「発達相談所」の「児童心理司」に関する仕事内容・給料レポート

市役所で働く、女性の「児童心理司」によるキャリア体験談レポートです。

今回は、その仕事内容や一日のスケジュール、年収(給料・ボーナス)や残業状況・職場恋愛などについてインタビューしたものを編集して掲載します。


はじめに

市役所で働く、女性の「児童心理司」によるキャリア体験談レポートです。

ちなみに、その方は臨床心理士の資格を持っているそうです。

なお、「児童心理司」は、以前は「心理判定員」という名称が使われていましたが、児童相談所で働く「心理判定員」については、「児童心理司」という名称に変更されました。

「発達相談所の児童心理司」を目指した理由

「臨床心理士」(心理判定員)は国家資格ではなく、常勤採用も少ない、非常に不安定な職種です。

そのため、まずは安定した公務員という枠組みの中で経験を積もうと考えました。

なお、公務員として、心理判定員として働くと、児童相談所や身体障害者更生相談所、知的障害者更生相談所、発達障害相談支援センターといった公的な施設で、「心理学」の専門的学識に基づいた心理判定業務に携わる業務を担う公務員のことをいいます。

「発達相談所の児童心理司」の仕事内容について

発達相談所で働く児童心理司は、発達検査をとることが業務の中心となってきます。

検査対象は主に保健所の定期健診で精密検査を勧められた就学前の児童です。ほか、保護者からの相談、幼稚園や学校で不適応を起こしているとの機関相談、児童相談所からの相談にも対応します。

もちろん検査をとるだけではなく、その後で保護者や幼稚園の担任、ケースワーカーなど、相談者に対して検査結果を説明することも、重要な仕事内容となってきます。

検査結果から、その子の得意なところ・苦手なところ、ものの捉え方の特性などを捉え、相談内容に合った結果説明を行います。

たとえば、発達の遅れを指摘された子供の判定を行った場合は、保護者に対してその子の特性を説明し、日常生活の中でどうやってサポートしていけば良いかを提案します。


また場合によっては、学校や幼稚園の先生、児童相談所のケースワーカー、療育施設の職員など、複数の他機関の担当者とも連携を行います。

単純に臨床心理士の機能だけ果たすのではなく、ソーシャルワーカー的な役割も担うことが増えています。

「発達相談所の児童心理司」の1日の仕事の流れ

7時半:自宅出発、バス通勤
8時20分:到着
※タイムカードではなく押印なので、多少の遅刻は大目に見てもらえます!
8時半:始業、朝礼
8時35分:当日の予約を確認後、インテーク記録をチェックする
9時ごろ:検査室の予約、検査道具の準備
9時半:検査開始
※検査終了後、保護者に簡単な聞き取り調査を行い、結果説明日の予約を入れる
10時半ごろ:検査所見をまとめ、必要書類を準備してカルテに挟んで決済に回す
12時:昼休み(1時間)
13時:午後の保護者面談の準備
13時半:以前とった検査の結果説明と、相談対応
14時半:面談記録、報告書をまとめ、カルテに挟んで決済に回す
16時ごろ:他機関との調整
17時15分:退庁

「発達相談所の児童心理司」の給料・残業・有給休暇について

私の場合ですが、給料は10年ほど前で、大学院卒の初任給が25万円程度でした。ちなみに、ボーナスは夏と冬の2回で、4.4ヶ月分支給されてました。

残業は申請制なので、申請せずに残っていても残業代はつきません。申請した場合は、時給1,500円だったかと思いますが、残業をしたことがないので、よく覚えていません。

有給はかなり取得しやすかったです。スケジュールを見て予約や会議が入っていない日は自由に取得できました。

この仕事で、働いているときに困ったこと

公務員特有のことかもしれませんが、一般的な報告・連絡・相談が不十分なことが多かったように思います。

会議で決定されたことが、決定から2週間後になって回覧で回ってくるということが、たびたびありました。ホウレンソウをきちんとしてほしいと上司に相談しましたが、あまりピンと来ていないようでした。公務経験が長ければ長いほど、一般的な社会での常識が通じなくなってくるようでした。

また、嘱託職員と正職員との待遇格差も大きく、疑問を感じました。

この仕事や職場でよかったこと

給料やボーナスが安定していることや、有給休暇が取りやすいことに関しては、かなり恵まれていたと思います。

とくに有給休暇は、普通の会社では入社後半年しないと発生しませんが、公務の場合は入庁初日から既に発生しています。有給とは別に、夏休みも何日かつけてもらえるので、その気になれば1か月近く丸々休むということも可能です。

また、基本的に公務は身内に甘い態勢です。時間にルーズな風潮もあり、多少の遅刻は目をつぶってもらえることが多いのも、かなりありがたいことでした。

「発達相談所の児童心理司」の仕事エピソード

偏見も入っていますが、公務に係る保護者の対応は、基本的に面倒なケースが多い印象でした。

「お金を払ってでも相談したい」というのと、「タダだから相談する」「保健所から指摘されたから嫌々来ている」「税金分モトをとってやる」という感覚で相談されるのとでは、やはり相談者の質も大きく異なります。このような考え方の保護者は、公務に対する敵対心も強く、思い通りに行かないと「これだから公務員は!」と言われることが多かったので、正直うんざりしました。

また虐待ケースで児童相談所と連携せねばならないことも多く、身体的だけでなく精神的な苦痛もかなり大きかったです。


「発達相談所の児童心理司」の職場恋愛について

職場恋愛は多いと思われます。

基本的に狭い世界なので、同じ部署での恋愛はもちろんのこと、ケースで関わったケースワーカーと結婚する人も多かったです。特に虐待ケースなどでは、困難を一緒に乗り越えるということで絆も芽生えるので、恋愛関係に発展しやすいようです。

職場以外では、大学院時代の同期などを結婚するケースが多いようです。

臨床心理士同士のカップル、ケースワーカーと臨床心理士のカップルなど、いずれにしても類似業界でのカップルが多いと思います。

まとめ ー「発達相談所の児童心理司」を目指す方へメッセージ

大変ですが、やりがいもある仕事です。

本記事は、2018年9月25日時点調査または公開された情報です。
記事内容の実施は、ご自身の責任のもと、安全性・有用性を考慮の上、ご利用ください。

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