【日本の刑務官は世界一!?】そう言われる理由とは何か?

日本の刑務官のレベルは世界的にかなり高く、「日本の刑務官は世界一」と言われています。それには、理由があります。今回は、「日本の刑務官は世界一」と言われる理由を様々な観点から解いていきます。その内容について、元・刑務官の小柴龍太郎氏に執筆いただきました。

はじめに

折に触れて「日本の刑務官は世界一だ」というお褒めの言葉に接してきました。人によって理由は異なり、中には自画自賛的なものだったり根拠がよく分からないものもあったりするのですが,それを割り引いても日本の刑務官のレベルは世界的にかなり高いようです。

日本の刑務官は世界一!その理由は「試験制度」にある!

その最大の理由は試験制度でしょう。日本の刑務官は採用試験の合格者から採用されますが、その試験は人事院によって行われます。つまり法務省や刑務所の力の及ばない別の組織によって行われるわけです。

したがって情実などが入り込む余地がなく、極めて公平に,公正に行われます。これによって、日本中から優秀な人材が刑務官として採用されるシステムが出来上がっています。

国によってはいまだこのような試験制度がなく、法務省のような省庁とか刑務所が選考して刑務官にする所があるようで、賄賂などがはびこって、資質が高くない人も刑務官になれてしまうという弊害があると聞きます。

研修制度と昇任制度も充実

このような試験制度に加えて、採用になってからの研修も日本では相当充実しています。知識・技能を付与するための研修もそうですが、何といっても昇任研修が昔から行われており、優秀な刑務官を選抜して昇進させる制度が完成しています。

この制度があるために、能力と意欲がある者は誰でも昇任研修を受けるための試験を受験できます。そうです、研修を受けるためにはまず競争試験を受けて上位の成績を取らなければならないのです。

係長クラスへの昇任のためには地方ブロックで行われる中等科研修入所試験で良い成績を取らなければいけませんし、課長以上への昇任のためには全国規模で行われる高等科研修入所試験で勝ち上がらなければいけません。

そのようにして選抜された者を研修所で鍛えて現場に戻し、実務経験を積ませて階級を上げていきます。そこには徹底した実力主義がありますし、公平で透明性の高い選抜システムがあります。

この昇任研修システムは、諸外国と比べて優れているというだけでなく、日本国内の他省庁と比べても極めて稀で優れたものと評価されています。

そしてこの選抜システムがあるために、上位の階級に就いた刑務官に対して部下の刑務官が不満を抱くことはありません。競争試験で公平に選抜された者だからであり、研修所で鍛えられた刑務官だからです。

こうして上位の階級の刑務官を信頼し、自分たちの代表にふさわしい人物と認識していますから、その指導を素直に受け入れ、刑務官としての自らの質も高めていくようになるわけです。

明治維新後の日本では刑務所についても大変革が行われた

このような高いレベルの研修システムの背景には、おそらくほかの国にはないと思われる面白いエピソードがあります。明治時代の話です。

明治維新後の日本では刑務所についても大変革が行われ、世界列強に劣らない水準で刑務所の運営をしようということになったのですが、その際ドイツからゼーバッハという人を招いて全国の刑務官を集めて研修をしました。

これが現在の矯正研修所の基礎になるのですが、途中、明治政府の予算が苦しくなった時、国費が無理なら自分たちで予算を工面しようということで、自分たちや民間からの資金を集めて研修を継続したのです。

国がやるべきことを刑務官たちがいわば手弁当でやったわけです。そこまでして自分たちの刑務所を、そして日本を何とかしようとした刑務官たちの心意気はすごいことだと思います。

そしてこれは、ひょっとしたら江戸時代まで培ってきた武士道精神の現われだったのかもしれないとも思ったりします。私を捨てて公に尽くすという心です。

最後に

私は矯正研修所でも勤務しましたが、このエピソードを知って大先輩たちのことを誇りに思うと同時に、刑務官たちを育成する責任の重さを強く感じました。

おそらく、日本の刑務官が世界一といわれる根底にはこのような精神とか、研修所の役割も大きいのだと思っています。

(文:小柴龍太郎)

本記事は、2018年4月23日時点調査または公開された情報です。
記事内容の実施は、ご自身の責任のもと、安全性・有用性を考慮の上、ご利用ください。

最新情報をチェックしよう!
NO IMAGE

第一回 公務員川柳 2019

公務員総研が主催の、日本で働く「公務員」をテーマにした「川柳」を募集し、世に発信する企画です。

CTR IMG