日本人には馴染みのないチップの習慣ですが、アメリカでチップは文化と言えるほど浸透しています。そこで今回は、アメリカでは無視できないチップ制度、ホテルやレストランなどでどのくらいの金額を支払えば良いのかを説明したいと思います。
どこでどの位チップを支払えば良いのか
まず大前提として、アメリカには何かしらのサービスを受けた場合、チップを支払う文化があります。チップの金額や支払い方法は、場面によって多少違いがありますが、以下のようなサービスを受けると、チップ支払い必須と考えておいた方が良いでしょう。
- フルレストランで食事をした場合
- ホテルでベルボーイに荷物を運んでもらった場合
- Uberに乗った時
- デリバリーサービスを受けた時の配達人に対して
- ヘアサロンやスパなどでサービスを受けた場合
チップの支払は意外と自由
レストランで食事をした場合
州によっても事情は多少異なりますが、現在アメリカのチップの目安はSubtotalに対して15%から25%くらいの間です。例えばレストランで食事をした時、特に問題なく食事を終えた場合は大体18%から20%くらいのチップを払うのが普通です。
サービスに不満がある場合は、チップを払わず不満を払わずに店を出るべきだという話を聞いたことのある人もいると思いますが、実は理由を何も言わずにチップを払わず店を出るのはルール違反に当たります。
チップをもらう側は、チップをもらうことが前提で働いているので、よっぽど高額(何千ドルとか)でない限り、金額に対しての謙遜や恐縮する人はいません。逆にいくら酷いサービスの店だったとしても、文句も何も言わずにチップを払わず店を出ると、お店の人に店の外まで追いかけられチップを要求されるなど、思わぬトラブルが生じる可能性もあります。
もしチップを払いたくない理由が明確にある場合は、店のマネージャーに理由を話して対応してもらいましょう。英語で説明するのはちょっと…という人は、サービスに不満があった場合でも、チップは最低15%支払うようにすれば非常識な客として見られることだけは防げます。
チップの計算方法
レストランでチップの金額に迷った場合は、とりあえず15%以上渡しておけば間違いありません。上の写真の金額を例にとって計算方法を説明すると、Subtotalの$30.50に15%を掛けた金額、$4.58がサーバーに払うチップになり、支払い金額(Amt Due)の$33.37に$4.58を加算した金額、$37.95が店に支払う金額になります。
カードで支払う場合は、合計金額覧に$37.95と書くのが普通ですが、現金での支払いの場合は端数を切り上げて、合計金額を38ドルにする人が多いです。またチップだけ$4〜5ドル現金をテーブルに置いて、Amt Dueの$33.37だけクレジットカードで支払うのもアリです。現金で支払われたチップは、毎日仕事終わりに従業員に分配されるので、ウェートレスにも喜ばれます。
ホテルやドライバーには?
ホテルのベルボーイに荷物を運んでもらった場合や、観光バスのガイドの人などには、5ドルから10ドル位の現金をチップとして本人に渡します。もし現金の持ち合わせが札1〜2ドルと小銭しかなかった場合は、無理に少額を渡すより、感謝の気持ちを素直に声に出して伝える方が喜ばれます。なぜなら1ドルしか渡さないということは、あなたのサービスには100円の価値しかないと言っているのと同じ意味になりますし、小銭だけで渡すのもあなたのサービスは最低だと言っている意味になるからです。
アメリカでは旅行中の移動手段としてタクシーの代わりにUberやLyftのような配車アプリを使う人がほとんどです。理由はタクシーより安く便利だから。行き先の指定から支払いまでアプリ上で完結し、目的地までにかかる金額も車種や運転手の名前や性別まで乗る前に確認できるので安心です。乗車料金をチップと一緒にオンライン決済できるので、現金を手渡しする必要もありません。
ただ自宅から空港までの移動に使った場合、荷物の積み下ろしを親切に手伝ってくれた場合などは、現金で5ドル位、目的地地に到着して下車する際に感謝の気持ちとして渡すのが一般的です。
ヘアサロンやスパでは?
美容院でカットやカラーをした場合、代金の15から20%のチップを支払うのが一般的です。ただし日本でいう1000円カットのような基本料金が安いお店の場合、15〜20%のチップでは安すぎる場合もあります。計算したチップの金額が3ドルくらいだった場合は、5ドル支払う方が良いです。逆にホテルのスパやヘアサロンを利用した場合は、合計金額が100ドルを超えるのもよくあることです。その場合パーセンテージできっちり計算するより、20・25・30ドルなど、きりの良い数字でチップを払うようにすると良いでしょう。
レシートの下のチップ金額は妥当?
上の写真のレシートもそうですが、近頃はレシートの下にチップの金額が印刷されていることが多く、以前は多少控えめに10%から表示されていた金額が、今では最低18%からはじまり、高いところだと25%や30%などに設定されている場合もあります。
レシートにチップの表示がされていると、わざわざチップの金額を計算しなくても良いうえ、渡す金額の目安にもなるなど、良い点もあります。店側もあまりにも安いチップの支払い防止ができて、従業員が収入面で苦しめられるのも軽減されるかもしれません。しかしコロナ後は人手不足でウェートレスの賃金がどんどん値上がりしているのも事実です。あらゆる物の値段が高騰し、飲食代もびっくりするほど高くなったお店もあります。
日本からの観光客の方には円安もあいまって、飲食代だけでも相当な出費になるはずです。チップの金額は個人の裁量に任されています。よほど良いサービスが提供されない限り20%以上は払い過ぎ、マナーに違反しない程度の金額を支払えば良いのではと思います。
チップを払わなくても良い場合もあります
伝票上に20%SVC(サービスチャージ)やGratuity20%と表示されている場合は、20%のチップが合計金額に加算されているということになります。もしサービスフィーやGratuityがSubtotalに加算されていたら、Tip欄に“Tip is included”と書いてAmt Due金額をそのまま払えばOKです。チップの二重払いをしないよう、伝票をよく確認しましょう。
コロナ以降はタブレットで決済をする店がどんどん増え、ファーストフード店やカフェなどは、タブレット決済を導入している店がほとんどです。画面を操作していくとチップを要求する画面が必ず表示されますが、テイクアウトやオーダーした商品を自分で席まで運ぶ場合は、“No Chip”のボタンを押してチップを払わなくても構いません。もし周りの目が気になる場合は“No Chip”のボタンを押してから、レジの近くに絶対あるチップジャーに1〜2ドル入れるとスマートです。
まとめ
日本人には馴染みのない習慣なので、なかなか慣れないチップ文化。マナー違反にならないためにも、チップの知識を頭に入れておくのは良い事だと思います。また求められるまま、相場以上に支払って損をしないためにも、どこでいくら位チップを払えば良いのか、事前に調べておくのも良いかもしれません。
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