MENU

アメリカの財政赤字は拡大中!アメリカ国家予算は約485兆円(2020年度)

当ページのリンクには広告が含まれています。


目次

はじめに -日本は約300兆円、アメリカは約484兆円の国家予算

みなさんは「アメリカの国家予算」がいったいどれくらいか想像が出来ますか?

日本の国家予算(一般会計と特別会計合計)は300兆円で、医療・年金などの社会保障費が増加傾向にあります。これに対してアメリカの国家予算は4兆7,400億ドル(約484兆7,700億円)です。国土や人口など国の規模が違うため、両国を単純に比較することは出来ませんが、アメリカの規模の大きさを感じさせる数字ですね。

そんなアメリカの国家予算はどのようなことに使われているのでしょうか?

今回はアメリカの国家予算の内訳や使い道、国家予算から浮き彫りになる注目すべき点などを含めて解説します。アメリカの財政事情や課題が分かる記事になっています。

日本の国家予算についての記事はこちら 》

【最新版】アメリカの国家予算 2020年度の予算は4兆ドルを超える

2019年3月、トランプ大統領は2019年10月から2020年9月までが対象となる「2020会計年度予算(予算教書)」を発表しました。それによるとアメリカの国家予算歳出総額は4兆7,400億ドル、歳入総額は3兆6,400億ドルの規模になるとしています。

前年度と比較した場合、歳出は6.0%増、歳入は4.8%増とされ、財政赤字は1兆1,000億ドル(約122兆円)で0.8%増加するとしています。歳出については、2018年度・2019年度に続いて4兆ドルの大台を超える結果になりました。これによりアメリカの政府債務残高の合計は18兆870億ドル(約2,000兆円)になり、過去最高を記録する見通しです。

一方で、アメリカ政府は今後10年間で2兆7,000億ドルの歳出削減を計画しており、2035年には財政赤字を解消するとしています。2020年度のアメリカ国家予算は歳出も歳入も共に増加し、財政赤字が拡大するという傾向が分かると思います。

アメリカの財政赤字は拡大中

アメリカの財政赤字拡大が止まりません。アメリカは2001年以降ずっと財政赤字が続いていますが、トランプ政権が始まって以降、毎年財政赤字が1兆ドルを超えていることが問題のポイントです。

言い換えると「120ヶ月を超える史上最長の好景気」を更新中のトランプ政権の影では財政赤字が拡大しているということになります。トランプ大統領は財政均衡を目指すとしていますが、その目標年度は2035年としており、仮にトランプ政権が最長の8年続いたとしてもトランプ大統領が大統領職を離れるのが2025年ですので、現政権で解消できることではありません。

アメリカの財政赤字は大きな問題であることに違いありませんが、財政赤字に対する国民の無関心、ライバルである民主党内ですら財政赤字容認の政策志向が主流化していることから、あまり大きな問題として扱われていないのが現状です。


アメリカの国家予算に財政赤字が生じることが問題なのではなく、財政赤字を均衡しようとする政党や政治家、リーダーがいないことが隠れた問題と言えるでしょう。

アメリカの国家予算の内訳には3つの軸がある

4兆7,400億ドルにもおよぶアメリカの国家予算ですが、その内訳はどのようになっているのか歳出と歳入に分けてご紹介します。

アメリカの国家予算の歳出は「義務的経費」と「裁量的経費」と「国債の利払い費」の3つが主軸になっています。なかでも「義務的経費」と「裁量的経費」のふたつが歳出の大半を占めるため、国家予算の歳出を知るうえでこのふたつを理解しておく必要があります。

アメリカの歳出「義務的経費」とは?

義務的経費とは一度法律が成立した場合、その法律で決められた内容の支出が自動的に認められるものです。例えば、公的年金、メディケア、メディケイド、失業保険、退役軍人給付金、フードスタンプ(低所得者向けの食料費補助対策)などがこれに該当します。

裁量的経費とは異なり、法律で決められた支出なので絶対に必要な「固定費」として考えると良いでしょう。ちなみに、2020会計年度の義務的経費は2兆8,410億ドルです。

アメリカの歳出「裁量的経費」とは?

裁量的経費とは毎年度、歳出予算法に基づいて予算額が決められる項目のことです。具体的には、国防費、国際活動費、教育、福祉、環境、公共投資などがこれに該当します。

義務的経費とは対照的に、アメリカが戦争をしている時などは大幅に増加することが特徴です。企業で例えるならば「流動費」と考えると良いでしょう。2020会計年度の裁量的経費は1兆4,260億ドルです。

アメリカの国家予算の「歳出」の内訳(2017会計年度)

では、アメリカの国家予算が具体的にどのように配分されたのか、公表されているものの中で最も新しい2017会計年度をもとにご紹介します。また、それぞれの項目が2020会計年度予算ではどのような扱いになっているかも合わせてご紹介します。

【1】国防関係費(裁量的経費):14.8%
国防関係費には人件費、行動作戦費、装備品調達、研究開発費などが該当します。この中には戦闘機の購入やNASAの宇宙開発や宇宙探査システムに関連する予算も含まれています。主に国防総省や退役軍人省、航空宇宙局などに分配されます。

2020会計年度予算では前年度比5%増の7,500億ドルを要求しており、国家予算の計画を通じてロシアや中国、イスラム過激派に対抗する姿勢を明確にしました。国防関係費は常に戦争をしているアメリカにとって削減したくても出来ない予算と言えるでしょう。

【2】非国防関係費(裁量的経費):15.3%
非国防関係費にはメキシコとの国境に建設する壁の建設費や、地球温暖化対策など外交に関連する経費が該当します。主に国土安全保障省、国務省、運輸省、環境保護局などに分配されます。

2020会計年度予算では国防関係費が増えた分の5%が削減されることになっています。なかでも環境保護局は前年比31%の削減、エネルギー省は11%削減されており、地球温暖化問題や環境問題に関心がないトランプ政権らしい予算配分になりました。一方で、国境関連予算は増加しており、壁の建設、税関国境警備局や移民税関執行局の職員の増員に86億ドル使われる予定です。

【3】社会保障(義務的経費):23.6%
社会保障は公的年金、医療や公衆衛生などアメリカ国民の健康と福祉に関連する社会サービスが該当します。主に社会保障庁や労働省に分配されます。2020会計年度予算では大幅増の30%を予定しており、日本同様にアメリカも社会保障の拡大が続いています。

【4】メディケア(義務的経費):14.9%
メディケアは65歳以上の高齢者や障がいを持つ人、透析や移植を必要とする重度の腎臓障害を持つ人を対象とした連邦政府が運営する社会保障プログラムです。保健福祉省に分配されます。

2020会計年度予算ではメディケアやメディケイドなどの支出は削減される予定でしたが、結果的に前年度比2.3%増の2兆8,410億ドルが計上されました。メディケアやメディケイドは社会保障と合わせるとアメリカの国家予算の半分以上を占める計算になり、毎年増加している分野です。


これらの財源を確保するために税金や保険料が上がり、反発する中間層以上の人が弱者救済に抵抗する悪循環を生んでいます。これがアメリカの貧困格差の遠因になっているのです。

【5】メディケイド(義務的経費):9.4%
メディケイドは低所得者向けの医療保険制度で、連邦政府と州政府によって運営されている医療給付制度です。保健福祉省に分配され各州政府が独自のルールで使用します。

【6】その他(義務的経費):22%
その他には利払い費、所得保障、退役軍人給付金、交通、司法などが含まれ、財務省、司法省、内務省など各担当省庁に分配されます。

アメリカの国家予算 歳入の内訳

次にアメリカの国家予算の歳入についてご紹介します。歳入の大半は個人所得税で、その他に法人税、社会保障、消費税、関税などがあります。歳出同様に2017会計年度をもとにご紹介します。

【1】個人所得税:47.9%
アメリカ国家予算の歳入の大半は個人所得税です。2020会計年度予算では歳入の50%が個人所得税になるとされており、個人からの直接税によって賄われていることがよく分かります。

【2】法人税:9.0%
歳入の中で唯一減少傾向にあるのが法人税です。2020会計年度予算では6.6%まで減少するとされていますが、この理由はトランプ大統領が2017年に実施した連邦法人税の減税が影響しています。これまで35%だった法人税が21%になり、2018年からの10年で5兆9,000億ドルも歳入が落ち込む試算です。

【3】社会保障:35.0%
歳入の中で個人所得税の次に大きいのが社会保障税や高齢者向け医療保険税などの社会保障です。2020会計年度予算では36.2%まで増加する見通しですが、歳出の方が圧倒的に大きいため社会保障は歳出、歳入ともに国家予算の悩みの種とされています。

【4】その他:8.1%
その他には消費税、関税、贈与税などが該当します。この項目は毎年8%前後で推移しており大きな変動がありません。アメリカでは消費税は各州によって課税されているため、連邦政府の主な財源になっていないことが特徴です。

まとめ – つづくアメリカの財政赤字

ご紹介したようにアメリカの国家予算は歳入よりも歳出の方が多い「財政赤字」の状態です。

主な歳出として社会保障、メディケア、メディケイドなどの義務的経費が占めていることが特徴で、今後の課題になることは間違いありません。また、トランプ政権では国防費などの裁量的経費が増加した反面、外交や環境問題、海外援助などの予算が大幅に削られています。

これからのアメリカは国家予算を圧迫し続ける社会保障の補填をはじめ、国防費の削減、そして無関心が続いている財政赤字の均衡など課題は山積みです。アメリカの国家予算の枠組みがどのように世界へ影響を与えるかも含め注視しておきましょう。

日本の国家予算についても是非確認ください!それではまた!

[sitecard subtitle=関連記事 url=https://koumu.in/articles/864 target=self]

本記事は、2020年3月12日時点調査または公開された情報です。
記事内容の実施は、ご自身の責任のもと、安全性・有用性を考慮の上、ご利用ください。

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

この記事を書いた人

公務員総研の編集部です。公務員の方、公務員を目指す方、公務員を応援する方のチカラになれるよう活動してまいります。

コメント

コメント一覧 (1件)

  • アメリカについて知らなかったことが載っていました。アメリカの財政赤字が拡大していることや社会保障が悩みであることだったり、いろいろな問題があるのだなと思いました。

コメントする

目次