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海上のスペシャリスト集団!海上自衛隊の職種について

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「伝統墨守」を掲げる海上自衛隊

海上自衛隊は、主に海上から日本を守る組織です。島国である日本は、四方を海で囲まれており、常に海上から侵入してくるかもしれぬ脅威を警戒しなければなりません。そんな脅威から日本を守るため、海上自衛隊は、海上だけでなく時には陸地・航空から日本の海上の治安を守ります。

そんな海上自衛隊は、「伝統墨守」な組織だと表現されます。伝統墨守とは、これまでに行われてきた事柄を重視し、それに厳密に従うという意味です。海上自衛隊は、旧海軍をそっくりそのまま引き継いだ組織であり、海軍時代の伝統を大事にしている組織です。

また、海上自衛隊は、海軍時代からプライドの高さも受け継がれているという意味を込めて「唯我独尊」な組織と表現されることもあります。

各自衛隊を現す四字熟語

海上自衛隊だけでなく、自衛隊にいる陸上自衛隊、航空自衛隊も四字熟語で表現されることがあります。

陸上自衛隊は、事前準備が整っている「用意周到」、準備ばかりで疲れてしまう「動脈硬化」、航空自衛隊は、勇ましく判断力がある「勇猛果敢」、バラバラでまとまりがない「支離滅裂」としばしば表現されます。

この四字熟語での表現は、防衛省に出入りしていた記者の方が発案したものだそうです。こうしてみると記者の立場の方が上のように感じてしまいますが、この話にはきちんと落ちがあって、記者の方は「(記者は)浅学非才・馬鹿丸出し」だと表現したそうです。

このお話は、航空自衛隊の広報官の活動を描いたTVドラマ『空飛ぶ広報室』で取り上げられ、話題になりました。お堅いイメージのあった自衛隊が、なんだか身近な存在に感じられる表現ですよね。

自衛艦隊総司令官を中心に機能する海上自衛隊

海上で防衛を行う海上自衛隊は、海上からの脅威と対抗する術を自衛艦隊に集約しています。自衛艦隊は、自衛艦隊総司令官をトップに、護衛艦隊、航空集団、潜水艦隊、掃海隊群、情報業務群、海洋業務・対潜支援群、開発隊群の7つの部隊が存在します。なかでも、護衛艦隊、航空集団、潜水艦隊、掃海艦隊の4つの部隊は重要な部隊です。そして、各部隊を合わせて54隻の護衛艦、24隻の潜水艦、170機の作戦航空機を保有しています。

自衛艦隊総司令官について

自衛艦隊を指揮している自衛艦隊総司令官は、海上自衛隊の中でも特に知識・経験が優れる海将から選ばれます。

自衛艦隊総司令官は、7つもの部隊に加え、各部隊が抱える護衛艦や潜水艦にまで意識を配らなければなりません。それだけに、リーダーシップが高い方が自衛艦隊総司令官に選ばれており、自衛艦隊総司令官に選ばれた方は、後に海上自衛隊のトップである海上幕僚長に選ばれているそうです。

海上自衛隊の職種における仕組み

約42,000人の自衛官で構成されている海上自衛隊では、目的や攻撃力の異なる数多くの艦船及び航空機を保有し、敵の侵略を海上から阻止する役割を担っています。


そんな海上自衛隊の任務は大きく分けて「船務」「攻撃」「機関」「航空基地」「航空整備」「経理補給」の6つです。

ここからさらに「航海員」「通信員」「補給員」など28種に細分化され、これが隊員それぞれに与えられる職種となるのです。またこの28種に、特殊な技能や資格を必要とする職種も加えると、海上自衛隊の職種はおよそ33種類にも上ります。

職種を細かく分けることは、専門的なスキルの向上や業務の効率化へと繋がります。そして、それぞれの職種が相互に連携し合い、ときに300人以上が乗り込む自衛艦の、安全運行及び任務完遂を可能にしているのです。

職種は適性検査の結果や希望を考慮して決定する

隊員に与えられる職種は、入隊後に入校する教育隊で決定されます。

教育期間中には、知能検査、職業適性検査、作業素質検査などの各種検査が行われ、加えて数回の希望職種調査も実施します。これらをもとに、各職種に必要な人員数なども踏まえて決定する仕組みとなっています。ちなみに、衛生員や警務員、潜水員といった特殊な職種については、希望者の中から適性を考慮して選抜されるそうです。

海上自衛隊の職種における仕組みがお分かり頂けたでしょうか。ここからは海上自衛隊の6つの仕事である「船務」「攻撃」「機関」「航空基地」「航空整備」「経理補給」「その他」をご紹介したいと思います。

1 自衛艦の安全運行を支える「船務」

航海員

手旗、発光、旗旒信号を用いて、自衛艦や商船とのメッセージ交換をしたり、艦の操縦に必要な操舵装置の取り扱い及び整備などを行う職種です。航海員は海上自衛隊の中で、最も船乗りらしい仕事ができる職種と言われています。

電測員

自衛艦における航海や作戦に必要な情報を、レーダーやコンピューターを使用して入手します。また入手した情報を各部署に伝達・配布する役割も担う電測員は、艦長の意思決定に大きく関与する職務となっています。

情報員

インターネットや紙媒体を通じて、世界中で報道された情報及び自衛隊が収集した情報について精査、分析、評価しています。また航空機や護衛艦での写真撮影の業務に当たることもあるそうです。

通信員

潜水艦や護衛艦、陸上基地などにおける、無線通信や情報システムの運用・保守を行います。部隊間の意思疎通に必要不可欠な通信員は、海上のみならず、地上でも必要とされる職種です。また通信員は、最も早く女性に解放された職種の一つと言われています。

気象海洋員

気象海洋員は、航空機や艦船を安全かつ効率的に動かすため、気象・海洋の観測、観測データの伝達、資料の整理等を行います。天気、気温、風、気圧、雲などの状況を正確に捉え、その情報を各所に発信する重大な任務を担っています。そんな気象海洋員は、国家資格である気象予報士の資格も取得可能です。

電子整備員

海上自衛隊が所有する電子器材の運用や整備、故障した際の修理を行います。電気に関する専門知識を一から学ぶことができ、電気のエキスパートが目指せるのが電子整備員の最大のメリット。また学んだハイテク技術を駆使して業務を行うため、非常にやりがいを感じることができる職種となっています。

2 自衛艦に装備されている様々な火砲を取り扱う「攻撃」

射撃員

海賊船や工作船への攻撃に使われる、砲やミサイルランチャーの取扱い及び整備を行います。攻撃の要として重要な任務を担う射撃員は、最新護衛艦についての知識習得のため、アメリカへの留学も提供されています。

射管員

「射撃指揮装置」と呼ばれる装置を操作し、砲弾ミサイルの発射の管制を行います。また必要に応じて砲弾やミサイルも発射する射管員は、射撃員同様、アメリカへの留学が設けられています。

運用員

艦船での洋上補給、船体の整備、結索、防火作業など、船全般の管理・運用を担う職種です。補給艦に乗り込んで任務を行うことも多い運用員は、国外での補給支援に参加する機会も多いとのことで、活躍の場は世界中に広がっています。


魚雷員

潜水艦を攻撃するための魚雷及び魚雷の発射装置の操作や整備を行います。また陸上基地では、弾薬整備補給所にて魚雷の整備や調整も行い、陸上と海上の両方において必要とされる存在です。

水側員

水側員の主な任務は、自衛艦に装備されている「高性能音波探知機」を使用し、海中に潜む潜水艦を捜すこと。また探知した潜水艦を攻撃するためのコンピューター操作も行います。そんな水側員になると、訓練中にクジラやイルカの鳴き声を聞くこともできるそうです。

掃海機雷員

掃海機雷員は、掃海艦艇や掃海管制艦に乗り込み、水路等に設置された機雷の発見・処分を担っています。また陸上基地にある弾薬整備補給所において、機雷の整備も行います。船艦の安全を守る掃海機雷員は、危険を伴う職種であるため、チームワークが非常に重要です。

3 艦体の心臓部分であるエンジンや付属機械を守る「機関」

蒸気員

蒸気タービンを装備する自衛艦において、艦橋からの指示をもとに、その速力を調節します。また海水が艦内に侵入しないよう監視し、艦内生活に必要不可欠な真水を守っています。

ディーゼル員

自衛艦の推進力や電力に欠かせないディーゼルエンジンの、運転及び整備を行います。また艦内生活に必要な空調や蒸気の維持・供給、冷房機やボイラーの運転・整備などの任務も担っています。

ガスタービン員

世界中にある艦船のスタンダードとも言われているのが、ガスタービン。このガスタービンの運転及び整備を行うのが、ガスタービン員です。ガスタービンは多くの艦船に搭載されているため、護衛艦や補給艦などさまざまな艦艇で働くことができます。

電機員

海上自衛隊が保有するあらゆる電気機器の運転、保守整備を行います。艦艇部隊、陸上部隊、航空部隊すべてに必要とされる職種で、全国各地で勤務することができます。そんな電機員では、電気全般の知識を一から学べ、「電気工事士」や「電気主任技術者」などの資格も取得可能です。

応急工作員

護衛艦や掃海艇に乗り込み、火災や浸水などの被害から艦を守ります。また船体や機械部品等が損傷した際は、溶接や旋盤の技術を持って、部品の作成及び修理も行います。応急工作員は、自衛艦が受けたダメージを最小限に抑え、任務を完遂するために大変重要な職種です。

4 海上自衛隊が保有する航空機を影から支える「航空基地」

航空管制員

飛行場を保有する海上自衛隊基地で働く航空管制員は、航空機に乗るパイロットと交信し、離陸や着陸の指示を行います。航空機の安全運行には欠かせない存在です。

施設員

海上自衛隊基地で働く施設員は、建物や構築物の修繕、設計図や積算資料の作成、飛行場及び道路等の補修を行います。ライフラインの整備には欠かせない職種である施設員では、建築関係の国家資格取得が可能となっています。

地上救難員

地上救難員は、航空機の事故における、人命救助や消火活動を行います。また航空基地の警備や、車両による人員の輸送などの任務も担っています。大型化学消防車などの車両の操縦、整備、防火の技術習得ができる職種です。

5 海上自衛隊が保有する航空機の整備を担う「航空整備」

航空発動機整備員

航空基地やヘリコプターを搭載する護衛艦で働く航空発動機整備員は、固定翼機や回転翼機に搭載されているエンジンの整備を行います。また希望すると、航空機に搭乗し機上整備員として活躍することができます。

航空電機計器整備員

電源系統、照明系統、警報系統、自動操縦系統といった、航空機の電機系統における点検、整備、修理を行います。女性自衛官も多く活躍している職種です。

航空機体整備員

航空機の胴体、翼、脚を含む機体全般の整備を行います。また必要に応じ、金属加工、溶接、塗装、各種探傷検査なども実施し、航空機の安全運行に寄与しています。

航空電子整備員

航空基地や護衛艦に配属される航空電子整備員は、航空機や管制塔などで使用される、無線機やレーダーといった電子機器の整備を行います。近年、航空電子整備員として、護衛艦に乗り込む女性の割合が高くなっている職種です。

航空武器整備員

航空武器整備員は、航空機に搭載する、魚雷や機雷等の弾薬を整備する職種です。この任務に加えて、航空機への弾薬搭載や、緊急時に使用する落下傘や救命胴衣、救命機材などの整備なども行なっています。

6 海上自衛隊の衣食住を支える「経理補給」

経理員

隊員の給与や旅費支払い、物品の契約・購入、文書の管理等を行います。艦艇や航空部隊の任務完遂に必要不可欠な経理員は、全国各地の陸上基地はもちろん、潜水艦で勤務する機会もあるそうです。

補給員

護衛艦や航空機に搭載するミサイル、弾薬、燃料、食糧品、衣服などの物資を、効率的かつ迅速に準備・提供します。地上部隊、護衛艦、潜水艦、航空部隊など、あらゆる部隊で必要とされる職種の一つです。

給養員

艦艇及び陸上部隊に配属される給養員は、栄養バランスが整った献立をもとに、隊員の食事の調理・提供を行います。そんな給養員では、調理士、船舶料理士、さらには栄養士といった資格取得も可能です。


7 その他

ここからは、より専門的な技術や資格などを要する職種5つをご紹介します。他の職種に比べて任務が特殊であるため、事前に適性検査や素質検査などの各種検査をクリアした人の中から選抜で決定されることとなります。

衛生員

病院や衛生隊、自衛艦内の医務室などに配属される衛生員は、隊員の健康管理、診療の補助、看護、医療事務、訓練における救護及び衛生資材の準備を行います。また希望すれば、機上救護員として航空機に乗り込み、任務を遂行する隊員もいるそうです。

音楽員

自衛隊内での演奏はもちろん、国家的行事、式典、儀式での演奏、また広報演奏なども行います。さらには世界中を訪問し、演奏による国際親善にも貢献しています。素養の確認等を経て選考される音楽員は、狭き門ではあるものの、さまざまな場所で活躍することできる職種です。

警務員

警務員は、海上自衛隊内の秩序維持を主な任務とし、犯罪捜査、犯人逮捕、犯罪予防、身辺警護などを行います。特別司法警察職員としての資格が与えられる警務員は、海上自衛隊内の警察機関とも呼べる存在です。

潜水員

護衛艦等に乗り込んで、艦底調査、遺失物捜索、爆発物の捜索・処理、深い海底での潜水作業などを行います。そんな潜水員になるためには、健康診断、水泳能力検定、耐圧検査などに合格が必須とのこと。誰でも簡単になれる職種ではありませんが、充実感や達成感は人一倍実感できるそうです。

電計処理員

各部隊が保有する情報システムやネットワークの管理維持を行います。全国の部隊で働くことができる電計処理員は、入隊時に特別な資格がなくとも、IT関連の知識を幅広く学ぶことができるそうです。

まとめ

いかがでしたか? 海上自衛隊の職種すべてが正常に機能してこそ、海上の安全が保たれていることがお分り頂けたのではないでしょうか。今回の記事を通じて、海上自衛隊について少しでも理解して頂けたら幸いです。

本記事は、2017年9月15日時点調査または公開された情報です。
記事内容の実施は、ご自身の責任のもと、安全性・有用性を考慮の上、ご利用ください。

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この記事を書いた人

公務員総研の編集部です。公務員の方、公務員を目指す方、公務員を応援する方のチカラになれるよう活動してまいります。

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