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「受刑者を雇いたい」という【協力雇用主】になるには?

受刑者などが出所したら雇用してもいいと言ってくれる会社の社長さんを、「協力雇用主」と言います。現在ではスムーズに受刑者の就職先の斡旋ができるようになったようですが、それまではどうだったのでしょうか?

今回は、「協力雇用主」についてのコラムです。執筆は、元・刑務官の小柴龍太郎氏です。

2018年05月06日更新

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目次
はじめに
協力雇用というお話
まとめ
「受刑者を雇いたい」という【協力雇用主】になるには?

はじめに

ある日、会社の社長さんが刑務所に来て、「おたくの受刑者を何人か雇いたい」と言って刑務所に便宜を図ってくれるように求めました。受刑者が更生して社会復帰を果たすには、出所後に職を得て収入を確保することがとても重要ですので、有り難いお話です。

私は当時出所者の就職先の開拓を支援する仕事をしていましたので、この話は願ってもないことと思い、是非実現しようとしました。しかし結論から先に言うとうまくいかなかったのです。

というのは、念のために職業安定所に照会したら、刑務所が受刑者に就職先を紹介するようなことをやったら職業安定法に抵触する可能性があると言われたからです。現在はどうか分かりませんが、当時の法律の解釈ではそういうことでした。

それでは、ということで、当時既に制度化されていた「協力雇用主」の仕組みを使ってみようということになりました。この制度は、受刑者などが出所したら雇用してもいいと言ってくれる会社の社長さんに「協力雇用主」になってもらい、その方の了解が得られたら受刑者の採用の道が開けるというものでした。

協力雇用というお話

そこで、刑務所に来てくれた社長さんに対して、まずは協力雇用主になってほしいとお願いし、その社長さんもその気になってくれたのですが、どうもその手続などが面倒で時間もかかるというので、その社長さんはやる気を失ってしまったのです。

「協力雇用主」になるためには、刑務所とは別個の組織である保護観察所という所に願い出て、その審査を受け、パスして初めて登録されるのですが、これに結構時間がかかる。そしてまた、実際に出所者がその協力雇用主に採用してもらうためにもいろいろと段取りを踏まなければなりません。

刑務所も保護観察所もお役所ですから、どうしてもお役所仕事になってしまいます。刑務所も観察所も悪意があるわけでも何でもないのですが、受刑者にとってもその協力雇用主にとっても不都合なことが起きないようにしようとすると面倒な手続を踏むようなことになってしまうのです。

例えば、受刑者を雇うと言ってくれる社長さんの会社はどんなところかを把握しなければなりません。実は暴力団が隠れ蓑に使っている会社だったりすると国がそこに就職を斡旋することになってしまい、これは問題です。

ですから、その会社が社会的な信用も得ているしっかりした会社だということを確かめなければなりません。あちこちから情報を集め、検討するので時間がかかるということです。

一方の受刑者についても簡単ではありません。刑務所とか保護観察所という国の機関が間に入る以上、その受刑者が出所した後、しっかりと会社勤めができるかどうかを見定めなければなりません。

刑務所の工場での働き具合とか、ふだんの生活ぶり、健康状態などを確かめて、合格ラインに達していると認められる受刑者しか推薦できません。ですから、その選考に時間がかかってしまうのです。

まとめ

そんなこんなでその親切な社長さんの善意は無に帰してしまいましたが、このような状況は改善しなければならないという声が次第に大きくなり、現在では相当スムーズに受刑者の就職先の斡旋ができるようになっているみたいです。

しかも、実際に雇用してくれた協力雇用主には奨励金が国から出るようになり(平成27年度から)、雇用を迷う協力雇用主さんの背中を押すような仕組みも出来たそうで、うれしく思っています。

(文:小柴龍太郎)

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