政府事業検索サイト「JUDGIT!」とは
「JUDGIT!」は政策シンクタンクの構想日本、日本大学文理学部情報科学科の尾上洋介研究室、Visualizing.JP、ジャーナリズムNGOワセダクロニクルという、4つの団体及び個人によって共同運営されているサイトです。
サイトのトップページにある検索ボックスに、政策として展開されているような気になる言葉を入力して検索すると、政府が行なっている、または過去に行った事業と予算などが一覧になって出てくるような仕組みになっています。
例えば、「オリンピック」と入力すると、「府省庁」ごとに事業が表示され、「会計区分」や「主要施策」、そして「予算最小額の桁数」が表示されるようになっています。
▼参考:「JUDGIT!」
https://judgit.net/
「JUDGIT!」の検索メニュー
「JUDGIT!」では、知りたいこと別に4通りの詳細な検索方法が用意されています。
その4通りというのは、「行政事業検索」「主要支出先検索」「府省庁検索」「主要施策別検索」です。
「行政事業検索」は、既に調べたい行政事業が決まっている時におすすめの検索方法で、「検索キーワード」に事業名を入れて、複数出てきた場合には絞り込み機能を利用して調べる方法です。
「主要支出先検索」では、府省庁や地方自治体、各種団体など、国の予算が支払われた先ごとに、金額と事業件数がまとまって表示されます。どの組織にどのくらいの予算が使われているのかを知りたい時におすすめです。
「府省庁検索」では、府省庁ごとの予算と執行状況をグラフで確認することができます。総支出額のうち、前年度からの繰越がどのくらいあったのかも知ることができます。
「主要施策別検索」では、例えば「地方創生」や「2020年東京オリパラ」など、国や自治体が政策で扱っている内容を検索すると、それに関連した政策を省庁をまたいで横断的に検索できるだけでなく、予算の配分も知ることができます。
またトップページでは直感的にどこにどのような予算が注ぎ込まれているのかがわかるよう、タテ軸が「府省庁」でヨコ軸が「主要施策」、丸の大きさで予算の金額を表すグラフも表示されています。
これを見ると、例えば「科学技術・イノベーション 」関連の施策に多くの省庁で予算がついていることがわかります。
「JUDGIT!」を提供する政策シンクタンク「構想日本」とは?
「JUDGIT!」を提供しているのは、非営利の政策シンクタンク「構想日本」です。シンクタンクとは、「頭脳集団」とも訳され、政治や経済、科学技術など、専門分野についての課題解決策を研究する機関です。
シンクタンクには大きくは主に政策を扱う政府系と、経営のコンサルティングを行う民間系の2つに分かれています。政府系シンクタンクは、外務省の下部組織である公益財団法人日本国際問題研究所のように省庁の傘下にある非営利のシンクタンクです。
民間系シンクタンクは、主に金融系の企業が設立していることが多く、提案先も民間企業ということが多いようですが、官公庁に対して提案する場合もあります。
「構想日本」は1997年に元大蔵省の官僚、加藤秀樹氏によって設立された政策シンクタンクですが、一般社団法人として「非営利」で「独立」している組織だと主張していますので、政府に対して提案を行う民間シンクタンクのひとつと言えます。
そのため政党や政治家、企業などの誰からの権力の影響もなく、正面からモノが言えることを強みとしているようです。
「構想日本」では“集めよう、現場力”をスローガンに、現在は約450名の個人会員と、約40社の法人会員が参加が公表されています。
▼参考:構想日本ホームページ
http://www.kosonippon.org/
「事業仕分け」も「構想日本」の政策提言から生まれた!
2009年に話題となった国の「事業仕分け」という、行政事業の見直し作業も、もともとは「構想日本」が開発したものでした。
当時の民主党政権でのみ行われていた印象がある「事業仕分け」ですが、現在の自民党政権下でも名称を変えて同様の手法が取り入れられており、一部の省庁などで定着しているようです。
そのほか、通称「橋本行革」と呼ばれる1府22省庁が1府12省庁に再編された改革につながる提言や、最近話題の「ふるさと住民票」の取り組みをスタートさせたのも、「構想日本」の業績の一部です。
日本の国家運営を担う「省庁」の一覧と説明ページです。ここでは、省庁の説明から「1府12省庁」の各組織内容や役職などの基本的な内容を解説します。
まとめ
このページでは、政府が税金をどのように使っているのかを、一般の国民が簡単に知ることができる検索サイト「JUDGIT!」と、そのサイトを開発した政策シンクタンクの「構想日本」という機関についてご紹介しました。
日本の政策は、官僚が考えているだけでなく、「構想日本」のような政策シンクタンクと呼ばれる政策研究所が企画・立案していたものも多くあるようです。公務員になる方は、民間政策シンクタンクや、政策コンサルタントと呼ばれる民間の研究機関の知恵を借りて仕事を進めることもあります。
また、シンクタンクには「構想日本」の加藤代表のように、元公務員だったという経歴の方も少なくありません。元公務員だからこそ「JUDGIT!」のような、政策にかけられる予算について事業ごとに検索できるサイトの設立のような発想が浮かぶのかもしれません。
このような行政の事業を冷静に第三者の視点で観察するという作業は、独立した非営利組織だからことできると言えます。国のためになる仕事には、公務員だけでなく、民間の政策シンクタンクのような機関に所属する・立ち上げるといった方法もあることを知っておくと良いでしょう。
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