絶対君主制とは
絶対君主制の国では君主が国の統治の全権を所有し、自由に政権を行使します。君主とは代々続く世襲による国の統治者のことで、中世のヨーロッパで国々を収めていた国王や、江戸時代徳川幕府の将軍などがこれにあたります。ヨーロッパには今でも国王や女王が多数存在しますが、ほとんどが国の象徴的存在となっていて、政治的権限はあまり強くありません。
中東諸国の絶対君主制国家
近代ヨーロッパでほとんど見かけなくなった絶対君主政体ですが、中東諸国にはまだ数多く存在します。例えばサウジアラビア王国、通称サウジアラビアは、サウード家出身者が治める王国で、国家権力のほとんどが国王に集中する絶対君主制国家です。首相も国王が兼任し、立法機関にあたる諮問評議会には法案提出権しかなく、実質的な立法権も国王に属します。
ドバイ、アブダビを含む7つの首長国で構成されるアラブ首長国連邦も、世襲の首長達が絶対君主制に基づき、国を統治しています。その他オマーン、カタール、クウェート、バーレーンなども、中東の絶対君主制国家です。
これらの国の一般国民には、国政に関する選挙権はなく、政党も存在しません。また宗教の自由、女性の人権が抑制されている、権力者による汚職問題が横行するなど、批判されるべき点も多々あります。
しかしこと国民への支援は、欧州諸国の比較にならないほど手厚く、学費や医療費、税金も基本的にありません。国民には国から住宅手当が支給され、光熱費や食費も補助されるので、贅沢さえしなければほぼ無料で暮らせます。そのため日々の生活に不満はあったとしても、国民の将来への不安はほとんどありません。
まとめ
絶対君主制を政体に取り入れている国は封建的で、一部の人が自分の利益のために政治をおこなっていると思われがちですが、絶対君主制国家に住む国民は、むしろ他の国の国民よりも恵まれている点も多数あります。
コメント