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【各国の大学】出席よりも実力 ベルギーの大学と大学生

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ベルギーは、西ヨーロッパにある国で、首都ブリュッセルは、EU本部やNATOなどの国際機関がおかれ「EUの首都」とも呼ばれています。今回は現地での大学生活についてレポートします。

目次

出席よりも実力

まずはじめに、大学での評価のシステムの違いについて書きます。私は当時、日本の公立大学に在学していたのですが、大学での評価はS,A,B,C,Dの五段階評価でした。SからCまでに入れば単位を修得することができました。Dは落第で再履修が求められます。

日本の大学は評価基準が3つ

私が在学していた日本の大学では、評価の基準は3つでした。1つ目は授業への出席です。それぞれの授業に2/3以上出席していないと評価の対象にならないというものです。2つ目は、各履修科目で課された課題の提出とその評価です。3つ目は、期末テストのスコアです。この3つの項目が組み合わせで評価されます。

1つ目の授業の出席率については、2/3以上を出席しない限り、評価の対象にならないという決まりからもわかる通り、私の在籍していた大学では、出席が3つの評価基準の中で、特に重要な要素を占めていました。

つまり、課題や期末テストの出来といった実力よりも、出席という形でその授業への意欲の見せ方を評価するというしくみでした。日本の大学には1つしか行ってないので、一概に言えませんが、大抵の日本の大学は形だけでも、この出席の評価基準を採用しているように思います。

ルーバン大学の評価基準は2つ

一方、ルーバン大学での評価は、私にとっては、日本と比べても、かなり厳しいものに感じました。評価の段階はA,B,C,D,E,Fの六段階で、E以上を取れば合格というものでした。ルーバン大学での評価基準は主に2つで、1つ目が課題の提出、2つ目が期末テストのスコアです。日本では大事にされている出席という評価は、全く関係なかったといっても、過言ではありません。

もちろん、授業に関する評価基準は多少ありました。しかし、それは授業の中で発言したり、発表したりした場合にのみ発生し、ただ席に座って「出席」しているだけでは、何の評価の対象にもなりません。つまり、出席するだけで評価の底上げを図るシステムがないので、課題と期末テストの一発勝負になります。

ルーバン大学では評価に授業出席数は関係ない

私が履修していた比較欧州文学の例でお話しします。こちらの科目では、毎回授業ごとに1つの文学作品が提示され、それを読んで授業に参加し、その表現手法や背景にある哲学などを議論します。

私は、15回ほどある授業の中で3回ほど欠席しましたが、特に欠席数は問われませんでした。評価の対象は期末レポートと期末テストのみでした。

期末レポートは、授業の中で議論された作品ないし、作家の作品を取り上げて、小論文を書きます。私はフランツ・カフカの「変身」について、「資本主義システムの中で孤立化していく人間」というテーマでレポートを書きました。

テストでは、授業の中で取り上げられた文学の中の哲学について、作品の例をもとに説明するというものでした。


その結果、12点をマークし、合格となりました。このテストは10点未満が不合格であると聞いています。

学期末は図書館が静かな戦場

上記の通り、期末のレポートとテストが全てなので、期末の学生たちの勉強量は、かなりの多さでした。期末テストの準備期間は3週間ほどあり、授業がないので、自分で計画を立てて勉強しなければなりません。多くの学生が、自分の部屋で勉強するのでは、モチベーションを維持できないということで、図書館で勉強します。

しかし、図書館の席には限りがあるので、朝から並んで席を取るという現象が起こります。大学街であるルーバンには、大学の図書館が複数点在しています。しかし、どの図書館も満席になることが多く、朝から早く起きて図書館に行かないと席がないという状態でした。

勉強なので、基本的には個人でするものなのですが、休憩の時に友達と少し話したり、お茶を一緒に飲むことにより、集中力が保たれるということで、友人とそろって図書館に出かけて勉強するというのが一般的なようです。私も、朝に友達と図書館で待ち合わせをして、1時間ごとに外でコーヒーを飲んだり、話したりして、休憩を取りながら勉強を続けました。

期末テスト期間前の図書館の熱気は、まさに静かな戦場でした。

エラスムス留学500-800

ヨーロッパの大学のシステムは、とても興味深いものがあります。その1つが、エラスムス・ムンドゥス(以下、エラスムス)という、主にEU圏内の大学が参加している、交換留学システムです。

特に、私が留学していたプログラムは、すべて英語で授業を開講していたので、多くの国から留学生が来ていました。EU圏内の大学生達は、このエラスムスを活用していて、大学の1年を他の国で過ごし、いろいろな経験を得て母国に帰る、というのが広く浸透しています。

EUにはシェンゲン協定という協定があります。それは、EUに加盟している国々の国境を超える際、ビザの申請を必要としないというものです。たとえば、日本人がオーストラリアに3か月以上滞在しようと思ったら、学生ビザやビジネスビザが必要になります。

しかし、EU圏内の人々は、ほかのどのEUの国に行っても、長期滞在に必要なビザや、働くためのビザを必要としません。つまり、EU圏内の交換留学は、ビザの取得も必要ないし、アルバイト等をする場合も、特別なビザの申請がいらないということです。この協定に後押しされ、エラスムスは、EUの学生達に活用される留学システムなのです。

ルーバン大学は、ベルギーの中でも有名な大学で、ベルギー人は英語も堪能なので、様々な国から留学生が集まっていました。私自身、ベルギーに留学したけれど、できた友達たちは、スペイン人、ハンガリー人、オランダ人、ドイツ人などのEU圏の友人や、エジプト人、中国人、アメリカ人、ウクライナ人、インドネシア人などの非EU圏の人たちでした。

大学生の休日

さまざまな国から学生たちが集まる、ルーバン大学の学生達の休日の過ごし方は、日本人のそれとはかなり違う印象を受けました。日本の大学生は、休みの日はバイトをしたり、ショッピングに出かけるのが一般的です。しかし、ルーバン大学の学生たちは、長期休みの時以外は、ほとんどバイトをしません。

理由は、おそらくルーバン大学生の、学問にかけなければいけない時間と重きが、日本の大学生より多いからだと思います。また、学費が日本のそれより安いことが多いため、奨学金を得ることができれば、アルバイトをたくさんしなくても賄うことができるということも、理由として挙げられると思います。

そのため、土日はゆっくり過ごしたり、課題をやって過ごしたり、家族との時間に充てることがほどんどなようです。

私は、家族と離れて暮らしていたので、同じように留学をしている友人たちと休日を過ごしていました。過ごし方がとても新鮮で、一緒にショッピングに行ったり、カラオケに行ったりするわけではなく、料理を一緒に作って食べたり、お菓子を作って、庭でお茶と一緒に楽しんだりしました。

休日とはいえ街に出るわけではなく、ただ、家や公園で友達と一緒に過ごすだけで、こんなにもゆっくりした楽しい時間が過ごせるのかと、目からうろこだったのを覚えています。


時間があるときは、どこかへハイキングに出かけたり、自転車で少し遠くの公園まで遊びに行ったりしました。そのとてもゆっくりした時間の使い方が、私にはとても新鮮で、留学後日本に帰った後も、できる限りこの過ごし方を忘れないようにと、心がけていました。

まとめ

いかがでしたでしょうか?

私にとって、ベルギーが初めて行った外国だったので、小さなことにも1つ1つ感動して過ごした留学生活でした。ヨーロッパの大学生達の学校生活や時間の使い方の違いは、社会の仕組みや人々の価値観の違いを理解するうえで、とても重要な要素でした。

また、いろいろな生き方があるということを実感することができ、その後の自分の人生の価値観を大きく変える経験となりました。

本記事は、2019年1月28日時点調査または公開された情報です。
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この記事を書いた人

公務員総研の編集部です。公務員の方、公務員を目指す方、公務員を応援する方のチカラになれるよう活動してまいります。

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