警護および要人、第4係は外国要人を警護します。この第1係から第4係に所属している警察官がSPです。

なお、総理大臣官邸警備隊とは2002年に内閣総理大臣専用の新しい官邸ができたのをきっかけに新設された部隊です。この部隊は、内閣総理大臣の警護を行うのではなく(内閣総理大臣の警護は第1課の任務)総理官邸という施設を警護するための部隊ですので、SPにはあたりません。

他の都道府県警察本部の要人警護員はSPではない

SPと呼ばれるのは、警視庁警備部警護課の第1係から4係に所属する、要人警護を任務とする警察官です。

一方で、他の都道府県警察本部の警備部に所属し、要人警護を任務としている警察官はSPとは呼ばれず、「警備隊員」「身辺警戒員」などと呼ばれます。名称はSPではありませんが、管轄内での要人警護という同じ任務を持つ警察官です。

SP(セキュリティ・ポリス)の任務について

法律で決められた要人の身辺警護を行う

SPの主な任務は、法律で決められた要人の身辺警備を行うことです。範囲は警護の対象となる要人が自宅を出てから自宅に帰宅するまでの間で、警護の対象者が自宅にいる時や自宅の警護は、SPではなく公安警察や機動隊が行っています。

また、要人警護中に何らかの犯罪が起きた時にも、SPは要人警護以外の任務を行うことは原則ありません。

任務内容によって2つの任務部隊がある

▼近接保護部隊
警備対象者の周辺で常に警護を行うSPが近接保護部隊です。一般的なSPのイメージといえば、この近接保護部隊にあたります。

▼先着警護部隊
警備対象者や近接保護部隊よりも先に現場に赴き、不審者や不審物がないかの確認を行います。また、公安警察と一緒に所轄の警察本部へ向かい、要人警護の協力要請や打ち合わせ、交渉などを行います。あらかじめ、事件や事故の発生を予防する「アドバンス」と呼ばれる任務を持つSPです。

なお、警護対象の要人や驚異の有無の可能性によっては、先着警護部隊の行うアドバンスが簡略もしくは省略されることもあります。

近接保護部隊、先着警護部隊両方のSP共に警視庁に所属する警察官ですが、管轄に関係なく、日本全国で指定された要人の警護を行います。一方で、都道府県警察本部の警備隊員や身辺警戒員はあくまで管轄内においてSPの警護に対する支援活動を行います。

SPの警護対象者について

SPの警護対象者は法律もしくは条令によって定められているか、何らかの理由で警護要請が国や警察組織からあった時に決められます。

内閣総理大臣、衆議院議長、参議院議長、国賓は法律上でSPの警護が定められているので、警護対象の警護要請の有無に限らず、SPが自宅以外は常に警護を行います。なお、アメリカのシークレットサービスは大統領とその家族全てが警護対象になりますが、日本のSPはあくまで内閣総理大臣や衆議院議員本人のみが警護対象です。

また、法律による対象者ではありませんが東京都条例によって東京都知事もSPの警護対象者になっています。大阪府知事も府条例によって警護対象者となっていますが、SPではなく大阪府警の警備隊長が警護にあたります。これは、東京都が警視庁の管轄(=SPの警護対象)、大阪府が大阪府警察本部の管轄になるからです。

衆議院副議長、参議院副議長、国務大臣、元総理大臣の衆議院議員なども、要請があれば警護対象者となります。

国会に議席を有する政党の代表者についても、必要に応じて警護対象者となりますが、日本共産党は含まれていません。過去の日本共産党による中核自衛隊事件や日本共産党スパイ査問事件により、いまだ日本共産党が公安調査庁や公安警察の「破防法に基づく調査対象」に指定されていることが理由にあります。「破防法に基づく調査対象」であることを不服として、日本共産党側が警視庁の警護要請の打診を固辞し続けているからです。

原則的には、官僚や政党の代表者ではない国会議員はSPの警護対象とはなっていないため、国会議員の身辺警護は民間の警備会社のボディーガードに個別に依頼しています。ですが、要請があれば応じてSPが警護を行います。

現在、民間人においてSPの警護対象となっている人物はいませんが、1977年から2010年まで日本経済団体連合会の現役会長が民間人で唯一のSPの警護対象となっていました。

SP(セキュリティ・ポリス)の服装や装備について

きちんとした身なりが求められるが、上着は開けたまま

要人の警護にあたるSPには、きちんとした身なりが求められます。ですが、万が一の事態の際にも腰や脇の拳銃などの装備品をすぐに取り出せるように、上着のボタンなどは閉めずに開けたままにしています。

また、アメリカのシークレットサービスなど海外の要人警護員は目の保護を目的にサングラスを着用していますが、SPはサングラスを着用しません。装備は拳銃や警棒のほか、警護対象を守るための折り畳み式の盾やマグライトなども所持しています。

SPバッジについて

またSPの文字をデザインにした警視庁警護員記章(通称SPバッジ)を上着の襟部分につけています。また、警護対象や内容によっては、関係者にしか分からない一般的に特定の難しい、SPと他の区別ができる「何か」をつける事もあります。なお、都道府県警察本部に所属する警護員が任務中に着用する警護員記章もあります。

SP(セキュリティ・ポリス)になるには

警視庁の採用試験を受けて、警視庁の警察官になる

SPは警視庁の警備部警護課に所属する警察官です。警視庁の警察官は、東京都管轄の警察官であり地方公務員ですので、まずは警視庁の警察官採用試験を受けて合格しなければいけません。

警視庁の警察官採用試験は年に数回行われています。Ⅰ類(大学卒業程度)とⅢ類(高校卒業程度)の試験区分があり、受けられる条件が異なります。平成30年4月採用の試験の条件は、以下の通りです。

▼Ⅰ類(大学卒業程度)
35歳未満で大学(学校教育法による)を卒業又は平成30年3月までに卒業見込みの人、または21歳(平成8年4月1日までに生まれた人)以上35歳未満で大学卒業程度の学力を有する人。

▼Ⅲ類(高校卒業程度)
Ⅲ類(高校卒業程度)35歳未満で高校(学校教育法による)を卒業又は平成30年3月までに卒業見込みの人、もしくは17歳(平成12年4月1日までに生まれた人)以上35歳未満で高校卒業程度の学力を有する人。

合格後は警視庁警察官採用候補者名簿に登録され、Ⅰ類は6か月間、Ⅲ類は10か月間警察学校での研修を受けます。研修が終了し警察学校を卒業すると、配属先が決まり警視庁の警察官としての勤務が始まります。

警視庁では、警察官および警察行政職員の採用のためにサイトを特設しています。SPになるための第一歩ですので、将来SPを始め警視庁の警察官を目指す人は採用情報を随時チェックしておくのがおすすめです。

参考:
警視庁 平成30年度警視庁採用サイト
http://www.keishicho.metro.tokyo.jp/saiyo/30/

SPになるための条件

警視庁の警察官としてのキャリアを積み、SPとしての適性があると認められて上司からの推薦を受けると、SP候補生として警察学校でSP専門の研修を受けます。研修の中で、他のSP候補生との厳しい競争に勝ち抜いた優秀な人材のみがSPに任命されます。

また、SPになるには身長173cm以上、柔道又は剣道、合気道3段以上、拳銃射撃上級、英会話ができること、などの条件もクリアしなければいけません。特に拳銃の射撃能力は一般の警察官よりもはるかに高いレベルにあり、刑事部の機動捜査隊やSATにも勝るとも劣らない射撃の腕を持つSPも少なくなりません。

専任部隊もいるが、女性SPはとても少ない

日本の警察官全体を見ると、女性警察官の割合は約3割となっています。ですが、SP全体の男女比を見ると、女性SPの割合はおよそ5%に留まっています。これは、身を挺して警護対象を守るSPの任務においては、体格や体力、腕力などの面で女性よりも男性の方に軍配が上がるからです。

とはいえ、女性ならではのきめ細かい配慮や「女性がそばにいたほうが安心する」という警護対象の要望を受けて、女性専任のSP部隊も存在しています。例えば、イギリスのエリザベス2世が日本に来た時には、「表敬部隊」として、女性SPのみで構成された部隊が警護にあたりました。今でも、表敬部隊はSP部隊として存在しています。

番外編 SPの登場する作品

マルタイの女(映画)

SPの護衛対象となった女性が主人公。

SP 警視庁警備部警護課第四係(テレビドラマ及び映画)

主人公は警視庁のSPで準キャリアの警察官。

まとめ

要人警護を任務とするSPは、今後更に活躍の幅が広がることが予想されます。また、時代の変遷とともに、要人警護に求められる能力や方法も変わってきます。女性SPも含めて、今後の活躍にも期待したいと思います。

(文:千谷 麻理子)

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