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わかる政治経済シリーズ 第20回

法の下の平等における「外国人の権利」について

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目次

日本における外国人の権利について

現在、日本には約282万人の外国人が暮らしています。(令和3年6月時点。出入国管理庁ホームページより)そこで、このような日本国内に在住する日本国籍を持たない外国人の権利がどのように扱われているのか解説していきます。

日本では、外国人にも日本人と同じように権利が保障されています。人権は、人が人であれば誰でも必ず生まれながらに持っているものだと考えられるからです。そのため、合理的な理由なしに外国人と日本国民を異なっOK:

た扱いをすることは「平等原則」の違反となり、外国人であっても当然等しく人権保障は及びます。

ただし、権利の性質上、日本国民のみをその対象としていると解されるものは例外になります。以下で具体的に紹介します。

在留外国人に認められていない権利とは?

例外的に外国人には認められていない権利には、その性質上日本国民のみを対象としていると考えられるものがあります。たとえば、「国籍離脱の自由」のように日本国民のみと結びつくものです。

また、「参政権」は国籍と密接に関わる権利であるとして、外国人には適用されないと考えられています。「参政権」は国民が自分の属する国の政治に参加する権利のことで、その性質上、その国の国民のみに認められる権利であると考えられていること、領土問題を含め、日本の主権と極めて密接にかかわる問題であることなどが理由です。

ただし、在日朝鮮・韓国人のように歴史的な事情で日本に居住している外国人に対しては認めるべきではないかという議論もあります。

外国人の権利の権利について考えるうえで必要な4つのポイントについて説明します。

ポイント1:外国人登録法とは何か?

「外国人登録法」とは、日本に在留する外国人の居住関係や身分関係の明確化や政府による適切な管理のための諸制度について規定していた法律です。2012年、「出入国管理及び難民認定法及び日本国との平和条約に基づき日本の国籍を離脱した者等の出入国管理に関する特例法の一部を改正する等の法律」第4条により廃止されました。

「外国人登録法」では、在留外国人に外国人登録原票への登録、登録証明書の携帯・呈示義務や指紋押捺の義務などについて定めていました。

ポイント2:外国人の指紋押捺制度廃止とはどういうことか?

「指紋押捺制度」とは、日本に在留する外国人に対して、登録原票などに左人差し指の指紋を押捺することを強制する制度です。指紋は基本的に一生変わらないものなので、在留外国人を特定するもっとも有効な手段として1955(昭和30年)から行われてきました。


しかし、「指紋押捺制度」はまるで犯罪者扱いで人権侵害であるとして問題になり、1999年に「外国人登録法」による「指紋押捺制度」は全面廃止になりました。

ところが、2001年のアメリカ同時多発テロの影響から日本でもテロ対策が強化され、2007年に「出入国管理及び難民認定法(入管法)」の施行によって、外国人の入国時に指紋と顔写真の提出を義務付けることになりました。

ポイント3:外国人の地方参政権について

次に、在留外国人の「参政権」について見ていきましょう。

現在、選挙権や被選挙権などの「参政権」は外国人には認められていません。参政権は国民固有の権利で、日本の政治のあり方は日本国籍を持つ日本国民によって決定されるべきだというのがその理由です。

しかし現在、歴史的な経緯等で、日本を生活の本拠地として日本国民と同じように生活している永住資格を持つ外国人は約110万人(2020年12月時点)います。このような人たちに対して日本国籍ではないことを理由に「参政権」を認めないことを問題視する声もあります。

1995年、在日韓国・朝鮮人などの永住外国人が「地方参政権」を求めて起こした訴えで、最高裁は永住外国人に「地方参政権」を付与することは憲法上禁止されていないが、「地方参政権」が付与されていなくても違憲にはならないとしました。

ポイント4:地方公務員採用時の国籍条項について

最後に、広義の「参政権」であると考えられる外国人の「公務員採用」について見ていきます。

現在、公務員の要件とされてきた日本国籍を必要とするという「国籍条項」は、多くの地方自治体で撤廃されつつあります。ただし、国家公務員については外国人は原則就任することはできません。国家公務員は国家権力の行使や国家運営に関わりやすい立場であるためです。

地方公務員であれば自治体によっては外国人でも公務員になることができる場合がありますが、「管理職」になることは拒否されることがあります。地方公務員であっても「管理職」になると公権力の行使に大きく関わることから、2005年最高裁は、日本国籍ではないことを理由にして外国人が地方自治体の管理職に就くことを拒否することは合理的な措置であり、違憲ではないと判断しています。

まとめ

以上、日本に在留する「外国人の権利」について解説しました。

本記事は、2023年2月9日時点調査または公開された情報です。
記事内容の実施は、ご自身の責任のもと、安全性・有用性を考慮の上、ご利用ください。

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この記事を書いた人

2021年に公務員総合研究所に入所した新人研究員。

好きな言葉は、「つまづいたっていいじゃないか にんげんだもの」

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