2020年夏、安倍総理の辞任をアメリカのメディアはどう伝えた?

2020年8月28日(日本時間)、日本の総理大臣である「安倍内閣総理大臣」が持病の悪化を理由に総理大臣の職を辞任することを表明しました。安倍総理は2012年12月26日に総理に再就任し、歴代総理大臣の中で最も長く務めました。

今回は、安倍総理の辞任に関するアメリカメディアの反応について、アメリカ在住の日本人にレポートいただきました。

はじめに - アメリカでも反響を呼んだ安倍総理の辞任

アメリカ時間の2020年8月27日夜、日本の安倍総理大臣が辞任するというニュースが飛び込んできました。

同じ時間帯には共和党大会が開かれており、トランプ大統領による指名受諾演説が終わったばかりでした。多くのアメリカメディアは、トランプ大統領の演説を最優先で報道しましたが、安倍首相辞任のニュースを速報として報道しました。

なかには共和党大会の報道よりも大きく扱うメディアもあり、安倍首相の辞任はアメリカでも大きな反響を呼んでいます。

そこで今回は、安倍首相の辞任がアメリカでどのように伝えられたのかや、アメリカ国内での反応について、アメリカ在住の筆者目線でご紹介します。

安倍総理大臣辞任についての「アメリカ主要メディア」の報道

安倍首相辞任に関するニュースをアメリカの主要メディアがどのように伝えたのか、メディアの特性や内容を交えてご紹介します。

安倍総理大臣辞任についての「Fox News」の報道

共和党寄りの報道で知られているFox News(フォックスニュース)は、(安倍総理大臣の辞任は世界情勢のひとつとして今回のニュースを報じています。

報道の位置づけとしては共和党大会、ウィスコンシン州で起きた警察官による黒人男性銃撃事件の続報、ワシントンD.C.で行われている人種差別問題の抗議デモ、フランスでマスク着用義務化、ロシアの毒殺未遂事件に次ぐ順番です。

報道のなかで、安倍首相には持病による懸念があったことや、2007年にも同じ理由で辞任していることが紹介されています。また、「gut-wrenching(断腸の思い)」という言葉と、唇を噛んでうつむく安倍首相の写真を掲載しています。

一方で、メディア調査の結果として、後任候補に石破茂氏の名前を先に挙げ、次いで岸田政調会長、河野防衛大臣、菅義偉官房長官、そして西村康稔経済再生担当大臣らを紹介しています。

また、安倍首相はパンデミック下で苦戦していたことや、憲法改正に失敗したこと、そして北朝鮮やロシアとの平和条約署名の目標を達成できなかったと指摘しています。

トランプ大統領とは強い関係を築いたとしているものの、安倍首相のナショナリズムが中国や韓国を起こらせたとまとめています。

同サイトに寄せられたコメントは非常に友好的で、回復を祈る声や悲しみの声、素晴らしい友人だという声が目立ちます。安倍首相は共和党支持者からは概ね高評価を受けていたと言えるでしょう。

安倍総理大臣辞任についての「Wall Street Journal」の報道

共和党寄りメディアとして知られるWall Street Journalは、国際欄のトップで今回のニュースを報じました。

安倍首相とトランプ大統領の親密さを強調するような内容で、2人がゴルフを楽しんだ仲であることや、40回以上にわたって会談を実施したこと、そして2016年の大統領選でトランプ氏が当選して安倍首相が真っ先に駆けつけたエピソードなどが紹介され、嫉妬されるほどの仲だったとしています。

また、両者の良好な関係によって、日本はトランプ大統領の怒りを買うようなことはなかったとあり、日本とアメリカには強い連携があったと強調しています。

日本の防衛力強化、失業率の低下、自由貿易協定などの成果を挙げたと紹介する一方、憲法改正、北方領土返還、拉致被害者問題を解決できなかったと指摘しています。

後継者問題についても触れており、トランプ大統領と良好な関係を構築できるかが問題としたうえで、石破茂氏が有力と報じています。流暢な英語を話す河野太郎防衛大臣や、岸田文雄氏らの名前も挙げています。

安倍首相が、日本の自衛隊がアメリカ軍に一層協力できるように法律を変えたことや、アメリカからF-35戦闘機の大量購入を決定したとし、アメリカの利益に寄与した人物であることが強調されています。

新型コロナウイルス対策では、不平等な対応で批判を受けたとし、安倍首相が「失敗だった」と述べたと紹介しています。しかし、感染者数や死者数、失業率などは他国よりも良い状態にあると付け加えています。

同紙は安倍首相がアメリカに貢献したことや、トランプ大統領と密接な関係を築いていたとしており、FOX Newsと同様に概ね好意的な報道と言えるでしょう。安倍首相の活躍について、どのメディアよりも詳細に報じていることも特徴です。

安倍総理大臣辞任についての「CNN」の報道

反トランプ政権のメディアとして知られるCNNは共和党大会、警察官による黒人銃撃事件に次いで今回のニュースを報じています。

安倍首相による記者会見の詳細なコメントを紹介し、歴代最長の在職期間だったことや、株式相場がマイナス反応を示したこと、アベノミクス、オリンピック招致、働き方改革、女性の社会進出などの取り組みを紹介しました。

アベノミクスに対する評価は厳しく、在職中の日本経済は脆弱で、景気後退を深めたと指摘しています。また、先進国の中で債務対GDP比が最も高いという事実に対応していないことにも触れています。

働き方改革については、性格差の解消など女性が社会へ進出するための問題を解消できずに終わったとしており、安倍首相の取り組みには辛口な評価が並びます。

一方で、安倍首相の辞任を受けてコメントを寄せた他国のリーダーたちの声を紹介し、国際社会からは信頼を得ていたことを紹介しています。

安倍総理大臣辞任についての「CBS Newsの報道」

アメリカ3大ネットワーク(CBS、ABC、CBS)のひとつで、民主党寄りとして知られるCBS Newsは、翌日になって今回のニュースを報道しました。

国際ニュースのひとつとして取り上げており、世界で3番目に大きな経済国の衝撃的な発表(The bombshell announcement)と伝えています。

歴代最長の在職期間の首相になったばかりと触れたうえで、少年期から持病を抱えていたことや、直近で検査を受けていたことなどを紹介しています。

財政刺激、金融緩和、構造改革などを組み合わせたアベノミクスによって、停滞していた経済を復活させると誓ったものの、安定性と長期的な政策を欠いた「回転ドア政治(revolving door)」の時代だったとしています。(大臣や要職が頻繁に変わる意味と見られる)

CBSの報道は、CNN同様に少し厳し目の評価が目立つ内容と言えます。トランプ大統領との関係性や、日米関係について触れていないことが特徴的です。

安倍総理大臣辞任について、アメリカ政府の反応

次にアメリカ政府はどのような反応を示したのか主な声をご紹介します。

トランプ大統領の反応

安倍首相が辞任の意向を発表した翌日、記者団に対して「偉大な友人で、とても良好な関係だった」としたうえで「最大の敬意を表したい」とコメントしました。

また、「辞任は非常に辛い選択だっただろう、とても残念だ」と述べ、後日電話会談を通して労いの言葉をかける予定です。

トランプ大統領に近いホワイトハウス高官は、大統領が世界のリーダーで最も良好な関係を築いているのは安倍首相だったと話すほど、両者の関係は親密だったと言われています。

ジョー・バイデンの反応

オバマ政権時代に副大統領を務めて、安倍首相とも関わりがあったバイデン氏は、自身のTwitterで「安倍首相の友情と指導力に敬意を表する」としたうえで「(安倍首相が)退くことは悲しいが、両国および人々の強力な関係は今後も続く」と述べました。

また、同ツイート上では「早く健康になることを祈っている、友よ」と締めくくっており、アメリカ前政権でも信頼を得ていたことがうかがえます。

ホワイトハウスの反応

アメリカ政府高官は28日の記者会見で「素晴らしい指導力に感謝する。トランプ大統領と共に日米同盟をこれまでにないほど強くしてくれた」と述べました。

また、日本政府が取り組んだ「自由で開かれたインド太平洋構想(FOIP)」において、安倍首相とトランプ大統領の連携が大きな進展をもたらしたとしました。

後任についても触れ、「両国の関係を一層強化し、同じ目標に向けて進めることを期待する」とまとめています。アメリカ政府高官からの評判も高いことがよく分かるコメントです。

まとめ

以上、「安倍総理の辞任をアメリカのメディアはどう伝えた?」でした。

アメリカのメディアはそれぞれで政治スタンスがあるため、日本のNHKやイギリスのBBCのように国営で中立というメディアはありません。

アメリカの現政権(共和党)寄りのメディアは安倍首相に好意的で、民主党寄りのメディアは少し辛口な報道だった印象です。しかし、アメリカの主要メディアがこぞって報道したことは、それだけ安倍首相の存在が国際社会で大きな存在であったことの現れと言えます。

アメリカでは日本の首相の後任選びにも目が向けられているため、こちらの報道にも注目したいところです。

本記事は、2020年9月16日時点調査または公開された情報です。
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