世界から「審査」される日本の行刑 – 受刑者の人権について

「刑務官」が読む機関誌「刑政」(矯正協会発行、2018年8月号)に掲載された記事から興味深いものを紹介します。 今回は、「受刑者に人権と、国連人権理事会からの審査」について紹介します。執筆は、元・刑務官の小柴龍太郎氏です。

「日本政府審査」

何とも仰々しいタイトルですが、別に奇をてらうようなものではなく、文字どおり、日本政府が世界各国から審査されるという意味です。具体的には、「国連人権理事会」において国連に加盟している各国から日本の人権状況について審査されるということです。

人権というジャンルが議論されるときには、必ず拘禁されている人の人権が問題になります。不当に拘禁したり、拘禁されている人の健康を損ねたりしている国はないかということですね。

そして、拘禁されている人の代表格が受刑者です。だから、日本の受刑者の人権のことも世界中から審査されるというのが、この「日本政府審査」ということになります。

日頃忙しい「刑務官」ですが、日本の刑務所でやっていること、すなわち自分たちがやっていることを世界の人が見ているという事実を知っておくことはとても重要なことだと思います。

この「日本政府審査」は平成29年11月にスイス・ジュネーブで行われたそうなのですが、その日本政府団の一員として「刑務官」出身でもある法務省矯正局成人矯正企画官の斎藤さんが参加して発言もしたそうです。

そして、その斎藤さんがその概要を紹介する記事を書き、今回刑政に掲載されましたので、私が興味を持ったところを少し紹介します。

106の国から日本に発言

審査当日、日本は106の国からわが国の人権状況について発言があったそうです。106の国というのがすごいですね。

まあ、でも、それは日本の人権問題全般に関する発言の総数なので、そのうち日本の刑務所に関するものとなると7か国だそうですから、ずっと少なくなります。そして、その内容を抜粋すると次のようなものだったそうです。

1.死刑を廃止すべき。
2.単独室収容を厳しく制限すべき。
3.医療・歯科治療の改善
4.冷暖房設備を整えるべき。
5.栄養価の高い食事の提供

どうでしょうか?

死刑の存廃はもはや我が国では政治的な問題ですから除くとして、それ以外は「ごもっとも」と言いたくなるようなものもあるのではないでしょうか。斎藤さんはこれらの指摘に対して説明をしたそうですが、それがどのようなものだったかは分かりません。

しかしながら、こうやって国際社会から日本の受刑者たちの人権のことを定期的にチェックされるということは、長い目で見ればきっと良い方向に向かわせる力になるのだと思います。

現場にいるとなかなかこのような世界のことは分かりませんが、一応「刑務官」の職務常識として頭の片隅にでも置いておいた方がいいように思います。

同時に、現場で受刑者の人権を蹂躙するような行為をすれば、いずれこのような国際会議の場で日本政府が糾弾されるということもしっかりと理解しておくべきだと思います。「刑務官」の現場を世界は見ているのです。

(小柴龍太郎)

日本の行刑
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