インフレやコロナはどうなっているの?昨今のアメリカ近況リポート(2022年6月)

2022年ももう半年が過ぎようとしています。今回は、在米日本人のAさんに、アメリカの近況レポートをしてもらいました。日本ではコロナ・ウクライナ情報、アメリカではどのような状況かまとめました。


2022年のアメリカのレポート

2020年以降、コロナの影響を受けて様々な混乱が起きているアメリカですが、国民の関心事はコロナに関する話題よりも、記録的な上昇を続ける物価やウクライナ情勢に向いています。

コロナに関連する話題が収束しつつあるいま、多くの人があまりにも劇的に変化したこの2年間に何が起きたのか少し落ち着いて振り返るようになっているようです。

ここでは現地在住者の目線で、いまのアメリカの生活様式についてご紹介します。

2022年のアメリカでは、コロナの影響で最も甚大なのは高インフレ?

アメリカ全域で記録的なインフレが続いており、人々の生活に影響が出始めています。

2022年4月の消費者物価指数(CPI: Consumer Price Index)は8.3%を記録しました。CPIは2000年以降、2%から3%程度で推移してきましたが、コロナが始まってから4%台に突入し、わずか2年で8%台にまで上昇しています。

この現象をごく簡単に言えば「物価が上昇した」となりますが、事実、アメリカで生活していると明らかに物価が上昇したことを痛感します。例えば、ガソリン代はもっとも顕著と言えます。

筆者が暮らすアリゾナ州では、コロナ前(2020年1月)にガソリンの価格は、1ガロンあたり2ドル程度でしたが、2022年5月では5ドル程度になりました。もともと物価が高いカリフォルニア州の一部では1ガロン10ドル近くにまで上昇しています。これは過去に記録したことがないほどの高価格で、コロナによる影響に加えて、ウクライナ情勢が拍車をかけた結果と言えるでしょう。

食料品も価格上昇が止まりません。例えば、500mlの水24本入りはコロナ前までは2ドル以内で買えました。(安売り時は1ドル以下だった)しかし、現在では3ドル出さなければ買えません。また、スターバックスのコーヒー豆は5ドル程度で買えていたのに、いまでは7ドル程度します。(安売り時の話です)

アリゾナ州はアメリカの中で物価が安い州に区分されますが、それでもすべてが高くつくようになりました。ロサンゼルスやニューヨークなどの都市部だとさらに顕著でしょう。

このような物価上昇の流れを受けて、多くの人が外出を控えるようになり、レストランではこれまで混雑する時間帯でも空席が目立つようになりました。ようやくマスク着用義務化が終わったのに、外出しづらい状況になっています。

筆者が暮らすアパートの隣人は「フードバンク(企業からの食品寄付を貧困層の希望者に配布する制度)」のボランティアをしています。この2年間でフードバンクの利用者が増加し、ボランティアの次元を超えるほど忙しくなってしまい、実質的なフルタイムジョブだと教えてくれました。


アメリカの2022年では、退職がブーム?

昨今のアメリカでは若者を中心にして退職が一種のブームになっています。SNS上ではハッシュタグに「#iquit(仕事辞めた)」が溢れ、より好条件で働ける職を探す人が増えているのです。さらに、いまなら好条件の仕事が見つかりやすい状況にあることも追い風になっています。

この背景にあるのが高いインフレです。多くの業種業態で人材確保のために高給(時給20ドル以上)を提示するようになり、高給を提示しても人が確保できないお店は潰れています。とくにレストランやバー、ファストフードなどでこのような傾向があるようです。

そんな中、注目を集めている職業がトラックドライバーです。アリゾナ州の大型トラックドライバーの報酬は年間1,600万円程度に上昇しています。もともと、トラックドライバーの報酬は良いとされていましたが、コロナ以前と比較して倍程度の条件になった訳です。

アメリカ最大手小売店のウォルマートの専属ドライバーは年収1,000万円を超える好待遇で、店舗マネージャーは年収2,000万円を下らないとされています。アメリカでは、物価が上昇する分、賃金も比例して上昇している訳です。

アメリカの急激な物価上昇を目の当たりにしていますが、不思議なことに人々から悲壮感を感じることはありません。アメリカは、物価は上がるが賃金が上がらない日本とは対照的な状況と言えるでしょう。アメリカから見た日本に危機感を覚えるのは筆者だけではないはずです。

【2022年のアメリカのコロナについて】いまだに続く、ワクチン不要論や陰謀論

コロナに関連する報道がほとんどなくなったアメリカですが、いまだにワクチン不要論やマスク義務化の是非を問う声が根強く聞こえてきます。むしろ、コロナ騒動が一段落したからこそ「本当はどうだったのか?」を冷静に議論すべきとされているようです。

なかでもよく聞くのがコロナワクチン不要論です。その内容は主に、ワクチンによって人口統制を図ろうとしているや、アメリカの製薬会社に利益を与えるためだった、ワクチンによって人間の自然免疫を破壊する狙いがあるといったまことしやかな内容です。

また、アメリカで暮らす日本人同士の会話では「日本政府はアメリカ政府の言うままに余剰分のワクチンを買い取らされている」といった内容もありました。日本国産のワクチンや治療薬の開発がなぜここまで遅いのかも不思議です。アメリカ製のワクチンが日本国内に行き渡ってから、国産ワクチンの開発が本格化したのは偶然だったのか疑問です。

これらが事実かどうかは別にして、アメリカから日本を見た時に、すべてがアメリカの利益につながるような出来事になっていると感じる現地在住者は多いようです。コロナ騒動をめぐり「海外から見た日本」は少し特殊に見えることは否定できません。

一方、ワクチン接種に否定的な見解を持つ医師が多いのもアメリカの特徴と言えるかもしれません。アメリカにはNaturopathic Doctors(自然療法学の医師。日本では認可されていないがアメリカでは法的認められた医師)がいますが、知人のNaturopathic Doctorは家族も含めワクチンを接種していません。さらに、学会に集まった多くの医師がワクチンに懐疑的で未接種だったと言います。

未接種の理由は「わざわざ科学薬品を注入して自然免疫を壊すようなことをする必要はない」とのことでした。人体や健康に関するスペシャリストがこのように主張するのは一定の説得力がありますが、ワクチン推進派と意見が対立するのも事実です。

残念ながら、筆者の周辺でコロナ関連死が3例ありました。全員が50代以上で、共通してワクチン接種済でした。遺族は人工呼吸器(当時、これを装着すると助からないという噂が広まっていた)の着用を拒んだものの、病院側が「コロナ治療時のルール」と主張し、装着されてその後に息を引き取ったそうです。

当然、病院は死亡理由をコロナとする訳ですが、遺族の話では死因をコロナにすると政府から補助金が下りるからわざとそうしているとのことでした。このような事例はテレビなどで報じられていないだけで、他にもたくさん存在していると、ワクチン不要論を主張する人たちは訴えています。

予防接種が原因による死亡例や疾患などのケースをまとめているNational Vaccine Information Centerによると、2022年5月27日時点で28,532名がコロナワクチンを接種した後に死亡しているとあります。

このようにワクチン不要論を訴える人たちからすれば「あまりにも不可解な出来事」が多いことや、SNSなどを通じた情報共有が活発ということもあり、アメリカではコロナ騒動が一段落した後も議論が続いています。ワクチンの悪影響はこれから始まるとも言われており、当面はアメリカを分断するテーマになりそうです。


同時に、これらの話は根拠が乏しいものが多いため、決して鵜呑みにすることなく、自身の価値観や経験を基にして中立的に接しないといけないと感じさせられます。

まとめ

2021年から2022年前半のアメリカでは、急激なインフレが続いており、人々の関心事は物価上昇に関連することがほとんどです。

一方で、コロナ騒動が落ち着き始めたことから、ワクチンの安全性や心身への影響を考え直す人も出てきました。

インフレやコロナといった、ある種の「過熱状態」が冷めた時にアメリカがどうなるのか注目しましょう。また、いずれ日本も同様の道を辿る可能性があるので、アメリカの動向からは目が離せません。

本記事は、2022年6月15日時点調査または公開された情報です。
記事内容の実施は、ご自身の責任のもと、安全性・有用性を考慮の上、ご利用ください。

アメリカ自由の女神
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