はじめに - 在留日本人が急増しているベトナム
財務省の統計によると、ベトナムに在留している日本人の数は2018年10月現在約22,000人。前年と比較するとその伸び率は28.1%で、在留日本人が150人以上いる諸外国の中で最も多いものとなっています。国や地域別の在留日本人ランキングではベトナムは14位と、こちらも年々順位を上げています。
就労や留学など、さまざまな理由でベトナムに在留している日本人は、特にホーチミンやハノイと言った都市部に多く住んでいます。人口増加やさまざまな発展により、ベトナムも「日本人が働きたいと思う国」の1つとして注目を集めているのです。
日本人がベトナムで採用されやすい職種
日本人がベトナムで働くことの魅力は多々ありますが、では日本人がベトナムで働く場合、どのような職種に就くことが望ましいのでしょうか。ベトナムで日本人が採用されやすい3つの職種をご紹介します。
日本人がベトナムで採用されやすい職種その1:1番人気は営業職
日本人に最も人気なのは営業職です。
営業職はサービス業や製造業などをはじめ、幅広い業種に存在する職種なので、募集の頻度も高いのが特徴。日本の企業との商談などに日本人は重宝されるので、特に興味のある業種・職種がないという場合にはまず営業職を狙ってみるのも良いでしょう。営業職は、未経験でも英語や現地語が堪能であれば採用される可能性が高いです。ベトナムに行く前には留学などをして語学を磨いておけば、仕事に困ることはないのではないでしょうか。
日本人がベトナムで採用されやすい職種その2:スキルがなくても働けるコールセンター
続いて人気なのはコールセンタースタッフ。
ベトナムにある日系企業では日本語が堪能な人材を募集しています。また、現地企業でも日本人向けのコールセンターを設けている場合があります。コールセンターは英語やベトナム語ができない人、職務経験の少ない(ない)人でも採用されやすいので、
・ベトナム勤務になった家族について来た人
・国際結婚をしてベトナムに来た人
・とにかくベトナムで働いてみたい人
などに向いています。
とはいえ、コールセンターは低賃金で、専門的な知識が身に付くわけでもないので転職をしたい場合などには少々困ることもあります。自分で生計を立てて長期的にベトナムで暮らしたいという方や、ベトナムで活躍したいという方には向いていない食所だともいえます。
日本人がベトナムで採用されやすい職種その3:英語力や技術が活かせるエンジニア
IT系のベンチャー企業の進出が著しいベトナムでは、エンジニア職の募集も多くあります。
エンジニアは専門的な知識や技術、そして堪能な語学力(主に英語)があれば転職は比較的簡単。しかも、給料もある程度保障されているので、長期的にベトナムで仕事をしていくのであれば非常に良い就職先だと言えます。
しかし、エンジニアとして活躍するのであれば求められるのは「即戦力」。異なる畑からエンジニア職へと転職するのは厳しいです。エンジニアを目指すのであれば、日本で経験を積み、スキルを身に着けた上でベトナムのIT企業に転職する、という方法をとるべきだと言えます。
べトナムにおける日本人の雇用形態や給料は
ここからは、べトナムにおける日本人の雇用形態、給料について解説していきます。ベトナムでの雇用形態は
・駐在員
・現地採用
の2種類。日本の企業からの出向と、現地の企業への就職では給与が大きく変わってくることもあるのです。
ベトナム人の給料
ベトナムの通貨は「ドン」と言い、日本円に換算すると1ドンあたり0.0045円です。
ベトナム人の平均年収はおよそ661000000ドン、日本円で約30万円だと言われています。年収約30万、月収にすると約2万5千円で生活をしていけるのか不安になるかと思いますが、ベトナムは物価が非常に安いので、この給料でも生活は十分にしていくことができます。
ただしこれはベトナムの企業で働くベトナム人の場合。日系企業で働くベトナム人の月給は日本円で約5万円と、倍ほどになります。そのため、日系企業への就職を目標とし、日本語学校や留学などで日本語を学ぶベトナム人も増加しています。
日本からベトナムに在留する駐在員の給料
日本人のベトナムでの働き方の1つが駐在員。日本の企業からの海外出向という形でベトナムに在留します。駐在員の平均年収は日本円で400万円前後だと言われており、月収にすると35万前後。ベトナム人の平均年収を1か月で優に超える額となっています。しかもこれは20代の平均年収・月収ですので、年齢や役職が上がれば給料は更に高くなります。
駐在員の給料は、日本での給料、駐在員としての手当が上乗せされます。よって、同じ企業でも日本国内で勤務するより高給です。駐在員は専属のドライバーを抱えたり、新築の高級マンションに住んだりと豊かな生活をすることも少なくありません。
日本人がベトナムで現地採用される場合の給料は
ベトナムでの働き方のもう1つが現地採用。現地採用の場合の平均年収や月収は、役職により異なります。一般職の場合は、年収200万円前後、月収にすると18万円前後ですが、マネージャー職と言われる責任あるポジションになると、年収は500万円前後、月収も40万円前後と一気に跳ね上がります。
一般職の給料は日本で働くよりも低いです。しかし、前述の通り物価の安いベトナムなので、月収10数万円でも十分に生活は可能。更に自身の持っている経験や技術を活かせば、日本にいるときよりも良い給料で働くこともできます。高い給料だけを求めるのであれば、日本で働く方が良い、と思う方も多いかもしれませんが、次で解説するベトナムで働く魅力を知れば、ベトナムでの就職も非常に良いものだと感じるのではないでしょうか。
日本人がベトナムで働く魅力
日本人がベトナムで働くことの魅力は、給料が高いだけではありません。異国の地でゆったりとした生活を求めるのであれば、ベトナムでの労働も悪くないのではないでしょうか。ベトナムで働くことの魅力は大きく4つです。
日本人がベトナムで働く魅力その1:給料が安くても生活が苦しくない
前述の通り、ベトナムは物価が非常に安いです。日本にいるよりも給料が下がる現地採用の収入でも、十分に安定した生活を送ることができます。
日本で働く場合に重視されるものの1つが福利厚生ですが、ベトナムでの生活ではそういった企業からの保障がなくとも、安定・充実した生活が可能。外食をしても、1か月10万ほどあれば豊かに暮らすことができ、それ以上の収入があれば、貯蓄やハイクオリティな生活もできるのがベトナムで働くことの最大の魅力だと言えるでしょう。
日本人がベトナムで働く魅力その2:就職が比較的簡単
続いての魅力は、就職が比較的簡単だということです。
日本人が働きやすい、人気の職種でも記述したとおり、ベトナムでは専門的な知識や技術、高い英語力やベトナム語ができなくても働ける場があります。よって、漠然と「とにかくベトナムで働きたい!」という思いを抱いてベトナムに渡っても、なんとか働き、生活をしていくこともできるのです。
とはいえ、やはり物価の安さを活かしてリッチな生活を送りたいのであれば、ある程度の語学力や専門知識を活かした職種に就く必要があります。若いうちであれば、ベトナムで暮らしながら経験を積み、スキルアップしていくということも不可能ではないので、ベトナムで働こうと決意したら、早いうちに行動を起こすとよいかもしれません。
日本人がベトナムで働く魅力その3:プライベートが充実する
日本人は仕事をなによりも重視し、優先します。
しかし、ベトナム人は仕事を「生活をしていく上での手段」と捉えており、自分の時間を何よりも大切にしているのです。よって、ベトナムで働く場合には、残業はほとんどないと言えます。ベトナム人が残業を嫌う、というのも理由の1つですが、法律により時間外労働は給料も上げるよう定められているので、雇用主も残業をさせたくないのです。残業をしていると、職場の人に注意を受ける、ということもあります。
業種や企業にもよりますが、一般的なサラリーマンは17時か18時には退勤し、その後の時間を自分の為に使います。日本で十分な生活をするために働くとなると、プライベートや睡眠時間までも犠牲にしなければ叶いませんが、残業なしで十分な給料を確保し、自分の時間も大切にできるというのは素晴らしいですね。
日本人がベトナムで働く魅力その4:東南アジアの生活を楽しめる
物価が安く、景色なども美しい東南アジア。環境はもちろん、人々も自由さやのびのびとした雰囲気があり、同じアジア人ということもあり、日本人にとってアジア圏というのは非常に居心地が良いことが多いかと思います。
ベトナムも同様で、ベトナムならではの文化や行事、おいしい食事などに日々刺激を受けながら、満喫した生活を送ることができます。まだまだ発展途上な部分も多い国ですから、日本では体験できないようなハプニングに遭遇することもあり、安定した生活をしつつも、刺激的な毎日を送りたいという人には非常にマッチした場所だと言えます。
日本人がベトナムで働く際の注意点
東南アジアの空気を感じながら、プライベートを優先し、楽しい毎日を送れるベトナム。魅力たっぷりの場所ではありますが、ベトナムに住み、働く上で注意すべき点もあることを忘れてはいけません。
日本人がベトナムで働く際の注意点その1:停電などがおこりやすい
ベトナムに限らず、東南アジア諸国は発展途上で、インフラが整備されていないこともしばしばあります。その影響で急に停電が起こったり、インターネット回線が突如切れてしまったりすることも少なくありません。
また、道路の水はけも日本のようによくはありませんので、雨が降ると道路が川のようになってしまうこともあります。日本のような快適な住環境を求めていると、ベトナムでは驚くことやストレスになることが多いかと思います。
日本人がベトナムで働く際の注意点その2:通勤や生活の中で軽犯罪に注意が必要
ベトナムは重犯罪などは少なく、決して治安が非常に悪い国ではありません。しかし、ひったくりやすり、ぼったくりと言った軽犯罪は多発しており、特に通勤中や外食の際には注意が必要です。「日本人=お金を持っている」という先入観から日本人が軽犯罪に巻き込まれることも少なくないので、貴重品の管理などに気を付けなければいけません。
自宅にいれば安全かといえばそうとも限らず、空き巣の被害や泥棒に居合わせてしまう可能性も、日本で生活するより高いです。常に防犯に対する意識を高く持ち、自宅や持ち物、通勤中など様々な場面で対策を行うことで、犯罪に巻き込まれることを回避し、快適に生活することができます。
日本人がベトナムで働く際の注意点その3:英語ができても困ることがある
ベトナムで働く上で、英語のスキルは重宝されますが、英語ばかりが堪能でも困ることがあります。それは、現地での生活。
ベトナム人の英語レベルは人によって大きな差があります。日本人同様、ネイティブレベルで話せる人もいれば、ほとんど英語ができない人も。ベトナムで生活する中で、買い物や食事の際など現地の方と話す機会は多々あります。
ジェスチャーや指さしの本などを活用して英語が苦手なベトナム人と意思疎通をする方法もありますし、長く暮らしていれば日常会話くらいは自然と身に付いていくかと思いますが、ベトナムで働くことを決めたら英語だけでなく、挨拶やお金の数え方など最低限のベトナム語も少しマスターしておくと、より生活がしやすくなります。
まとめ - 異国情緒を感じながら、豊かな生活ができる地、ベトナム
以上、「日本人がベトナムで働くことの魅力や注意点」でした。
ベトナムは物価が安く治安も比較的良い、日本人にとっては非常に魅力的な場所です。在留日本人の増加率が高いのも頷けます。東南アジアならではの豊かな自然や温かな人柄を感じながら生活できるベトナムで働く日本人は、今後も増えていくことが予想されます。
文化や習慣の違う我々日本人が、ベトナムの人々と良好な関係を築きながら共生していくためにも、私たちはよりベトナムについて知っていくべきではないでしょうか。
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