はじめに
「個人情報保護委員会」は、東京都千代田区霞が関にあり、2016年に設置された日本の行政機関です。定員は、119人です。
なお、前身の組織は「特定個人情報保護委員会」でした。
今回は「個人情報保護委員会」の公務員を目指す方に押さえておいてほしい基本的な情報と役割について解説します。
「個人情報保護委員会」について
「個人情報保護委員会」は、東京都千代田区霞が関に置かれた行政機関で、長は、「委員長」です。
なお、「個人情報保護委員会」の前身である「特定個人情報保護委員会」は、平成26年に高い独立性を持つ監視・監督機関として特定個人情報の保護を図るため、各種委員会規則およびガイドライン等を策定し、特定個人情報保護評価指針の作成および公表、その周知活動等に取り組みました。
この2年後の平成28年、「特定個人情報保護委員会」は改組され、日本初の個人情報保護行政の全般を担う、独立性の高い監視・監督機関として「個人情報保護委員会」が設けられました。
「個人情報」と「マイナンバー」について補足
「個人情報」とは、個人情報保護法によって定義されたもので、「生存する個人に関する情報であって、特定の個人を識別できるもの」のことです。
そのうち、データベース化された「個人情報」は、「個人データ」と呼ばれ、そのうち事業者が開示等の権限を持ち、6ヶ月以上にわたって保有する情報は、特に「保有個人データ」と呼ばれています。
この「個人情報」に該当する情報は幅広くありますが、番号法により定義された「マイナンバー(個人番号)」を含む「個人情報」を「特定個人情報」と言います。この「特定個人情報」も「個人情報」に含まれます。
ところで、「マイナンバー制度」とは、先の「マイナンバー(個人番号)」を国民に付与することで行政を効率化し、国民の利便性を高めて公平・公正な社会を実現する新しいインフラのことです。
なお、「マイナンバー(個人番号)」を含む「特定個人情報」の利用範囲は、社会保障、税、災害対策の分野に限られており、この「マイナンバー制度」によって、きめ細かな社会保障制度が構築され、迅速な被災者支援活動に役立つことが期待されています。
「個人情報保護委員会」の役割について
「個人情報保護委員会」の役割は、独立した専門的見地から、個人情報の適性な取り扱いを確保することです。
その目的は、個人情報が適性で効果的に活用されることによって、産業の創出や活力ある経済社会、さらには豊かな生活を実現するためです。
このような「個人情報保護委員会」の主な業務は、「個人情報の利活用と保護のバランスとを考慮したルールの策定」や、「特定個人情報の適性な取り扱いを確保するための監視・監督」、「多様な観点からの検討と分かりやすい情報発信を通じた広報・啓発活動」や、「国際協力関係の構築を視野に入れた取組、幅広い専門性を確保するための多様な人事の活用と育成」などです。
さらに、「個人情報保護委員会」では、その活動方針を大きく3つの分野「個人情報保護法関係」「マイナンバー法関係」「国際協力関係」に分け、この3つに共通する取組と各分野での取組を打ち出しました。
このうち、3つの分野に共通する活動方針は、子ども向けや個人の意見を吸い上げる広報・啓発活動、相談・苦情への対応、有益な情報の発信、インシデント対応、人材育成などです。
また、活動方針の具体的な内容は、一つ目の、「個人情報保護法関係」での活動方針では、「関係機関や海外執行当局などと連携した監督活動」や「事業者からの相談の受付などの活用の推進」、「情報の提供や団体支援など認定個人情報保護団体に関する取組」が行われています。
次に、「マイナンバー法関係」の活動方針では、「監視・監督活動、安全管理措置セミナー等の実施などの地方公共団体支援」や「特定個人情報保護評価」、「独自利用事務の事例の追加の検討」なとが行われ、三つ目の「国際協力関係」の活動方針では、米国・EU・英国・その他との連携・協力が行われています。
「個人情報保護委員会」の組織構成について
「個人情報保護委員会」の内部組織の構成は、「幹部」である「委員長」「委員(8人で、そのうち4人は非常勤)」と「事務局」によって成り立っており、「委員長」および「委員」の任期は5年で再任が可能です。
なお、「個人情報保護委員会」の委員長および委員の選定については、下記に該当する人が含まれるものとされています。
「個人情報保護委員会」の委員長と委員の選定
(1)個人情報の保護および適正と効果的な活用に関する学識経験のある人
(2)消費者の保護に関して十分な知識と経験を有する人
(3)情報処理技術に関する学識経験のある人
(4)特定個人情報が利用される行政分野に関する学識経験のある人
(5)民間企業の実務に関して十分な知識と経験を有する人
(6)地方六団体の推薦する人
「個人情報保護委員会」の年間予算は約34億6,200万円
「個人情報保護委員会」の平成30年度の予算は、約34億6,200万円でした。
予算の主な内訳は、大きく下記の6つに分かれて編成されています。
(1)個人情報の保護と利活用のバランスある展開
(2)信頼されるマイナンバー制度の 推進に向けた監視監督の拡充
(3)幅広い層に向けて分かりやすく 発信する広報・啓発
(4)企業や消費者の疑問や懸念にき め細やかに対応する相談窓口 の充実
(5)国際協力の実現・実行
(6)委員会運営に必要な事務費等
この中で、(6)委員会運営に必要な事務費等は、約17億5,800万円で、次いで(2)信頼されるマイナンバー制度の 推進に向けた監視監督の拡充が約12億7,900万円で、この二つが全体の殆どを占めています。
内訳についてはこちらの予算概算要求の概要をご参考ください。
https://www.ppc.go.jp/files/pdf/171222yosan-kikouteiin.pdf
まとめ
いかがでしたか?
「個人情報保護委員会」は、日本で初めての独立性の高い監視・監督機関としてマイナンバーを含む「特定個人情報」を保護するため、個人情報の利活用と保護のバランスを考慮しながら、個人情報保護行政の全般を担っています。
ちなみに、「個人情報保護委員会」の英語名称は、「Personal Information Protection Commission」で、略称は「PPC」です。
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