国民の「食」と「環境」を担当する中央官庁「農林水産業」の基本情報

食料の安定供給の確保や農林水産業の発展、農山漁村および中山間地域等の振興などを任務とする中央官庁「農林水産省」について解説します。

「農林水産省」は、農業・畜産業・林業・水産業をはじめ、食料の安全・安定供給や、農村の振興などを所管する行政機関です。その基本的な情報についてまとめました。


はじめに

「農林水産省」は、東京都千代田区霞が関にあり、2001年に設置された日本の中央官庁です。略称は、「農水省」で、前身の組織は「農林省」でした。定員は、1万8,744人ですが、給与特例法適用職員を含めると、2万3,337人です。

なお、「給与特例法適用職員」とは、国有林野事業を行う国の経営する企業に勤務する職員で、給与等に関する特例法適用の対象となる職員のことです。

今回は「農林水産省」の公務員を目指す方に押さえておいてほしい基本的な情報と役割について解説します。

「農林水産省」について

「農林水産省」は、東京都千代田区霞が関に置かれた機関で、長は、農林水産大臣です。

「農林水産省」の歴史は、「農商務省」が設立された1881年(明治14年)まで遡り、「中央官庁の中で5番目に古く、130年以上の歴史を持つ省庁です。

そもそも「農林水産省」の設立当初は、農業・林業・水産業に加えて商工業も担当していましたが、商工業分野は、1925年(大正14年)に新設された現在の経済産業省である「商工省」に移行され、「農商務省」は「農林省」と改称しました。

その後、「農林省」は、戦争直前の1943年(昭和18年)には、「商工省」の管轄と、軍需産業以外を所管する分野を統合して「農商省」となり、終戦後の1945年(昭和20年)8月には再び「農林省」と改称され、1978年(昭和53年)に現在の名称である「農林水産省」となりました。

このように、「農林水産業」は、明治以降の日本のあらゆる状況と時代に合わせる形で名称や役割を変えてきました。

現在の「農林水産省」は、「いのち」を支える源である日本人口の「食」を将来にわたって支えていくために、現場主義に根ざして生産者の活力を引き出すとともに、食の安全や消費者の信頼確保に努めるなど、生産から消費までの幅広い視野をもって政策を講じています。

「農林水産省」の役割について

「農林水産省」の役割は、農業・畜産業・林業・水産業について、安全で安定した食料の供給や、農村の振興を図ることです。

このような「農林水産省」の具体的な業務は、大きく産業分野・経営分野・改革分野の3つに分かれています。


まず、産業分野では、農林水産業や食品産業の振興や地域経済の活性化、国土・自然環境の保全など多岐にわたる政策課題に取り組んでいます。

次に、経営分野では、農業経営の安定と国内生産力の確保を図るための経営所得安定対策を実施しています。

さらに、改革分野では、農林漁業者と他産業との新たな連携を構築し、生産・加工・販売・観光等が一体化したアグリビジネスの展開や先端技術を活用した新産業の育成すること、さらに、再生可能エネルギーの導入等による農山漁村の技術革新や農林漁業の成長産業化への取り組んでいます。

「農林水産省」の組織構成について

「農林水産省」の組織構成は、本省と外局である「林野庁」「水産庁」より成り立っています。

まず、「農林水産省」の本省は、幹部である「農林水産大臣」「副大臣(2名)」「大臣政務官(2名)」「農林水産事務次官」「農林水産審議官」「農林水産大臣秘書官」と6つの「内部部局」より成り立っています。

次に「内部部局」の内訳は、「大臣官房」「総合食料局」「消費・安全局」「生産局」「経営局」「農林振興局」です。

先の「幹部」「内部部局」のほかに、「審議会等(農業資材審議会、食料・農業・農村政策審議会など)」「施設等機関(植物防疫所、動物検疫所など)」「特別の機関(農林水産技術会議)」「地方支分部局」があります。

このような「農林水産省」の組織の中で、行政の司令塔となっているのが「大臣官房」で、農林水産省全体の政策に関する総合調整を行っています。

この「農林水産省」の「大臣官房」の具体的な業務は、基本的な政策ビジョンの立案や法令案の審査、予算編成、国会事務、省内および各省庁との連絡調整や広報など情報の受発信、食料自給率の向上、食料安全保障に関する取組み、WTO等の国際交渉や農林水産分野の国際協力などの国際関係業務などです。

なお、「大臣官房」は、東日本大震災の復旧・復興や食料自給率の向上、食料の安定的な輸入による食料安全保障、地球温暖化などの環境政策などについても省内の調整役として舵取りを行っています。

また、「大臣官房」は、これらの業務をきちんと機能させているかどうかが省内で企画立案される政策に反映するため、農林水産省を束ねて様々な政策の指揮を執っています。

「農林水産省」の年間予算は約2兆3,021億円

「農林水産省」の平成30年度の予算は、約2兆3,021億円でした。

予算の主な内訳は、大きく下記の8つに分かれて編成されています。

1)担い手への農地集積・集約化等による構造改革の推進
2)水田フル活用と経営所得安定対策の着実な実施
3)強い農林水産業のための基盤づくり
4)農林水産業の輸出力強化と農林水産物・食品の高付加価値化
5)食の安全・消費者の信頼確保
6) 農山漁村の活性化
7)林業の成長産業化と森林資源の適切な管理
8)漁業の成長産業化と資源管理の高度化

内訳についてはこちらの予算の重点事項をご参考ください。
http://www.maff.go.jp/j/budget/attach/pdf/171222_2-3.pdf


まとめ

いかがでしたか?

「農林水産省」は、将来にわたって日本人口の「食」を支えるため、現場主義に根ざして生産者の活力を引き出し、食の安全や消費者の信頼確保に努めるなど、生産から消費までの幅広い視野に関する政策を講じています。

ちなみに、「農林水産省」の英語名称は、「Ministry of Agriculture, Forestry and Fisheries」で、略称は「MAFF」です。

「農林水産省」のウェブサイトのURL

http://www.maff.go.jp/

本記事は、2018年11月20日時点調査または公開された情報です。
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