アメリカの女子高校生が開発した「スマートストロー」が話題に。卑劣なデートレイプドラッグから身を守る対策とは?

飲み物に薬物を混入させ、相手の意識を奪い性的暴行に及ぶ手口「デートレイプドラッグ」が世界中で問題になる中、アメリカの女子高校生がその対策として開発した「スマートストロー」が話題になっています。

社会問題化する「デートレイプドラッグ」とその対策についてまとめます。


高校生が授業で開発!ドラッグ入りの飲み物に反応する「スマートストロー」

「デートレイプドラッグ」に反応する「スマートストロー」は、アメリカのフロリダ州マイアミの高校に通う女子高校生、ヴィクトリア・ロカさん、スーザン・カペロさん、カロリナ・バイゴリさんの三人が、「デートレイプドラッグ対策」として開発したものがSNSやニュースなどで話題になりました。

彼女たちは学校での「アントレプレナーシップ(起業家精神)」という授業の中で、このストローを考案したようです。

「スマートストロー」がデートレイプドラッグを検知する仕組み

「スマートストロー」は、デートレイプドラッグとして代表的な成分の、「ロヒプノール」や「ガンマーヒドロキシ酪酸」、「ケタミン」などを検知することができます。

これらの成分が混入した飲み物に「スマートストロー」を入れると、ストローの一部が青に変色する仕組みになっています。この「スマートストロー」を活用することで、デートレイプドラッグ入りの飲み物を誤って飲んでしまうことを避けることができ、性被害を未然に防ぐことができます。

「スマートストロー」に関する動画

▼参考URL:YouTube|3 High School Teens Invent Straw That Could Detect Common Date Rape Drugs

「スマートストロー」が開発された背景には、深刻な被害状況

「スマートストロー」が開発されるきっかけとなった「デートレイプドラッグ」の多くは、無味無臭のため飲み物に入っていても気付くことができず、また服用後も体内に証拠が残りづらいので、犯行を証明することが難しいとされています。

「スマートストロー」の開発に携わったバイゴリさんは、メディアの取材に対して「私自身若い女性ということもあり、高校に入ってからデートレイプドラッグについてたくさん話を聞くようになりました。5人に1人が被害に遭っているという統計もあります」と、開発の背景について、身近に起きている深刻な被害状況を語ったようです。

日本でも深刻化する「デートレイプドラッグ」の被害

アメリカだけでなく、世界中で深刻化しているという「デートレイプドラッグ」の問題ですが、日本も例外ではありません。

日本では、20代の若い女性を中心に被害者が増加しています。就活中など、お酒を断ることが立場的に難しいケースでの被害もあるようです。

また、8割が顔見知りの犯行というデータもあり、気をゆるした関係だと思ったのに裏切られるというケースもあります。有名企業の社員という立場を利用し、相手を安心させた上での犯行も目立ちますので、注意が必要です。


以下では、具体的な事件をご紹介します。

日本で起きた「デートレイプドラッグ」の事件

日本で近年発生した「デートレイプドラッグ」に関する事件を紹介します。

一般的には社会的信頼の厚い有名企業の社員であっても、容疑者となるケースがあるということを、知っておくことが少しでも被害を避けることにつながる可能性があります。

2017年:リクルート子会社元社員による、女子大生が被害に遭った事件

2017年に東京・港区のカラオケ店で、当時10代の女子大学生に睡眠作用のある薬を飲ませて意識をもうろうとさせ、性的暴行を加えた疑いで、リクルート子会社元社員の丸田憲司朗容疑者が逮捕された事件です。(*リクルートではなくリクルートの子会社です)

警視庁によると、丸田容疑者は同様の事件で5度逮捕されていて、6度目の逮捕となったそうです。スマートフォンから、横たわる女子大学生と女子大学生の身分証を一緒に写した写真が見つかり再逮捕に至ったということで、5度逮捕されてもなお、犯行を続けているため、被害者が増えているというやるせない状況です。

被害に遭った女子大生は就活生で、OB訪問として丸田容疑者と面会し、「企業の資料を見せてあげる」などと誘われたそうです。社員からすると弱い立場である就活生という、立場の違いを悪質に利用した犯行です。

▼参考URL:東京新聞「『OB訪問アプリ』利用の就活生に睡眠薬飲ませ… 『レイプドラッグ』事件後絶たず」(外部サイト)

2019年:当時野村證券勤務のエリート社員が準強制性交容疑で逮捕された事件

2019年2月15日夜、東京・恵比寿駅近くのダイニングバーで、当時大手証券会社「野村證券」の社員だった千葉健太容疑者(28)と、樋野良輔容疑者(25)が、男性4人、女性4人の合コンに参加した際、被害者のA子さん(20代)に一気飲みのゲームを半ば強要し、スパークリングワインなどを大量に飲んで心神喪失状態にさせました。

そして、合コン終了後、千葉容疑者と樋野容疑者は、泥酔していたA子さんの友人B子さんを2月の寒空の中、路上に放置したうえ、ホテルでA子さんに対してわいせつな行為に及んだという事件です。

千葉容疑者と樋野容疑者は事件後の4月3日に野村證券を退職。それぞれ別の会社で働き出したが、6月28日に警視庁捜査一課に逮捕されました。二人は有名私大出身のエリートだったそうです。

▼参考URL:FRIDAY|野村證券元社員逮捕 悪質「デートレイプドラッグ」が蔓延している
(https://friday.kodansha.co.jp/article/55916)

「デートレイプドラッグ」に対する日本の対策

以上のように、日本でも被害が続出している「デートレイプドラッグ」に関して、国の機関が行う主な対策をご紹介します。

安心して相談できる窓口として、警察庁性犯罪被害相談の専用電話番号「#8103」や、全国各地にある性犯罪・性暴力被害者のためのワンストップ支援センターが設置されています。

相談するような事態になる前に、基本的な対策として、被害から身を守るためには、「飲み物は飲みきってから席を立つ」「よく知らない人から渡された飲み物は飲まない」などの対策を心がけることが大切です。


【内閣府】男女共同参画局の特集サイト

内閣府の男女共同参画局では、「女性に対する暴力の根絶」について「薬物やアルコールなどを使用した性犯罪・性暴力に関して」の特集ページを公開しています。

「デートレイプドラッグ」に具体的にどのような被害があるのかを紹介し、警察への相談窓口「#8103」、ワンストップ支援センターの窓口なども紹介しています。

▼参考URL:内閣府男女共同参画局|薬物やアルコールなどを使用した性犯罪・性暴力に関して(外部サイト)

【警察庁】中学生、高校生にデートレイプドラッグの存在について周知

2020年6月に、警察庁から全国の警察長に通達された「『性犯罪・性暴力対策の強化の方針』の決定について(通達)」では、デートレイプドラッグの対策として、「高校や大学等入学時のオリエンテーションなどで、レイプドラッグの危険性や相手の酩酊状態に乗じた性的行為の問題、セクシュアルハラスメントなどを周知する」ことが命じられています。

そして、もしも被害に遭ってしまった場合の対応として、通報の方法や、証拠保全の方法、相談窓口の周知も、地域で行っていく方針が示されました。

▼参考URL:警察庁|性犯罪・性暴力対策の強化の方針
(https://www.npa.go.jp/laws/notification/keiji/souichi/souichi03/020612.pdf)

まとめ

このページでは、世界中で、日本国内で蔓延している「デートレイプドラッグ」による性被害と、その対策としてアメリカの高校生が考案した「スマートストロー」、日本国内での周知活動についてご紹介しました。

強力な睡眠薬を細かく砕き、飲み物に混ぜて性犯罪を行うなどの「デートレイプドラッグ」による事件について、警察庁によると、「睡眠導入剤などの薬物の使用が疑われる性犯罪の摘発件数」は2016年は30件程度だったところ、2017年は85件に急増し、現在も増え続けています。

また、内閣府の調査(2017年度)では、無理やり性交されたという被害者男女164人のうち、加害者が交際相手や配偶者、同級生や会社の上司・同僚など、いわゆる「顔見知り」と回答したのは、約8割に上るというデータもあり、信頼させておいて犯行に及ぶケースが相次いでいるようです。

さらに、警察庁によると、2010年から2019年に摘発した薬物を使った性犯罪事件355件のうち、被害者の8割は20代以下というデータもありますので、若い女性は特に注意が必要です。

本記事は、2021年6月10日時点調査または公開された情報です。
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