【年金を考える】他人事じゃない!子供世代をむしばむ親の無年金問題

日本には老後の為の年金制度があり、きちんと年金を今まで納めていれば最低限の生活費に困る事はありません。ところが、自分の親が年金受給できない、いわゆる「無年金状態」となってしまっている世帯が増えています。他人事では決してない親世代を含めた無年金問題と、それを回避する為の方法についてまとめました。

日本の年金制度を理解しておこう

就職時に厚生年金に加入するか、20歳に国民年金に加入するかでスタート

日本には、国民年金・厚生年金・共済年金の3種類の年金制度があります。

まず、年金の加入がスタートするのは最短で本人が就職した時です。高校卒業と同時に就職し、厚生年金に加入した場合には18歳から加入する事になります。加入する時には、就職した会社がそのまま手続きを取ります。

就職していない時には、20歳で国民年金に加入する事になります。これは、本人が大学生や専門学校生でも加入対象になります。20歳で国民年金に加入する時には、本人が役所の窓口に出向き、国民年金の加入手続きをしなければいけません。また、国民年金加入後でも卒業後に就職すると、厚生年金に切り替わります。

自分が加入しているのかどうか不安な場合

高卒と同時に就職した先が個人事業主の為、厚生年金の加入対象ではない可能性がある場合や、既に20歳の時には親元を離れているので、自分で手続きをしたのかどうかが分からない場合には、いずれかの年金に加入しているのかどうかを確認しましょう。

まずは、自分の手元に年金手帳があるのかどうかを確認します。年金手帳は、年金に加入したのと同時に発行されますので、年金手帳が手元にあれば、最初の年金加入手続きは既に済んでいる事になります。もしも、手元にない場合でも、既に就職している場合には会社側で保管している事が多いので、不安な場合には会社に確認をすれば大丈夫です。

もしも、加入していない可能性がある場合、もしくは加入はしているはずでも年金手帳が見つからない場合には、役所の窓口へ行きましょう。加入していない場合には、その場で国民年金の加入の手続きが取れます。年金手帳を紛失してしまっている時でも、再発行の手続きを取る事ができます。

自分の年金支払い状況を知りたい時にも方法はある

国民年金、もしくは厚生年金や共済年金の、いずれかの年金に現在加入している状態でも、失業していた期間や、親元にいて仕事をしていなかった期間がある時などで、過去のある一定期間に年金をきちんと支払っていたかどうかが不明な場合があります。

後から述べていますが、日本で年金を受け取るには、合計で25年間以上のいずれかの年金加入期間がなければいけません。つまり、年金を支払っていた期間、もしくは特例で免除を受けていた期間を含めても24年と11か月しかなければ、年金を受け取る事ができなくなるのです。それを防ぐ為にも、自分の年金支払い状況を常に把握しておくのが大切です。

不安に思ったら… 年金状況の確認方法

ねんきん定期便を活用する

ねんきん定期便とは、毎年自分の誕生日月になると、今までどの年金に、どれだけの期間加入していたのかをお知らせしてくれるはがきの事です。他にも、過去1年間どのくらいの年金を支払ったのかも記載されています。自宅まで毎年自動で送付されてくる他、35歳、45歳、59歳の誕生日月には、はがきではなく封筒で今までどのくらいの金額を支払ったのかについても記載されている書類が送られてきます。

ねんきんネットに登録する

ねんきん定期便は自動的に送られてくるものですが、確認できるのが年に一度だけです。いつでもどこでも、自分の年金の加入や支払い状況を把握しておきたい、という方にも安心なのが「ねんきんネット」です。ねんきんネットに登録しておくと、自分の現在までの年金加入状況を、リアルタイムで知る事ができます。

ねんきんネットに登録する為には、まず「ねんきんネット」https://www.nenkin.go.jp/n_net/にアクセスします。新規登録で、自分の氏名や住所、基礎年金番号(年金手帳や、ねんきん定期便に記載されています)などの個人情報を登録すると、1週間ほどで自宅までねんきんネットの個人ページにログインできる、IDなどが記載されている書類が登録した住所に届きます。そのIDを入力すれば、ねんきんネットに登録完了となり、いつでも自分の年金の状況を確認できるようになります。

ねんきんネット

年金事務所に足を運ぶ

住所地の管轄にある年金事務所を直接訪ねても、自分の年金状況を確認する事ができます。あらかじめ、年金状況確認をしたい事を電話で伝えておけば、予約をしておくこともできますので、あまり待たされずにすみます。

後述の親の無年金が発覚した場合の対処方法としても、年金事務所への確認や相談は有効な手段となりますので、あからじめ親の住所地の管轄にある年金事務所がどこにあるのかを把握しておきましょう。

親が年金を貰えない!? 無年金となる原因と対策

無年金となる親を持つ子供が増えている

30代から40代の働き盛りの世代の親世代、つまり今の60代から70代の人口の中で、無年金状態となってしまっている人が増えています。無年金となると、生活の糧が無くなる為、年金以外で生活の為の収入を得なければいけませんが、どうしても60代から70代だと、新しく働ける口も狭くなりますので、自分の子供に生活面で頼らざるを得なくなります。

無年金の親を持ち、親の生活費の面倒を子供が見る事になると、自分自身の結婚や、子供を持つ事を諦めざるをえない可能性もあります。子供への負担が多大になる親の無年金状態は、今無視できない問題となっています。

まず、無年金になる原因とそれを回避する対策を見てみましょう。

親自身が年金を払っていなかった

親世代では、まだ年金制度自体が始まったばかりという世代もあり「老後のお金を今払うよりも、今使った方が良い」「年金を支払っても、どうせ後から貰える保証がないから今使った方が良い」などと考え、故意に年金に加入していない人もいます。

当然未加入の場合には、年金は支給されませんので、無年金状態となります。この場合には、残念ながら積み立てるべき金額を支払っていなかったことが原因ですので、年金は支給されない事になります。

また、現在日本の年金制度は崩壊寸前と言われていますが、だからといって未加入状態の場合には自分が老後に無年金状態となってしまいます。次の世代の負担とならないように、親が無年金だとしても、自分は年金に加入しておく事が大切です。自分自身も年金を支払えないほど生活に困窮している場合には、支払い期間に猶予ができる、年金の一部が免除されるなどの特例もありますので、未加入という事がないようにしましょう。

年金支給に必要な年数が足りない

前述の通り、年金の受給を受ける為には、25年以上いずれかの年金に加入していた期間が必要になります。何らかの理由で、加入年数がこれに満たない場合には、年金の受給ができません。

特に気を付けるべきなのが、転職をした経験のある人です。前の会社を退職→転職先の会社に就職した期間が1か月以上ある時には、その間は厚生年金ではなく国民年金に一時的に加入し、支払わなければいけません。ところが、この期間加入をしていなかったので、年金の支給が受けられないというケースです。

特に注意すべきなのが、転職をした本人だけでなく、結婚をしていた時には配偶者もその対象となってしまう事です。

退職によって無年金期間が生まれる

今までは年金の受給期間は60歳からとなっていましたが、平成25年度から、年金の受給開始年齢が61歳に引きあがる事になりました。その為、60歳で定年退職をした場合には、1年間無年金となる期間ができる事になります。

今後、年金の受給開始年齢は65歳まで引きあがる事が予想されています。それに伴って、高年齢者雇用安定法が改正され、企業は希望者全員を65歳まで雇用しなければいけない法律が定められました。不当な解雇や定年退職は免れる事となりましたが、60歳は大病を患う人も多い年代です。働いていても、病気などで年金支給開始を待たずして退職を余儀なくされ、支給開始期間まで無年金期間を過ごす事になる可能性もあります。

無年金になりそうorなった時に実践したい事

失業保険を活用する

年金を受け取る権利である25年以上の年金加入実績があっても、年金支給開始年齢を前に退職したので、限定的に無年金期間を過ごすことになった場合には、失業保険を活用するなどで回避できます。

ただし、失業保険は今後も就職する意思のある人に支給される制度ですので、やむを得ず退職してしまったので、年金支給期間までは他の仕事に就きたい、と考えている人のみが失業保険を受給できます。就職活動をしながら失業保険を受給し、新しい仕事に就けた場合には当然失業保険の受給はストップしますが、限定的な無年金期間を回避するのには有効な方法といえます。

年金の加入期間を確認する

親が全く年金を支払っていなかった場合を除き、あと少しの期間があれば無年金状態を脱出できる方法があります。

ひとつは、親の年金加入状況を確認する事です。年金の加入状況は、前述のねんきん定期便やねんきんネットへの登録だけでなく、直接年金事務所まで行って確認する事もできます。また、年金事務所の場合には、無年金になっている事に対する相談もできます。あらかじめ予約をしておき、必要ならば自分も親と一緒に付き添って、確認や相談を受けてみましょう。

もしも、親の年金の加入期間の中で不審点があった時には、年金事務所に調査を依頼する事もできます。親の記憶の中では、会社勤めをしていて厚生年金に加入していたはずなのに、その期間だけ抜けている、という事がある時には、加入していた記録が見つかる可能性があります。現に、今日本では誰の加入記録なのか分からない年金加入記録が5千件以上あると言われています。無事に親の加入記録として証明されれば、年金加入年数25年以上をクリアして、無年金状態から脱出できます。

厚生年金と共済年金の特例に該当するか調べる

25年以上の年金加入実績がないと、年金が受け取れる権利は貰えませんが、親の生年月日によって年金がもらえる特例が2つ存在します。

ひとつは厚生年金と共済年金に加入していた期間が20年から24年でも年金を受給できる権利が貰える「厚生年金保険の被保険者期間・共済組合の組合員期間の特例」です。

もうひとつが、生年月日によって40歳以上(女性は35歳以上)で厚生年金に加入していた期間が15年から19年あれば、年金を受給できる権利が貰える「厚生年金保険・旧船員保険の被保険者期間の中高齢の特例」です。

この特例に該当すれば、もちろん年金を受給できますので、これに親が該当していないか調べてみましょう。

後納付制度を利用する

年金を支払っていない期間があっても、過去2年以内の場合には、後納付ができます。過去2年にさかのぼって年金を収めれば、25年以上を満たせる時には、後納付制度を利用して、支払っていない過去2年の年金を収めましょう。

過去2年以内では間に合わない、という時にも諦めないでください。平成27年10月から30年の9月までの間は、過去2年が5年まで遡って後納付できる期間となっています。もしも、過去5年以内に該当する年金未加入期間があれば、この期間を利用して支払うチャンスですので、該当する期間がないかを調べて、無年金状態から脱出しましょう。

任意加入を使う

国民年金は、基本的には20歳から60歳までの加入となりますが、60歳から70歳までなら任意加入もできます。任意加入をすれば年金加入期間が25年以上になれば、当然年金を受給できる権利が貰えます。

後納付制度と任意加入を使う時は、どのくらいの年金を収めれば年金受給の権利ができるのかも調べてもらう事ができます。

まとめ

親の無年金問題は、他人事ではない可能性もあります。高齢者も支えなければいけない今後の子供世代への負担軽減のため、無年金問題も含めて、解決すべき問題は沢山あると考えます。

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