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酒税について - 公務員総研の税金解説第11回

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目次

はじめに - 酒税の概要

「酒税」は国に治める国税で、間接税であり、物品の消費やサービスの提供などに対して課される消費課税です。

税金解説シリーズ第11回は、「酒税」について、納税義務者は誰なのか、どのような商品にどの程度の割合で課税されるのかについて解説します。

税金の分類

・どこに収めるか:「国税」と「地方税」
・誰が納めるか:「直接税」と「間接税」
・何に対して納めるか:「所得課税」と「消費課税」と「資産課税」

このうち「酒税」は、「国税」であり、「間接税」であり、「消費課税」に分類されます。

税の分類については、》日本の「税金」についてもご参考ください。

「酒税」とは?

「酒税」(しゅぜい)とは、酒類に対して課される税金であり、酒税法に基づいて定められた日本の税金です。酒類は食料品のような生活必需品とは違い、いわゆる「嗜好品」であるとして、日本では「酒税」を課しています。

もちろん酒類を購入すれば「消費税」も発生しますので、酒類を購入する際、私たちは「酒税」と「消費税」の両方を負担していることになります。

キーワードチェック:酒類

酒税法において、酒類とは、アルコール分1度以上の飲料(飲用に供し得る程度まで水等を混和してそのアルコール分を薄めて1度以上の飲料とすることができるものや水等で溶解してアルコール分1度以上の飲料とすることができる粉末状のものを含みます。)をいいます。ただし、アルコール事業法の適用を受けるもの(同法の規定する特定アルコールを精製し又はアルコール分を90度未満に薄めたもので、明らかに飲用以外の用途に供されると認められるものを含みます。)や医薬品医療機器等法の規定により製造(輸入販売を含みます。)の許可を受けたアルコール含有医薬品・医薬部外品などは酒税法上の酒類から除かれます。

▼参考URL:国税庁|お酒に関するQ&A(よくある質問)
https://www.nta.go.jp/taxes/sake/qa/01.htm

「酒税」の納税義務者は誰か?

次に、「酒税」の法税義務者は誰なのかという点について解説します。

前述したように、酒類を購入するときに私たちは「消費税」と「酒税」を支払っているので、実際に金銭を負担しているのは私たち酒類消費者です。ですが、「酒税」は間接税であり、私たちは間接的に金銭を負担しているにすぎません。


もしくは、「酒税」を支払っているのは酒類を売った小売店(スーパーや酒店等)と思われる場合も多いようですが、これも違います。

酒税法で定められた「酒税」の納税義務者は、消費者でも小売店でもなく「酒類の製造者」と「酒類を外国から輸入した者」です。工場から酒類が出荷されたり、海外から酒類を輸入した際に、「酒類の製造者」や「酒類を外国から輸入した者」が、酒類の品目やアルコール度数に応じた税率を支払っています。

「酒税」はいくらか?

では、具体的に「酒税」はいくらなのでしょうか。

一口に酒類といっても、品目やアルコール度数によって課せられる税金は異なります。酒税法では、酒類を「発泡性酒類」「醸造酒類」「蒸留酒類及び混成酒類」の4種類に分類し、この分類ごとに税率を定めています。

さらに、上記4種類に分類された酒類は、さらに17品目の酒類に区分されています。これら酒類の具体的な税率は、国税庁の公式ホームページ「酒税率一覧表(平成 18 年5月1日~)」をご参照ください。

▼参考URL:国税庁|酒税率一覧表(平成18年5月1日~)

具体例:ビールや発泡酒1本にかかる酒税はいくら?

ビールや発泡酒を例に、酒税がいくらかをみていきましょう。

ビール350ml当たりの酒税は、2020年8月現在で、77円です。発泡酒は47円、その他の発泡性酒類(第3のビールと呼ばれる「ビール風味の発泡アルコール飲料」や「チューハイ」「サワー」など)は28円です。

2020年10月、酒税法改正

上記の値段は2020年8月現在のものですが、2020年10月より酒税法が改正されることが決定しています。

現在、「ビール」「発泡酒」「その他の発泡性酒類」で税率が異なる酒税ですが、この税率が2020年10月、2023年10月、2026年10月の3段階を経て、最終的に税率約55円に統一されます。

・2020年10月
「ビール」の税金が少し下がり、「その他の発泡性酒類」の税金が上がります。

・2023年10月
「ビール」の税金がさらに下がり、「その他の発泡性酒類」は「発泡酒」に統合されて、税金が上がります。

・2026年10月
「ビール」「発泡酒」「その他の発泡性酒類」のすべてが「発泡性酒類」に統合され、酒税は約55円に統一されます。

酒類メーカーとの酒税の攻防戦に終止符か?

日本には、「ビール」「発泡酒」「第3のビール」と大きく3つのビールジャンルが存在し、それぞれに税率が異なります。

発泡酒や第3のビールがなぜ誕生したかといえば、ビール製造メーカーがビールに似ていて、より税率の低い酒類を開発したためです。しかしそれらの商品の消費が増えると、増税対象にされ、再びビールに似た商品を開発する、財務省とビール業界のいたちごっこが繰り返されてきました。


今回の酒税法改正でビールジャンルの酒税が統一されれば、この攻防戦に終止符が打たれるかもしれません。

まとめ

以上、「酒税」についてでした。

酒類は確かに嗜好品であり生活必需品ではありませんが、時として私たちの生活を豊かにしてくれるものです。普段酒税について「ビールは高いな」「発泡酒は安いな」程度にしか意識しないかもしれませんが、この記事を通して、ぜひ酒税に対する理解を深めてください。

参考資料・参考サイト

財務省|Q&A ~身近な税について調べる~
https://www.mof.go.jp/tax_information/qanda010.html

国税庁|お酒についてのQ&A
https://www.nta.go.jp/taxes/sake/qa/01.htm

国税庁|酒税率一覧表(平成 18 年5月1日~)
https://www.nta.go.jp/taxes/sake/qa/01/03.pdf

国税庁|酒税法等の改正のあらまし
https://www.nta.go.jp/taxes/sake/kaisei/aramashi2017/index.pdf

電子政府の総合窓口(e-Gov)|酒税法
https://elaws.e-gov.go.jp/search/elawsSearch/elaws_search/lsg0500/detail?lawId=328AC0000000006

公務員総研の税金解説シリーズ一覧

本記事は、2020年9月13日時点調査または公開された情報です。
記事内容の実施は、ご自身の責任のもと、安全性・有用性を考慮の上、ご利用ください。

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この記事を書いた人

公務員総研の編集部です。公務員の方、公務員を目指す方、公務員を応援する方のチカラになれるよう活動してまいります。

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