「アルジェリア民主人民共和国」ってどんな国?
「アルジェリア民主人民共和国」の正式名称は「الجمهورية الجزائرية الديمقراطية الشعبية ( al-Jumhūrīya al-Jazā’irīya al-Dīmuqrātīya al-Shaʿbīya)」であり、通称「ジャザーイル」です。
日本語表記は、「アルジェリア民主人民共和国」で、通称「アルジェリア」です。漢語表記では、「阿爾及利亜」または「阿爾及」です。
ちなみに、「アルジェリア」の「アル」はアラビア語の定冠詞のようなもので、ジェリアは「島」を意味するジャジーラの複数形で、「島々」を意味します。
面積・場所について
「アルジェリア民主人民共和国」の国面積は、約240万平方キロメートルで、現在アフリカで一番大きい国です。世界全体でみても、第10位の領土面積を誇ります。
しかしながら、その内、砂漠地帯は約200万平方キロメートルを占めており、ほとんどが砂漠に覆われた国であることが分かります。
「アルジェリア民主人民共和国」の位置は、北アフリカの西方にあります。国境は、東が「チュニジア、リビア」、南東が「ニジェール」、南西が「マリ、モーリタニア」、西が「モロッコ、サハラ・アラブ民主共和国」と接していて、北は地中海に面しています。地中海を越えた北に、「フランス」があります。
都市について
「アルジェリア民主人民共和国」の首都は「アルジェ」であり、人口は約340万人です。
「アルジェ」は西部地中海に面しており、「アルジェリア民主人民共和国」最大の都市です。
地中海の要塞として発達しており、大きく二つのエリアに大別できます。すなわち、海岸付近の低地に発達した近代的な部分と、標高100m以上の高地にある古都の部分です。
海岸付近の低地部分は、「フランス」の植民地だったころの影響が残っており、フランス風の建物が目立ちます。また、地中海沿岸の他の都市と同じように、白壁の家も多いです。
反対に、古都部分には、イスラム風の建築が目立ち、モスクも数多く点在しています。
人口について
「アルジェリア民主人民共和国」の人口は、2018年、アルジェリア国家統計局の調べによると、約4,200万人であり、これは日本の首都圏とほぼ同じです。
成り立ちについて
「アルジェリア民主人民共和国」は、紀元前には内陸部にベルベル人が住んでおり、沿岸部にカルタゴの植民都市がありました。「ローマ共和国」の属州となりますが、その後もヴァンダル族、東ローマ帝国に征服いされていきました。
8世紀になり、イスラーム勢力が侵攻したことで「アルジェリア民主人民共和国」はイスラーム化し、ルスタム朝が栄えました。しかしながら、イスラーム化したあとも、アルジェリア人たちは自治を続けていました。
その後も多くの王朝の支配をうけ、1830年には、「フランス」が首都アルジェを占領しました。「フランス」の征服に対して、活動家たちは激しく抵抗しましたが、結局はアルジェリア全土が「フランス」によって支配されました。
1962年7月、「アルジェリア民主人民共和国」は「フランス」から独立しました。
1989年には憲法を改正し、複数政党制が認められました。
その後、多くの内閣が政権を担い、「アルジェリア民主人民共和国」は、社会主義政策に基づいた経済成長をしてきましたが、クーデターや軍とイスラム過激派との衝突、大規模反政府デモ、テロなどが定期的に勃発しており、現在に至るまで、国内の情勢は不安定な状況が続いています。
「アルジェリア民主人民共和国」の国民・宗教・言語について
国民について
「アルジェリア民主人民共和国」の民族分布は、アラブ人が80%、ベルベル人が19%、フランス人もごく少数住み、南部の砂漠地帯には、遊牧民であるベドウィンやスーダン系黒人が住んでいます。
宗教について
「アルジェリア民主人民共和国」の国民が信仰する宗教は、99%がイスラム教で、そのほとんどがスンニ派です。ベルベル人等の中に、イバード派を信仰している人もいます。また、ごく少数ですが、キリスト教徒やユダヤ教徒もいます。
言語について
「アルジェリア民主人民共和国」の公用語はアラビア語とベルベル語です。しかし、植民地時代の影響もあり、国民の間で多く使用されているのは、フランス語です。
「アルジェリア民主人民共和国」の経済状況について
「アルジェリア民主人民共和国」の通貨はアルジェリアン・ディナールで、GDPは約1680億ドル、世界第55位です。一人当たりのGDPは約4000ドルで、世界で114位であり、これはアフリカ諸国の中でみると上位です。
「アルジェリア民主人民共和国」では、天然ガスや石油が産出するので、近年の原油価格上昇をうけて、貿易は黒字を記録しています。しかしながら、経済の大部分をこれら天然ガスや石油に頼ったままなので、なかなか経済が発展していかないという課題があります。これらの課題を受けて、2015年より、アルジェリア政府は経済の多角化を目指し、5か年計画を実施しています。
国内の産業は主に農業であり、生産物は小麦やオレンジです。
また現在、約100万人にのぼるアルジェリア人が「フランス」に出稼ぎに出ており、彼ら労働者からの送金が、大きな外貨収入源となっています。
貿易について
「アルジェリア民主人民共和国」の主要輸出相手国は、「イタリア、フランス、スペイン、アメリカ、ブラジル」です。主要輸入相手国は「中国、フランス、イタリア、ドイツ、スペイン」であり、輸出入ともに、日本は上位15位圏外です。
「アルジェリア民主人民共和国」の主な輸出品は石油、天然ガスで、主な輸入品は、資本財、半製品、食料品、消費財です。
総貿易額は、2017年の時点で、輸出が約350億ドル、輸入が約460億ドルです。
「アルジェリア民主人民共和国」の政治・政策について
政治体制について
「アルジェリア民主人民共和国」は共和制国家であり、国家元首は大統領です。
「アルジェリア民主人民共和国」の首相は行政府のトップであり、大統領が任命します。首相には、各大臣の任命権が与えられています。
従来は一院制でしたが、1996年、憲法改正によって二院制になりました。下院の議席数は380、上院の議席数は144です。
政策について
「アルジェリア民主人民共和国」は基本政策として、非同盟中立、また、アラブ連帯という方針を取っています。
近年、「アルジェリア民主人民共和国」はテロのイメージが色濃いため、その払拭のために、G8諸国を中心とした先進国と、積極的に外交活動を行っています。
「アルジェリア民主人民共和国」の大統領・首相について
大統領について
「アルジェリア民主人民共和国」の大統領は、アブデラジィズ・ブーテフリカ氏です。
大統領は国民によって選出され、任期は5年です。最大で2期までとされていましたが、2008年に当選回数制限が解除され、現大統領アブデラジィズ・ブーテフリカ氏は現在4期目を務めています。
首相について
「アルジェリア民主人民共和国」の首相はアフメド・ウーヤヒア氏です。首相は大統領によって任命されます。
「アルジェリア民主人民共和国」の国防制度・軍事制度・兵役について
「アルジェリア民主人民共和国」の軍隊は、「アルジェリア人民国軍(ANP)」と呼ばれ、陸軍・海軍・空軍の3軍の他、防空軍と、「ジャンダルメ」と呼ばれる警察軍を擁します。
2018年現在、現役兵力は約13万人、予備役が約15万人、準軍事組織には約19万人の人間が在籍しています。
徴兵制度があり、その兵役期間は18か月間です。
「アルジェリア民主人民共和国」と「日本」の関係について
「アルジェリア民主人民共和国」と「日本」の関係は、「日本」の全学連などが独立戦争を支持したいきさつもあり、独立後は友好的な関係が築かれています。
「日本」は1964年2月に、「アルジェリア民主人民共和国」に在アルジェリア大使館を開設し、「アルジェリア民主人民共和国」も、1964年6月には「日本」に「在京アルジェリア大使館」を開設しました。
毎年、「日本」はアルジェリア人国費留学生を受入れたり、日本人の文化人や講師の派遣事業を実施するなど、文化面の交流も盛んです。
2011年3月の東日本大震災では、「アルジェリア民主人民共和国」のメデルチ外務大臣が、在アルジェリア日本大使館で弔問記帳を行い、アルジェリア政府は日本政府に対して、1,000万ドルの義捐金を寄付しました。
まとめ
「アルジェリア民主人民共和国」は、国土のほとんどがサハラ砂漠で覆われており、国土は非常に広く壮大です。
イスラム原理主義過激派組織アル=カイーダによるテロなど、情勢の不安定な部分もありますが、国内にはユネスコの文化遺産が6件、複合遺産が1件あり、歴史のある国です。
「アルジェリア民主人民共和国」では、「フランス」の植民地時代にサッカーが伝わり、国民に人気のあるスポーツとなっています。なお、男子サッカーの「アルジェリア民主人民共和国」のFIFAランキングは、2018年11月では「67位」です。
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