イギリス・ロンドンに対する核ミサイル攻撃をプーチン首相が示唆

イギリス、深刻化する対ロシア問題(2022年9月情報)

イギリス在住の日本人による、イギリスや日本に関する記事レポートです。今回は「イギリスが向き合う、ウクライナ・ロシア戦争によるロシアの脅威」についてまとめました。


はじめに

2022年9月21日、BBCラジオのインタビューに応じたプーチン首相の前側近で相談役であったセルゲイ・マルコフ(Sergei Markov)氏がイギリス・ロンドンに対する核ミサイル攻撃をプーチン首相が示唆したと伝えました。

対ロシアに対しこれまで前英国首相ボリス・ジョンソン氏は厳しい姿勢をとってきましたが、新首相となったトラス氏が今後も対ロシアに対して制裁を続行して行くようなことがあれば、最悪の結果になると忠告してきたのです。これまでの対ロシアに対するイギリスの対応を見てみましょう。

2022年2月、ボリス・ジョンソン前首相はウクライナを積極的に支援

2022年2月24日、ロシアがウクライナへの軍事進攻を開始した後、当時の英国首相ボリス・ジョンソン氏は、その日のうちにロシアに対してこれまで最大級の制裁を実行すべきだと発表し、ロシアを強く非難しました。

主要国の中でもウクライナに最も足を運んだ首相として知られており、ウクライナに対する援助についても「経済的、外交的、政治的、軍事的にも積極的にイギリスは支援を惜しまない」と発言するほど強くロシアを非難し、ウクライナ支援の姿勢を崩しませんでした。

2022年9月、新首相となったリズ・トラス氏の姿勢

コロナ禍のパーティースキャンダルが追い打ちをかけ辞任に追いやられたボリス・ジョンソン氏の後任として、2022年9月6日に新たな英国の首相として就任したのがリズ・トラス氏です。これまでの英国史上3人目の女性首相となりました。

これまで、ロシアに対して強行姿勢を崩さなかったボリス前首相の動向をどのような形で引き継ぎ、かじ取りをするのか注目されていました。

2022年9月21日にアメリカ・ニューヨークで開かれた国連総会において、英首相として初めてのスピーチでロシアのプーチン大統領のウクライナ侵攻を強く非難した上で、イギリスの対ロシア政策が更に強固なものになることを示したのです。

また、西側諸国に対しては、対ロシアへの対応を更に厳しく制裁して行くことを求め、その他の国々にも同じように行動すべきだと述べました。

ロシアは西側諸国に対し、天然ガスパイプラインの供給を停止したため、イギリスをはじめエネルギー資源をロシアに頼っていた西側諸外国はエネルギー危機に陥っていることにも言及しました。

今後は代替エネルギーの確保やロシアに多くを依存している食料や鉱物に関しても十分確保の道を探って行かなければいけないと指摘しました。

イギリスのこれまでのウクライナへの軍事援助(1ポンド157円換算)

イギリス政府はウクライナが独立するまでにも軍事的な支援を行ってきたことにも触れながら、2022年9月21日ロシアがウクライナに侵攻した2022年2月24日からこれまでにどの程度の軍事支援を行ってきたのか発表しました。


  • 今後もウクライナ軍への支援の継続
  • 2022年2月までに、23億ポンド(3611億円)をウクライナ支援に拠出する。その内2億5千ポンド(393億円)に関しては国際基金へ拠出。
  • 2022年2月までに38億ポンド(5966億円)を財政および人権支援として拠出する。
  • 自衛武器として、6900以上の対戦車ミサイル、航空自衛システム5基、装甲車120台、1360個弾薬器、4.5トンのプラスティック爆発物、400,000手榴弾の供与。
  • 2022年6月から長距離砲能力を有するM270 3弾からなる複彈発火ロケットシステムおよびそれに伴う弾薬および人材訓練の提供。
  • 200,000件以上の非戦闘支援。ヘルメット、防護服、医療備品など。
  • 10,000人へのロシア人兵士および予備兵に対する120日の長期訓練の提供。オランダ、カナダ、スウェーデン、フィンランド、ノルウェイ、デンマーク、リトアニア、ニュージーランドも参加することを表明した。

トラス首相は対ロシア政策に対して、これからも手を緩めず、今後はこれまで同様の支援、またはこれ以上の支援をして行くと表明しました。

ロシア部分動員の亡命の受け入れに対して

2022年9月21日ロシアのプーチン大統領は予備兵の部分動員を発表しました。それに伴い、動員徴兵されることへの反発するためのデモや国外脱出者が急増しています。すでにドイツでは動員拒絶を理由とする亡命者の受け入れを宣言しました。

イギリスはこれまでウクライナからの避難民の受け入れを積極的に行ってきましたが、ロシア人に対する亡命に対しては、積極的に受け入れる姿勢はまだ打ち出していません。

まとめ - ロシア富裕層の資産凍結

ロシア富裕層の資産凍結により、サッカー、プレミアリーグ・チェルシーのオーナーであったアブラモビッチ氏も制裁対象となり、サッカークラブの売却(総額42億5000万ポンド 6676億円)を行いました。

その利益はウクライナ援助を含むチャリティーに寄付されたことで、政治に対して無関心であった人々や、サッカー好きの小さな子供までもがロシア・ウクライナ戦争で起きていることを興味深く考えだした機会となりました。

参考資料サイト

Former Putin advisor’s wild rant where he threatens nuclear war against UK | Metro News

Boris Johnson announces ‘largest ever’ set of sanctions against Russia | Russia | The Guardian

Boris Johnson pledges new military assistance for Ukraine after UK PM’s surprise visit to Kyiv – CNN

Boris Johnson visits Kyiv on Ukraine’s Independence Day – CNN

Roman Abramovich, Russian owner of Chelsea FC, to sell club after Ukraine invasion – CNN

Is Roman Abramovich facing sanctions? Why there was confusion on Chelsea owner as PM announced Russia measures (inews.co.uk)

CBP-9477.pdf (parliament.uk)

本記事は、2022年9月27日時点調査または公開された情報です。
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