法人税について - 公務員総研の税金解説第2回

公務員総研の税金解説シリーズ、第2回は「法人税」についてです。「法人税」とは、法人が事業を通して得た所得に対して課される税金です。

本記事は「法人税」について詳しくまとめました。


はじめに - 法人税の概要

「法人税」は、国に納める国税で、直接税であり、所得に課される税金(所得課税)です。

税金解説シリーズ第2回である今回は、「法人税」とは?をテーマに、法人税が課される法人・課されない法人についてや、所得税との比較などを解説します。

税金の分類

・どこに収めるか:「国税」と「地方税」
・誰が納めるか:「直接税」と「間接税」
・何に対して納めるか:「所得課税」と「消費課税」と「資産課税」

このうち「法人税」は、「国税」であり、「直接税」であり、「所得課税」に分類されます。

税の分類については、》日本の「税金」についてもご参考ください。

「法人税」とは?

「法人税」とは、法人が事業活動を通して得た所得に対してかかる税金のことであり、納める税率は会社に規模によって異なります。ただし、収益や利益があっても、課税の対象にならない法人もあります。

課税の対象になる法人

「普通法人」

課税の対象になる法人の1つ目は、「普通法人」です。普通法人とは、株式会社や有限会社等のことを指します。

普通法人の一覧

・株式会社
・有限会社
・合名会社
・合資会社
・医療法人
・相互会社
・企業組合
・労働組合や管理組合など
・日本銀行

「協同組合」

課税の対象になる法人の2つ目は、協同組合です。農協(農業協力組合)や労協(労働者協同組合)、信用金庫などが該当し、組合活動で得た全ての所得に対して、法人税がかかります。ただし、「普通法人」よりも税率が少ないのが特徴です。

協同組合の一覧

・農業協同組合
・信用金庫
・労働者協同組合
・漁業協同組合
・生活協同組合

課税の対象にならない法人

「公益法人」

法人でも、課税の対象にならない法人もあり、その1つが「公益法人」です。公益法人には、例えば「宗教法人」や「学校法人」などが該当します。


なぜ法人税が課されないかというと、公益法人は普通法人などと違い営利目的の法人ではなく、宗教、慈善、学術など、公益が目的の組織だからです。

公益法人の一覧

・社団法人
・財団法人
・宗教法人
・学校法人
・社会福祉法人

「公共法人」

課税対象にならない法人の2つ目が、国や地方公共団体が運営する「公共法人」であり、法人税法第4条第2項の規定によって、法人税の納税義務が免除されています。

公共法人の一覧

・地方公共団体
・国民金融公庫
・住宅整備公団
・都市整備公団
・住宅金融公庫
・日本道路公団
・国立大学法人
・日本放送協会

「人格のない社団」

課税対象にならない法人の3つ目が、「人格のない社団」であり、学校のPTAや実行委員会などが該当します。これらの団体は、基本的に営利を目的としないので、法人税は非課税です。

人格のない社団の一覧

・PTA
・同窓会
・実行委員会

「法人税」と「所得税」の比較

次に、「法人税」と「所得税」を比較します。

個人の所得に対して課税されるのが「所得税」、法人の所得に対して課税されるのが「法人税」であり、両社の性質は似ていますが、税率が異なります。このことは、会社に勤務しているサラリーマン等は関係しませんが、個人事業主やフリーランスには大いに影響があります。

個人事業主やフリーランスは、自分が得た所得に対して「所得税」を納めますが、所得税は累進課税制なので、所得が増えれば納める税金も増えます。よって、個人事業での利益が多い場合、法人化した方が節税になる可能性があります。

もちろん法人化すれば、個人事業主のときには払わなかった「地方法人特別税」「法人事業税」「法人住民税」などが課せられる上に、法人を設立する上で様々な費用も発生し、会計管理や事務処理も比べ物にならないほど煩雑になります。法人化は、これらのメリット・デメリットを考慮したうえで判断する必要があります。

「法人税」は定期的に見直しされる

法人税は、法人が事業活動を通して得た所得に対して課される税金ですが、定期的な見直しによって、「法人税」はここ30年ほど、徐々に減少しています。

平成元年の法人税の基本税率は40%でしたが、2019年には、23.4%まで引き下げられました。

この「法人税の引き下げ」の理由は様々ですが、徴収する税金を少なくすることで企業の資金が増え、投資が活発になったり個人の給料が上がり、採取的には日本の経済が活性化するという考えが影響しているといわれています。

まとめ

以上、「法人税」についてでした。


法人税に関しては、「会社を経営しているわけでもないから関係ない」と考える人も多いでしょう。しかし、経済学者の中には「法人税の引き下げと消費税の引き上げは関連している」と唱える人もおり、法人税を納めていない人にとっても、全く無関係の税金とは言い切れません。

ぜひ、今回の記事を通して、「法人税」に対する知識を深めてください。

参考資料・参考サイト

財務省|もっと知りたい税のこと
https://www.mof.go.jp/tax_policy/publication/brochure/zeisei3006/

国税庁|法人税
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/hojin/houjin.htm

国税庁 | 法人税の税率
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/hojin/5759.htm

電子政府の総合窓口(e-Gov)|法人税法
https://elaws.e-gov.go.jp/search/elawsSearch/elaws_search/lsg0500/detail?lawId=340AC0000000034

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本記事は、2020年8月21日時点調査または公開された情報です。
記事内容の実施は、ご自身の責任のもと、安全性・有用性を考慮の上、ご利用ください。

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