「日本銀行」は日本の「中央銀行」
「日本銀行」は日本の「中央銀行」です。中央銀行とは、国家や特定の地域の金融の中心的な役割を担う銀行のことです。
日本銀行の3つの役割
この「日本銀行」が中央銀行とされているのは、紙幣を発行する「発券銀行」としての役割と、政府のお金を預かり管理する「政府の銀行」としての役割と、一般的な市中銀行にお金を貸すなど、「銀行の銀行」という大きく3つの役割があるためです。
ただし、「日本銀行」は政府機関ではなく、法律によって設置される「認可法人」です。そのため「日本銀行」の資本金は1億円と定められており、その55パーセント以上を政府からの出資、他の45パーセント弱は民間等からの出資で構成されています。
「日本銀行」は、政府の外部で通貨の発行や調整をすることによって、物価や金融システムの安定を図り、国の経済の成長に貢献しています。
日本銀行の基本的な役割1:紙幣の発行 → 発券銀行
「日本銀行」は日本で唯一、紙幣を発行できる銀行です。お札に「日本銀行券」と書いてあるのはこのためです。
ちなみに、硬貨については国が発行しているという立場のようです。
日本銀行の基本的な役割2:政府の銀行
「日本銀行」は政府の銀行として、税金や国債の購入金など、政府の収入を預かり、公務員の給料や、公共事業の支払いでお金が必要になった際には出金に応じています。
また、政府が必要としている分の国債の発行や、外国為替の決済も行います。
日本銀行の基本的な役割3:銀行の銀行
「日本銀行」は、銀行の銀行としての役割も担っています。具体的にどういうことをしているかというと、市中の一般的な銀行にお金を貸したり、預かったりしています。
市中銀行は、顧客から預かったお金を「日本銀行」に預けることで、金利を増やすことができます。
また、市中銀行は「日本銀行」からお金を借りることで、顧客に貸し出せる現金を用意することができます。
市中銀行としては、「日本銀行」から借りるよりも高い金利で、お客さんにお金を貸すことで、その差額を利益にすることができるので、積極的に顧客に融資ができるようになるのです。
「日本銀行」の組織について1:銀行のトップ「日銀総裁」について
「日本銀行」のトップである日銀総裁は、新日本銀行法によって、6ヶ月に1回程度、国会に報告書を提出し、その説明のために国会に出席し必要であれば答弁するよう定められています。
現在の第31代日銀総裁は元財務官僚の経歴を持つ黒田東彦氏です。2013年に日銀総裁に就任し、現在は2期目を務めており、任期は2023年の4月8日までの予定です。日銀総裁を2期連続で務めることは珍しく、1956年に就任した20代目の山際氏以来のことのようです。
「日本銀行」の組織について2:全国にある「日本銀行」の支店など
「日本銀行」の本部は東京にありますが、全国32ヶ所に支店があるほか、事務所や電算センター、発券センター、海外駐在事務所など、さまざまな勤務地があります。
各支店では、発券や地方銀行との取引のほか、地方経済の状態や、地域の金融機関の経営状況などを調査・把握する機能があります。
「日本銀行」の組織について3:「日本銀行」の職員は公務員ではありません
「日本銀行」は「認可法人」であるため、「日本銀行」の役職員は公務員ではありません。
しかし、その業務内容は非常に公共性が高いことから、日本銀行法によって、役職員の身分は「法令により公務に従事する職員とみなす」とされているようです。
そのため、公務員が対象となる収賄罪などの罪が適用されます。
▼参考URL:日本銀行「日本銀行 その機能と組織」
https://www.boj.or.jp/announcements/education/boj_pamphlet.htm/
「日本銀行」と政府の関係
「日本銀行」は政府の銀行として、日本銀行法などの法律に基づいて国の資金の管理や事務を行なっています。
ただし、「日本銀行」が直接政府にお金を貸したり、国債を買ったりすることは、財政法で禁止されています。
あくまでも「日本銀行」は、政府機関ではなく、法律に基づいた認可法人のひとつです。政府との関係は「独立性」と「透明性」という「日本銀行」の理念にのっとって活動することになっています。
それぞれの国の金融政策については、政府から独立した中央銀行の中立的で専門的な判断に任せるのが適当であるとの考え方が世界的にも広まっているため、日本でも「日本銀行」が判断する金融政策については、法律によって、独立性が確保されています。
「日本銀行」は政府の銀行ではありますが、あくまでも独立した機関として一定の距離を持った関係性を保っているということをおさえておきましょう。
▼参考URL:日本銀行「日本銀行の「独立性」と「透明性」―新日本銀行法の概要」
https://www.boj.or.jp/about/outline/expdokuritsu.htm/
「日本銀行」は日本の国債の半分近くの債権を保有している
「日本銀行」は国から直接国債を引き受けることは禁止されていますが、実際には多くの国債を保有しています。
財務省の発表によると、令和1年12月時点で「日本銀行」は日本の国債の46.8パーセント、つまり半数近くを保有しているとのことです。
▼参考URL:財務省「国債等の保有者内訳」
https://www.mof.go.jp/jgbs/reference/appendix/breakdown.pdf
「日本銀行」が保有している国債は、新規発行分ではなく借り換え分
ただし、その年に新規発行された国債を、「日本銀行」が直接国とやり取りすることは通称「日銀引き受け」などと言われますが、法律で禁止されています。
これは「国債の市中消化の原則」という決まりによるものであり、国債は市中銀行など、市場に購入してもらうような制度になっています。
ではなぜ、「日本銀行」が国債の債券を多数保有しているのかというと、償還期限が来た国債について、借り換えが認められているためです。
例えば、市中の銀行が持っていた国債が満期になり、国に元本の返金を求めた時に、「日本銀行」は国の代わりに満期の債券を引き受けることができます。国は、市中銀行に借金していたところから、「日本銀行」に借金を借り換えした、という状態となります。
このように、「日本銀行」は借り換えられた国債を保有する役割を担っています。
まとめ
このページでは、日本の国債の約半分を保有している「日本銀行」がどのような役割を担う機関なのか、その組織についても解説しました。
「日本銀行」は国の唯一の発券銀行や、政府の銀行、銀行の銀行として、日本の金融システムの安定化を図り、政府とは独立した立場での金融政策によって、物価を安定させるなどの機能を持っています。
また、「日本銀行」は国に直接お金を貸したり、国債を取り引きすることが禁じられていることもご紹介しました。
それにも関わらず「日本銀行」が国債の全発行数の半分を保有しているのは、直接国と取引しているのではなく、市中銀行を介して、借り換え先として間接的、二次的に取引しているという仕組みであるためです。
今回は、政府と関係性は近いけれど、独立した組織という立ち位置である「日本銀行」の役割や組織について解説しました。
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